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六十八ノ怪 袴姿の女

これは我が愛娘、次女サリの恐怖体験談。

娘からは祖父おやじ絡みの恐ろしい人為的被害プリンじけんの怪奇現象なら何度も聞かされた記憶はありますが…。サリと、まともに心霊現象の話をしたのはこれが初めてでーー




現役大学生のサリは青春真っ只中…の筈ですが。平日は朝の五時起き、帰りは晩九時過ぎの帰宅…。それは一体何故なのか…?

よくぞ聞いてくれました……って、え?聞いてない?しくしく…。と、取り敢えず、大学が遠過ぎて路線の乗り継ぎや乗り換え、その通学に片道二時間半ほどの時間を要してしまうからです。簡単計算、往復なら五時間超え…

これじゃあ、全く青春を謳歌出来ないぞっ!どーしてくれるんだっ!


(カタンコトン、カタンコトン…)


…と、そんなある日の朝。サリは普段通りJ◯線の列車に乗り、大◯駅へと向かっていました。でもその日は、何か変な違和感を覚えたらしく…


「……!?」


低血圧な所為か普段から物静かなサリ。

驚くほど朝に弱くて。毎年毎年、通学中に気を失う事もしばしば…。おまけに超ド近眼さんでもあります…。その視力は0.01以下と悪過ぎて…

よって、視力回復のレイシック手術を受けさせようとドクターに相談したのですが、年齢とサリ自体の乱視の加減?が酷いらしく『施術不可』と診断されてしまいました…

オー、ノオー:

更に頼みの綱であるソフトコンタクトもサリ視力に合った厚さが無くラインナップから即除外。

唯一、OKの出た装着し辛いハードコンタクトを、娘は買って一週間後に列車内で気を失ってしまい、両目共にコンタクトを紛失してしまいます…

※医者の話では角膜円錐といって角膜の前が盛り上がり、コンタクトが外れやすい状態の事を言います。


別で買ったのと運転免許取得用時に買っていたのもを含めると、一年半の間にコンタクトを無くした回数は実に三回にも及びます…


そして気を失ったいずれの場合も慌ただしい通勤時間だった所為か、周囲にいた乗客は″知らぬ存ぜぬ″と、誰もサリの事を助けてはくれなかったらしいのです…。ホント世知辛い世の中でございます…


「パパ…。コンタクト無くして、ごめんなさい…」


「いやいや、サリに怪我がなくて良かったじゃないか。俺はそっちの方が心配だ。だからコンタクトの事は気にしなくていいよ。でも流石に次は…、無くさない様、サリが嫌がってるメガネに戻してもらうけど…。それは納得してくれよ?」


「うん…」


重い近眼用レンズは幅が大きくなる程、その厚みが外側に増していく為。サイズの小さなメガネしか発注出来ませんでした。よって幅の狭いレンズ部分以外は常にボヤけていて、特に下りの階段や道の曲がり角が全く見えなくて凄く怖いらしいのです…

…そして日頃から運の無い可哀想なサリ。運転免許証取得で光明池へ最終試験を受けに行った日も、コロナで試験中止になった初日だったし…。すっごい確率だった…

まぁ、色々な諸事情を含め。どうしても免許証が必要だった為。サリは日を改め、その二週間後くらいに極少数のメンバーと一緒に試験を受けさせてもらう事になりました。そして結果は見事合格。必死に勉強してたし「これに落ちたら、次の再試験はいつ受けられるか分からないよ?」と半ば試験官から脅されていましたので…


「サリ、その新しいメガネ可愛いな?すっごく似合ってるし。けど、見にくくはないか?」


「ありがとう…。うん、それなりに見えてる」


自分ケイジのベタ褒めに対し、かなり反応の薄い我が愛娘。はぁ…、寂しいな…。まぁ年頃の女の子だし。やっぱ身なり的にも、本音、コンタクトのが良かったよな…?

でもしかし、でもしかぁーし…。まさに「″馬子にも衣装″」とはこの事。「似合う。凄く似合ってるぞっ!うおーっ!!」…いや、自分ケイジは単なる変態メガネフェチだったり…。この性癖は、家族ファミリーには内緒…。ついては…、もちろん秘密のまま、墓場まで持って行くつもりですが何か…?


「一応、無くさない様に。メガネには百均で売ってる紐を付けておこうな?」


「うん。わかった」



ーーと、そんな事がありましたが、かなり話の脱線、申し訳ないです…。…で、ここからコンタクトをしていたサリが列車内で変な違和感を覚えた話に戻しますーー




「あれ?また気を失ったのかな?」…と。知らぬ間にサリは、客が疎らに乗車している列車内で吊り革を持ち。外の景色をボーっと眺めながら突っ立っていました。

いつもの貧血かな…?相変わらず体調は常に低血圧の極み。背筋に欠伸を誘発させそうになりながらも眠気を必死に堪え、己で膝カックン、カックン状態。すると、何処からともなく鈴の音が耳元に聞こえてきて…


りーん…、りーん……


(眠い……ウトウト、でも何かが…、変…?)


ここで何か異様な感覚を覚えたサリは、右側へとゆっくり目をやったのです。すると約2メートルほど離れた位置。下が黒みががった真紅に、上はピンクを基調としたデザインの艶やかな袴姿の女性が立っていたとか。


(綺麗な…人だな……眠い……。けど、やけにこっち見てるし…。いや、見過ぎな気も……)


見た感じ、その女性は齢三十位でしょうか?しかし何故かサリの事を必要以上に「じぃ〜…」っと見つめてくるのです…


りーん…、りーん……


(何?さっきから何、何…!?)


発生源が全く分からない不気味な鈴の音。それにサリの体は列車内で揺れているのに、袴姿の女性はその干渉を全く受けていないのか、微動だにせず。下げた両手を前で重ね、物静かに立っていたとか…


(な、何か怖い……)


今時にこの袴姿。

時期的、年齢的にも成人式等イベントなんて有り得ません。更に周りにいる乗客も存在感が薄く、その袴を着た女性がやたら目立っているのです。しかも、何故かサリの方へ顔を向けたままで…


(何?何??わたし、あの人を何か怒らせる様な事をした…!?)


りーん…、りーん……


未だ鳴り止まぬ妖しい鈴の音。サリは慌てて顔の向きを正面へと戻し、少し下向き加減。その不気味な女性に対し完全無視を決め込みました。


(……。)


りーん…、りーん……


カタンコトン、カタンコトン…と線路を走り続け、永遠ともいえる刻の中。次の駅へは一体いつ到着するのでしょうか?

そして知らぬ間に、サリの背には大量の冷や汗が伝っていて…


(……あれ?次の駅が……来ない??なかなか着かないよぉ〜…)


りーん…、りーん…


ここは市内回りの環状線。普通なら、すぐ次の駅のアナウンスが入る筈…。しかし待てど暮らせど、一向に駅へ到着する気配がありません。

横でこちらをじぃ〜っと見つめながら立っている不気味な袴姿の女性と、発生源不明の鳴り続ける謎の鈴の音。

そして「これは特急か?」ってくらい走り続ける怪列車との三段階攻撃…。幾重にも重なる不可解な現象にサリの脳内は既にパニック状態に陥っていて


(カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン……)


すると利き手の左で吊り革を持っている、その反対側。ガラリと空いている右側の視界へ、急に人影が現れ…


「……?」


サリは顔をそちらへ向けようとしましたが、何故か首を″グッ″と急停止…


(…い、いる………。今、真横にいる!?)


ほぼ正面を向いたままの視界の右端。ぼんやりと下が真紅に上がピンク色の衣装を着た何者かが、自分の真横に立っているのです。色的にも先程少し離れた位置にいた、あの不気味な女性に違いありません。

音も無く、いつの間にサリの真横へと忍び寄って来たのでしょうか?娘の頭の中は不安と恐怖を通り越し、焦燥感に煽り立てられ…

「″私…、今。死後の世界に来てしまったの…!?″」

…と思ってしまっていたとか…


りーん…、りーん…


「っ〜!?」


やがてサリは。その女性が非常に危険な存在だという事を認識するに至ってしまいます…


「う、嘘…でしょ………?」


列車の車窓には常に外の景色が映っていますが。列車外から差し込む光加減によって、車内の座席や乗客が反射によって見え隠れしたりしますよね?しかし…、サリのその視界の端に見えている袴姿の女性が、何故か正面ガラス窓に、一切映し出されてはいなかったのです。


(…っ!?)


確実に横で″人″が存在しているのに、その姿がガラスに全く映し出されない…。まるで古いヴァンパイア映画に出てきそうなワンシーンですが…

あまりの恐怖にサリは狼狽し。急遽その薄気味悪い女性がいる反対側へ、ほぼダッシュに近い早歩きで乗車口の扉前を通り過ぎ、空いていた座席へと座り込んだのです。顔は青褪めググッとキツく目を瞑り、ずっと下を向いたままで…


(お願いっ!どこでもいいから、早く次の駅に着いてっ…!)


りーん…、りーん…


全く鳴り止まぬ鈴の音に、全く着かない次の駅。そして自分に付き纏う生を否定したかの様な悍ましき存在じょせい


「……。」


(カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン、カタンコトン………)


永遠と言える時の中。このまま目を瞑り下を向いていても解決しないと考えたサリは思い切ってその目を見開き…


「……。」


俯いていた自分の顔を、あの薄気味悪い女性がいた方へ、ゆっくり…、ゆっくりと…目をやりました…。すると…


……いない?いえ、消えた?人が歩く様な足音は全く聞こえなかったけど…

いやいや…、そもそも″女性アレは人と言える存在″だったのでしょうか?


自分の視界から、あの女性が消え。少しの安堵と未だ拭えぬ不安とが入り混じり鼓動は高鳴ったままで。


「はぁはぁはぁ…、息が…」


この恐怖心を和らげてくれるであろう特効薬は、もう時間の経過しかないのかもしれません。そして、いつの間にかあの鈴の音も止んでおりサリは何事も無かった様に正面へと顔を向け直しました。

自分は一列車内の座席にポツンと座っている只の乗客の一人…。しかし、薄気味悪い袴姿のあの女性は一体何だったのでしょうか?今思えば、その表情は血の気の引いた死人の様にも見えました…。サリは当たり前の様に気を失ったりするので、魂が飛び出して幽体離脱りだってたのかも知れませんが…

しかしです…


「……。」


まだか…?ってくらい、一向に着いてくれない次の駅。再びサリの脳裏に不安が過ぎります。まるで自分が「″霊的な世界″」へ本当に足を踏み入れてしまった様な感覚に陥っていて。それがやがて譫言の様にサリの口から溢れた瞬間…



「いつになったら次の駅に…?」



『もう……すぐ…よ……?』



……と。これは声?いや、車輪や車体の軋みや騒音?明らかに人間の発声とは異なるリアルな声がサリの鼓膜を震わせました。

…そうです。恐怖はまだ去ってはいなかったのです。そして視界の片隅。座席へ腰掛けている自分の真横へ、再びあの袴姿の女性が並んで座っていたのです。サリは怯え震えながらも前を向き、正面のガラス窓をふと見つめました。


りーん…、りーん…


(ひっ…)


再び鳴り始めた鈴の音に合わせ。確実に自分の横に座っている女性ソレは、やはり正面の窓に映ってはいませんでした…


あの『もう…すぐ…よ…?』と言った不気味な声も未だ耳元から離れなくて…。そして、いてもたってもいられなくなったサリは覚悟を決め、思い切って袴姿の女性が座っている方へと、一気に顔を向けーー



……



(プシュー………)



…………



「……………?」



真っ白な意識の中。サリは列車内の座席から前へ滑り落ちたかの様。その座席前の床へ両膝をつき、半立ち状態のまま意識を取り戻したのです。

改めてゆっくりと周囲を見渡しますが、視界はボヤけており。そこでコンタクトを紛失してしまったと理解に至ります。


「み、見えない…。ひぇ、全く前がぁ…」


更に…


『大◯駅〜、大◯駅〜…、お降りの際は…』


と続き、聞き慣れたステーションのガイダンスが


「あれ…?も、もう、大◯駅に着いてる…の?」


他の乗客は目的地に着き、さっさと降りてしまったのか。既に列車の中は「がら〜ん」と、もぬけの殻。その中でサリは一人、半正座状態のまま気を失っていたらしいのです。そして落としたコンタクトを探そうとリュックから予備のメガネを探したのですが…


「わ…、忘れ…た……!?こんな時に限って…、うぅ……」


超…鈍臭くて、超…運が悪く、超…可愛い我が愛娘サリ。コンタクトに頼り過ぎて、思いっ切り予備のメガネを自宅に置き忘れてきたとか…。もちろん娘が裸眼で落ちたコンタクトを探す事なんて100%不可能です。だから仕方無く列車から降りるしかなかったサリ。

でもケイジは娘がコンタクトを失くした事よりも。列車内に大量にいたであろう乗客が、誰一人としてサリを助けようとしてくれなかった事の方が凄く辛く悲しかったのは秘密です…


「今日は…、もう帰ろう…」


超ド近眼で…、前が全然見えないまま大学に行っても意味がありません。だから娘は家へ引き返すしかありませんでした。でも、相変わらずボヤけた視界に頭はボーッとしたままで…、駅のホームベンチに座って小休憩をとる事にしたのです。


「アレは…現実だったの…?それとも……夢?」


現実か否か、サリは先程の怪現象の事で頭がいっぱいになっていて。取り敢えずそれを落ち着かせようとベンチで三十分位休憩し、頃を見計らってサリはやっとこさ立ち上がりました。


「もう大丈夫…かな…?そろそろ行こう…」


追って、再び紛失したコンタクトの事が脳裏に過ぎります。高価な物だし…、今回で三回目だし…、大学費用も凄く掛かってるし……と。娘なりに色々と申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになっていたみたいで…

父親ケイジは怒ってないぞぉ〜。そんな事〜、気にすんなぁ〜。」と書いてもサリに伝わる筈も無く…


やがて、ホームで待っていたサリの耳に帰りの列車が到着するガイダンスが流れてきました。そして並んでいる客の後方で普通に待っていたらしいのですが…


(プシュー…)


「っ!?」


前で待っていた乗客は、まるで列車の中へ吸い込まれるかの様に次から次へと乗車していきます。

ですが自分が乗車する際、見覚えのある人物が乗車口のど真ん中に立っていたのです。



りーん…、りーん…



「……!?」



視界はボヤけていますが。例の如く下は真紅に上はピンク色の袴姿の女性…

…と、驚きのあまり娘はその場で棒立ち状態になってしまい。それを背後から抜き去りながら、鬱陶しそうにサリを稀有な目で見ながら通り過ぎる心無き乗客たち…


「……。」


すると最後の乗客がサリを横目に前を通り過ぎた瞬間。その袴姿の女性は、その場から跡形も無く消え去ったのでした…


「!?」


(プシュー…)


やがて乗ろうとしていた帰りの電車はサリを置き去りに扉が閉まり、そのまま出発してしまいました…


(……。)


りーん…、りーん…


再びあの鈴の音が…

しかも今度は音が近い…?近くの人が?いえいえ…、先ほど列車が出発した直後なのに、周囲に人がいるワケは無いのです…。では、その発生源は一体……?サリは利き手に違和感を覚え、ゆっくりと目の前でその手を広げてみました。すると


りーん、りりーん、りーん…


「う、嘘っ…」


自分の手の平の上に載っていた、全く見覚えの無い薄汚れた大きな鈴付きの真っ赤な御守り。一体いつ?何処で?ボヤけた視界でも、これだけ近ければ嫌でも、それが何んなのか位わかりました。


「きゃっ!!」


そのまま両手を前で振り払い、御守ソレりを放り投げたサリ。あまりのショックから再度気を失い掛けるも、自力で堪え、何とか踏ん張って…


「ん〜……」


取り敢えず。その場から少し離れたベンチまで行き、サリはなんとかそこへ腰を下ろしました。

あまりの動揺に「はぁ、はぁ、はぁ…」と、息遣いも荒く、必死にあの謎の御守りを持っていた理由について思い出そうとしました…


「何で…、何が…?」


と、全く思い出す事が出来ません。そして自分ケイジは、家族に『万が一″霊的な物に触れたり、その手の干渉を己が受けてしまったら。かなり危険だから知らんぷり…、要は完全無視するんだよ…?″』と教えてもいました。

早い話。万が一にも、その類いのモノとシンクロしてしまうと、お持ち帰りしてしまう可能性が非常に高いからです…

でも誠実なサリは…


(スタスタスタ…)


もう一度御守りの落ちている場所に戻り、一度投げ捨てた御守りを拾い上げ。その表面を軽く「パタパタ」とはたき、リュックのポケットに仕舞い込んだのでした…


「うん。これはパパに相談しよう…」


おいサリよ、パパは霊媒師じゃないからな?心霊現象的なモノは一般の方たちと同様、普通に怖いし。ヤバいと思ったら俺は恥もへったくれもなく逃げるぞ?

ちえっ…、この娘ばかりは余計なモノを持って帰っちゃって…。こうなったら一度ガツンと…


「……という事があってさ?これがその時の御守り…。パパにしか頼れなくて…。それにコンタクトを何度も無くして本当にごめんなさい…」


「ん?サリは怪我が無かったんだろ?だったらそれでいいじゃないか。御守りはさ、こっちでパパがお寺に持って行って供養しといてやるから。ついでにサリの身体も簡単に俺が祓っといてやるよ。けどな…?もし万が一、サリの目の前に再び袴姿の女性が現れた時は完全に無視して、またパパんトコに相談しに来いよ?」


「うん、パパありがとう。」


ふむふむ…。「パパ、ありがとう。」…何て良い響きだ。…で、ガツンは何処にいった?そして普段は神なんて信じない!と言っておきながら、いざとなったら神頼みで″うわべだけなら天下一品″の自分ケイジ……何か問題でも?


そして、ここからは余談ですが…。″あの御守り″を娘から手渡された瞬間。リアルに鳥肌と、ある種の痺れと共に全身へ悪寒が走りました。で、ウチのオカンは走りませんでしたが…。と、また脱線…

でも…、アレは確実に″いわく付きの御守り″だったとケイジは嫌でも理解させられました…。それは何か言いようの異様な怖さと倦怠感が酷い?…的なものを肌で感じてしまいましたから…

そして、その御守り自体は詳しく見たり触ったりせず、その日の晩。玄関の外にある下駄箱の上に置いておく事にしました。

そして何事も無く次の日の朝を迎えましたが、家で心霊現象的なものが一切起こらず一安心。そしてその日の内、お寺へその御守り持って行って供養してもらったのです。

手渡したお寺の女性かたは流れ作業の様に″ソレ″を平然と掴み、持って行かれましたが…。アレ?ゾッとしなかった??…自分の様にそれを肌へ感じる方は少ない様で…。俺は触る度、ゾッとして…ブツブツ………ま、いっか…


結果として、夢か現実かがわからなかったこの一幕。サリはコンタクトを止めメガネに戻し今も通学してますが、あれから一度も心霊現象的なモノに遭遇したり気を失ったりはしていないとか。自分ケイジも悪寒を感じた以外は何も体験はしていません。じゃあ、娘が見た″女性アレ″は一体何だったのでしょうか?ですが…、あの謎の″御守りが本当に存在した″事は唯一の真実かと…

で、悪霊めいたものなら…。いつも自分ケイジの周りには、鬼……い、いえ。や、優しい妻が徘徊……いやいや…。いつも居てくれので…ホッ…と一安心…?してる事に…、いや、しています……よ?





完。

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