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六十九ノ怪 あなたのうしろ

「ねぇ、ケイジ聞いたよ?アンタ…霊感が有るって本当?」


「へ…?」


これは自分ケイジの高校時代のお話。人間という生き物は独特の個性を持った方がおられますよね?中でも自分中心に世界が回ってると思い込む…、俗にいう「自己中」と呼ばれる人たち。自分は酷く劣悪な家庭環境下で育った所為か、その手のタイプがちょっと苦手だったり…

今回。藪からスティッ……いや、藪から棒に霊感の有無をネタ的に振ってきた隣のクラスの女子。わざわざこっちに来てくれんでも、ちょいと呼んでくれたら、こっちからいくらでも行きまっせ…。と… これだと自分自身が嫌なタイプじゃないのか!?…的な、このネタは置いといて…

リアルにお金が無い俺はバイトで疲れてるんだ。頼む、休憩時間くらい寝かせてくれ………ん?あれ?うーむ…、自己中が苦手なタイプだから?一個人としてもあまり関心が無かった所為か、彼女の名前を完全に忘れてしまっていました…。よって、アンタの名前はワスレテシマッタコ……略して″ワスコ″だ。うん。


するとワスコは更に


「わたしってさぁ?アンタに負けないくらい霊感が有ると思うんだよね。何かこう…、全身で感じる…って言うかさ?」


「へ、へぇ〜…」


おい、一体何処のどいつだ?このワスコに「ケイジは霊感持ち」…って語った奴は…?俺は心霊現象を体験した友達同士、ちょっと会話しただけだぞ?何故こんなネタが広まる?自慢や張り合いとかじゃなく、もちろん何も見えなくて何も感じないが俺の理想だ。見えても足元だけ…とか中途半端だったり、怨念じみたモノは下手すりゃあ危険で無茶苦茶怖い。俺みたく超怖がりで臆病な、数珠を手首へ常に装着している学生なんて普通いるか?よく糸が切れたりするから、数珠買い替えの回数が二桁超えてるんだぞ?ちなみにこの時代、100均なんて無いからな!チキショウッ!しくしく…

…と、そんな愚痴は置いといて…。自分ケイジのクラスでも、彼女は我儘&自己中でかなり浮いた存在キャラだと周知されてもいました…


「じゃあ、ケイジ。アンタッてさぁ?自分の背後霊って見えたりするの?」


「俺の………、背後霊…?」


「うん。そぉ〜」


「いや…、全然見えない…」


「え?やだ、嘘っ?マジ?アンタ霊感有るんじゃないの??ひょっとして嘘ついてたとか?」


ワスコ…。俺はバイト疲れを癒す睡眠時間を割いてまで君と会話しているのに″嘘つき″呼ばわりはやめてくれないか…?しかもクラス中に響くくらいデカい声で……。いや、もう嘘つきでいいや。頼むから俺を寝かせてくれ…


「嘘…?…ってか、俺はそんな強力な霊感の持ち主じゃ無いよ?やっぱ、幽霊は無茶苦茶怖いし。むしろ普通にそこら辺歩いてる極一般的な一市民だよ。でも、リアルの生活の悲惨な体験数なら他の誰にも負けない気がするけど…」


「あははは、ナニそれぇ?」


「ワスコ…俺の困窮した恐ろしい苦労話を聞いたら、マジ母性本能がくすぐられるかもよ?ブワァ〜って感じに」


「やだ何それ、マジでキモッ。馬鹿みたぁ〜い」


知ってますか?かなり自分寄りの解釈かも知れませんが。大阪人は飛び交う会話の中で「アホッ、〜やろ」は普通の標準語みたく何不自由無く使いこなします。しかし「馬鹿バカ」と言われるのだけは何故か許せないのです…。それは何故か?

″アホ″はどれだけアホだとしても人間です。でも″馬鹿″は何処をどうしようが人間では無くて″ウマシカ″になるから……って、動物やないかぁーいっ!!

それに似た「デブ」・「ブタ」の悪口も然り…。片っぽが、やっぱり動物やないかぁーいっ!!

このワスコばかりは、いっぺん脳味噌震えるくらいゴッツんしたろかぁーいっ!!……とか。そんな、はしたない言葉は本人ワスコには返さず…


「……じゃあ、俺やワスコの背後にはさ?一体どんな霊がいるの?」


何気なく、そう返したところ。


「ケイジ。アンタの背後には…官位くらいの低い落武者の霊?が、わんさか取り憑いてるからね?一回お寺でお祓いでも受ければ?」


「へ、へぇ〜…」


そう言えば…当時。自分ケイジの兄弟の中でも、凄く霊感の強かったナガ兄曰く。


『ケイジ、お前には背後霊らしきモノは俺には見えないよ。もし、そこに何かいたとしても限りなく存在の薄い霊だと思う。要は何の干渉も受けないって事だから、安心しろよ?』


…わかり易くそう言われ、本当に安心したのを今でも覚えています。それに、これより後日談となりますが。他に霊感の強かったユウに話を聞いた時も、背後霊的な存在がいる人は極稀で″実際には、取り憑かれてる人なんてホボいないですよ?″…と言っていました。

例えば、長年連れ添った仲良し夫婦の伴侶が他界してしまったとか?亡くなった甘えん坊の我が子が″いつも傍にいる″…みたいなのが一般的とか。


(……。)


実は顔がそこそこ可愛いのに、性格とキャラが非常にミスマッチ且つ残念なワスコ…。そしてまさかの自分ケイジの背後霊が″オチ武者″というオチ…。ついでに″位が低い″とか″わんさか取り憑かれてるから、お寺で祓ってもらえ″…って何だよ?ハエか?ハエみたいに落武者がわいてるのかい…?

そんなギュッギュっと意味不明な詰め合わせ告知は此方から願い下げです…


「でね?わたしの背後だけどさ?聞いて驚かないでよ?実は…伊藤◯文がいるんだよ?それで…うんたらかんたらーー」


「へぇ〜…。も、物凄い偉人だね…」


「凄いでしょ?だからね?うんたらかんたら…ーーーー」


………


(キーンコーンカーンコーン…、キーンコーンカーンコーン……スタスタスタ……)


(はぅ……)


俺の睡眠時間を瞬殺し、まさにチャイム音と同時。熱弁していた話を我がで一刀両断。そそくさと隣のクラスへと帰って行ったワスコ。…でも実は、自分ケイジは一つ彼女に言ってなかった事が有るのです…


(あんなにハッキリと見える霊がいるんだ…)


二人で幽霊の話なんてしてたから″よからぬモノ″とシンクロしてしまったのか?彼女には、あの偉人男性の幽霊等では無く。少し俯き加減、茶系の地味なカーディガンを着た中年女性がずっと傍に立っていたのです。何もせず。ただ、じっと横にいるだけの空気みたいな存在れい。もしかして親戚や知人なのでしょうか?ワスコに伝えなかったから真相は不明のままですが…


で、霊なんて無色透明のホント薄っすらとした存在にしか見えない自分ケイジ。しかしその霊は余程念が強かったのか、透明ながらも、わりと全体像がかなりハッキリ見えていました。あれが守護霊という存在なのでしょうか?それについての確証は無く、断言も出来ません。だって自分には、彼女の方が何かに取り憑かれている様にしか見えなかったのですから……



そして余談ですが…

万が一、仕事やお出掛け以外で。自分からパワースポットと呼ばれる怪しく危険な場所に行ったりして。急に身に覚えの無い身体へ重圧や倦怠感、悪寒を感じたりしたらご注意を。既に″アレ″をお持ち帰りしている可能性があります。ひょっとすると背後から肩にかけ両腕がダラ〜ンとしたアレに抱きつかれているのかもしれませんよ…?怖っ

そして時が経っても、その不可解な身体的異常が治らない。ずっと何かが変だぞ?…とか思った方は一つ試して欲しい簡単なお祓い方法があるのです。勿論、家の物で出来ますのでご安心を…


…まず風呂場にて裸になり、置いてあるタライへ一つまみの塩と冷水を注ぎ込みます。

※塩は体に少量パパっと撒いても良いです。

そしてその中へタオルや手拭いをサッと浸し、取り出したらキツめに水を絞り切って。パッとタオル開いてから端の方を手に持ち。強弱をつけながら違和感を感じた体の部位へ「パンパン」とテンポ良く叩きつけるというもの。背中や肩なら上着、足ならズボンを脱いで試して下さいね?ちなみに本当に試すのなら。法律上、必ず風呂場でお願いします。(おぃ)


結構痛いかもですが、自分がよく使う手ですので変な違和感が無くなるまで頑張ってみて下さい。数日試して効果が無い様なら…病院、もしくはお寺へお祓いに…。泣



ついでに自分ケイジの経験上の話ですが…。数珠や御守りなんてモノは色々と買って試しましたが。リアルな話、気休め程度の効果しか無い様な気がします。

顔に大火傷し苦しみぬいて亡くなった霊に取り憑かれてしまったら、顔への異常な違和感が出ます…。もしその部位が足だったら同じく足に異常が出る事が多いみたいです。

喘息で息が出来なくて苦しみぬいたなら、その喉へ同じ苦しみが…。だってその悲惨な状態のまま思念体がその場に残されてしまっているのですから、それらがシンクロし伝わってくるのだと思われます。

そして、その思念が強力なモノが相手なら御守りや数珠を複数所持していても全く効果は無いと思います…



ーー最後に。

実は学校卒業後、ワスコと自動車教習所で二度ほど会ったのです。一度目は「わたし◯月に結婚するんだ。驚いた?」と笑顔で。二度目は、すれ違いざま「あっ」「おっ」…と、互いに手を上げただけですが…

まだ学校に通っていた時や教習所で偶然ワスコと出会った時ですが、彼女の背後に中年女性の、あの霊を二度と確認する事が出来なくて…。あんなに念の濃い強烈な霊が、一体何処に消えたのか…?ひょっとすると、今。読者様あなた背後うしろにいるのかも知れませんよ……?



………



え?ケイジのうし…ろ…に?ひぃ〜……





完。

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