六十一ノ怪 炎呪
これは昔ぁーし昔しの話…………な、流れはありきたりですが…
取り敢えず自分の若い頃、旅行帰りに実家へ土産を持って行った時。今は亡き母から何気に聞かされた我が兄弟、次男タメ兄が体験した恐ろしい目に遭った心霊現象のお話です。
恐らく自分が金にだらしのない父親に預金を使い込まれ、プッツンして家出した後の出来事だったと思うのですが…
でも、本人とは仲があまりよろしくなく、直接聞いたワケでもないので、今回はちょいアレンジやスパイスを加えて書かせていただく事にします…ーー
常々より就職活動に明け暮れていたタメ兄。
短気は損気…と良く言われますが、彼は生粋の気短職人。その所為か飽きる事なく行く先々でトラブルを引き起こし、即刻クビや自主退社を繰り返していたのです…
「今度は……。ん?◯◯会社……、設備系の会社……かな?」
偶々、ハローワークで自動ドアの取り付け工事に携わる設備会社が目に留まったらしいのですが。よほど急を要し人手が足りてなかったのか、募集要項で″要面接″と書かれていた筈が、送付した履歴書のみでいきなり採用通知が届くというラッキーハプニング…
「おっしゃあっ!やった、採用だ……って、これは素直に喜んでいいのか…?」
まさに何かの伏線か?出入りが激しい会社では、その理由が何かしら陰を潜めているものなのです。そして話は進み…
「初めまして。今日からここで働かせていただく事になりましたタメといいます。若輩者ですが、どうかご指導の程…ーー」
初出社早々。朝一番の挨拶で手短な新入社員のアピールをしましたが、全ての社員はピクリとも動かず全くの無反応。
ひょっとして今は、お通夜中なのか?もしくは、あなたたちは幽霊ですか?いやいやいや…″どうせコイツすぐ辞めるんだろ?″的に思われてるとか…?
…と、奇々怪々。どんよりな雰囲気と空気がズーンとやたら重くて…
贅沢は言わない、頼むから最低一人くらいはコッソリひっそりと俺に笑顔を見せてやってくれ…
…的な願いは、やっぱり叶いませんでした。
(う〜ん…。朝の雰囲気が怖いぞ、ここ…)
工業高卒といっても、この手の仕事は未経験だったタメ兄。まずは一ヶ月間の研修から入ります。ビルの最上階、要は薄暗い三階通路の一番奥に研修部屋なるものが存在するのですが、そこでタメ兄は″エイ″という先輩に作業工程を伝授される事になりました。社会人としても、まだまだ若い二十代後半の兄に対し、年季の入った白髪混じりの彼は四十代後半でしょうか?しかし、いざ研修が始まると…
「はぁ…、お前が新しく入ったタメか?」
「あ、はい。よろしくお願いしますっ」
タメ兄の態度が気に入らなかったのか、足が臭かったのかはわかりませんが。エイから急に呼び捨て&深々とした溜息の洗礼を受けました。いくら気が短いとはいえ、タメ兄も最初くらいは沸き上がる怒りを堪えます…。でも、更に実技に入ると…
「って、違う、違う。あーもぅ…。ちっ、分んねぇヤツだなぁ…!こうだよ、こうっ。早くやれっ!」
(カラン、カラーン…!)
「………すいません…」
「コイツはダメだ」的に、手に持っていたスパナを床に放り投げるエイ。やった事の無い仕事を初心者が最初からパーフェクトにこなせるなら、その研修自体が不必要では?
でも、それが出来ないから研修期間というものが存在するのであって。社員能力向上の為にも当然必須であると理解されてないのか…?
そんな当たり前な事でエイの指導はまさに理不尽、横柄、横暴…と、会社の採用人数がやたら多かった事との因果関係が浮き彫りになりました。
(ガッ!)
「い、痛っ…」
これでトドメとばかり。エイはいきなりタメ兄の脹脛を足蹴にし、更に振り返って睨む兄に対して
「あー、何だ?入りたてのヒヨッコがこの俺様を生意気にも睨んでくるのか?お前みたいな役立たずっ。仕事も出来ないくせに、サッサと辞めて家に帰ってくれてもいいんだぞ?おい」
…と。クレイジーことタメ兄に、そう言っちゃったらしいです。あーあ、″この人やっちゃった″よ…
「……!?」
研修とは名ばかり、まさにここは新入社員苛めの拷問部屋だったのです。
そしてこの頃キンキンキラキラ茶髪からやっと黒髪に戻したばかりの第一級天然記念物、元超ヤンキーのタメ兄の入れてはならない脳内起爆スイッチを彼は「″パチンッ!″」入れてしまう事になるのです…
まぁ…早い話が、どうせ辞めてやるのだから…と。
(ググッ…)
「ぁ、ぐえっ!?」
タメ兄は相手の胸ぐらを利き手で「これでもかっ」と強く掴み、引き摺る様に壁に押し当て、そのまま彼を吊るし上げたらしいです…。でも殴ったり蹴ったりの暴力は振るってないからOK?な、ワケはない…
「ご、めん…、な、ひゃい…」
「速攻、アンタの上司を呼んでこいっ」
「…ひゃ…い」
実はタメ兄。これでも「ググググッ」っと、心の底から沸き上がってくる暴力的な本能を必死に堪えていたのです。こんな人当たりが厄介な会社でも、まだ生き残りたかったのでしょうか?
しかしです。この後、タメ兄の怒りを真摯に受け止めてくれた社長が即対応してくれて。その日の内に研修担当をエイからビイへ交代してもらえる事に。
ほんと兄はこの時、よくクビにならなかったものですが…。もしくは、普段から会社ではエイの素行や評判が悪かったのかもしれませんね。
いえいえ……。本当はこの時に、クビになっていた方があの様な目に遭わなくて済んだのかもしれませんが……ーー
「タメ君、そうそう。ふむ、上手く出来るじゃないか」
そして、やっとながら研修を再開。次に指導してくれる方も五十歳位?ビイは先に起きたトラブルなど気にも留めず。タメ兄に、きっちりとした手順で仕事のノウハウを伝授してくれました。
ただ、三階では希に変な焦げた匂いがする事と、行き先の現場の話については何故か誤魔化される事が多々あったようで…
そして別段、何も起きないまま普通に一ヶ月程が経ち…
「タメ君、この一ヶ月間よく頑張ったな。ようやく明日は君の初仕事。ボクについて来て更に一連の流れやコツをしっかりと掴むんだよ?ホント、頼りにしてるからね?」
「はいっ、ビイさんっ。一ヶ月もの長い間、御指導本当にありがとうございましたっ。そして気分一新。明日からもまた頑張りますので、どうかよろしくお願いしますっ!」
ヤバい位の不良で、警察によくお世話になっていたのは遠い昔の話。今や、お世話になった方には誠意をもってちゃんとそれ応える。それが社会人になって真面目に働いている兄のやり方でした。
「明日は初仕事、しょっぱなだな…。マジに頑張るかっ」
変なところで誠実なタメ兄。
会社へは先に「会社には朝早くから来てる人がいて、鍵が開いてるよ」と聞いていたので、仕事開始の一時間前には出社していました。そして素早く青いつなぎ服に着替え、車に道具や部品の積み忘れが無いか、更に作業マニュアルの確認や契約書類に何度か目を通します。
人付き合いが苦手で、超短気と秘めたる暴力性を除けば本当に真面目な兄。結果として、この会社の上役たちから凄く気に入られる事になるのですが…
「お、タメ君。来るのが早いな?関心、関心」
「あ、ビイさんおはようございます。折角この会社に入社させてもらいましたし。最初っから失敗して、一生懸命指導して下さったビイ先輩の顔に泥を塗るなんて事、俺には出来ませんから」
「タメ君…。そう言ってくれたらボクも教えた甲斐があるよ。ホント、頼りにしてるからねっ?」
そう言って互いに照れ笑い。残念ながら二人は青いつなぎを着ているからといって、妖しいラヴには発展しませんでした…。ウホッ、残念…。…って、個人的なネタで脱線すいません…
(バタンッ)
やがて事務所で受注書を受け取るとマニュアル通り部品や資材の段取りをして営業車へと乗り込み、自動ドアの修理依頼を受けた先へと向かいます。すると車内でビイが急に神妙な面持ちになり
「タメ君……」
「あ、はい」
「初仕事の日で、いきなりこんな話をするのは気が引けるんだが……。エイの事、あまり怒らんでやってくれ…。詳しくは言えないが。アイツも色々と事情があって、ああなってしまったんだ…」
と、少し意味深なエイの代理釈明。そこで兄は
「…?……ビイさんがそう言われるなら、俺は何も言いません。一切合切、水に流しますから」
と、心からの笑顔で返します。
「ありがとう…。改めて、ちゃんとアイツに謝らさすから。今度一緒に飲みに行こうな?」
「はい、わかりました」
ビイがトラブルのあったエイとの仲を取り持ってくれる事に。この人はホント上司の鏡みたいな人です。そして
「あ…、今日は…ここだったか…」
「……?」
と、改めて受注書を見てビイが、少し困った感じに言葉を濁しました。更に…
「タメ君。君は…、その…なんだ……。″アレ″は大丈夫なのか?」
「…はい?」
ビイの言う″アレ″とは一体何んなのか?…って、この前振り必要か?先の伏線からしても、成り行きがありきたりだぞ…。勿論、出るんだろ…?″アレ″が……
「行けば分かる、行けば分かるさ…」
「は、はい…」
そこは大阪市内。
色々な造形の建築物が立ち並ぶ、とあるオフィスビル街。喧騒な表通りから逸れ、先の通りからは想像出来ない、人通りが少なく日影で薄暗い道路の突き当たり。その正面にある大きなビルの前に車を停めます。そして、その建物へと入っていきます…
「この通路の先を左に曲がれば…」
そして無事現場へ到着したはいいのですが、兄は虚な目にポカーンとした顔。そんな状態のまま事務所入り口の上部を凝視。その表情は驚きを隠せずにいて…
「マジ……か…」
そう呟くタメ兄の額や頬には「たら〜り」と、冷や汗が伝います。それに合わせ横で目を瞑り「ウン、ウン」と何度も頷いてるビイ。
ここから先、一体彼らにどんな恐怖や試練が待ち構えているのでしょうか…?
「″あ、キタキタ〜。いらっしゃ〜いっ!″」
…と透き通る様な、うら若き女性の声。更にその視線の先に、やたらと特徴的な看板が…
『◯◯ランジェリー◯◯』
「……。」
オチとしても全く落ちない。ただ単に下着や水着の企画や製造販売を専門とする会社からの修理依頼だったのです。
「タメ君、独身だろ?……良かったな」
「良かったって何が…!?」
中は若い女性、綺麗な女性、美しい女性と…。取り扱い商品の所為か、際どいボディラインの衣装を着た女性がやたらと多く。更に至る所の壁へ見本?的な下着や水着も多数飾られていて…
(ゴクリ…)
後でちゃんと話を聞くと、ここの入り口の自動ドアはよく故障するとか?修理はいつも完璧にこなしているのですが、立地的な要因から、ビルの湿気が″この辺りに集中する″のが原因らしいのです。「ドアがダメなったら、またココに来れるぞ?」…的な感じに、ビイは満面の笑みでタメ兄の肩に手を乗せてきました。
「いや、俺ってそんなキャラじゃあ無いですから…」
「じゃあ、嫌なのか?」
「い、いえっ。すんごいウエルカムですっ」
「わはははは。そうだろ、そうだろぉ〜。若いっていいよなぁ〜!」
初出社で疎外された様な嫌な思いをし、初仕事で美味しいポイントを知ってしまって好印象。とんだギャップ的一日と相成りましたが。
兄は慣れない仕事でちょいと時間を要し、会社へ戻る頃は日も暮れ終業時間前になっていたのです。
「ビイさん。今日はありがとうございました」
「ん?下着屋の件か?」
「ち、違いますっ。自分の上司がビイさんで本当に良かった…って話です。これなら必死にこの仕事を頑張れそうですからっ」
そう言ったタメ兄に
「そ、そうか。ありがとな…?」
何故かビイは夕暮れ時の空と自社ビルの上階を眺め、急に余所余所しい態度になっていました。しかしそんな事、気にも留めなかった兄は
「あ、俺。もし誰か会社に残っているなら″三階のあの部屋″で、もう一度作業の流れを確認しておきたいんですが…」
と、自分の仕事に対する姿勢や熱意をビイに見せたつもりだったのですが…
「ダメだっ!!」
「……!?」
意味も分からず。いつも優しかった大先輩から急に怒鳴りつけられ、その形相のあまりの変貌ぶりに兄が唖然としていると
「タメ君?ここでは仕事が終わったら、サッサと家に帰る事。どうしてもやり残した事があったら一階エリアで済ませなさいっ。わかったか?」
頭ごなしにそう言われ全然納得がいかなかった兄は、その場で今まで口にしていなかった一つの疑問を彼にぶつけてしまいました。
「ビ、ビイさん…。もしかして三階に上がる階段側壁にたくさん貼られている、あの大量の御札が関係してるんじゃないですか…?」
的を突かれたかの様。その問いに対しビイの表情は次第に青褪めていき
「違うっ…!″この事″はまた改めて話すから、取り敢えず今日は帰れっ…」
「…は、はい……」
驚きと困惑。脳内に不安要素を大量に抱えたまま、この日。兄は何もせず家に帰る事になってしまったのです。そして全くスッキリしないまま、帰宅中の車内で
「俺…何で怒られたんだろ?ビイさんを怒らすような事を言ったかな…?言ったかも…?」
そう自問自答し、兄はずっと悩んでいました。
ビイとの会話で″どの部分″が問題だったのか?もしかしてちょっと口が臭かったとか?足が無茶苦茶臭かったとか…?え?ワキ??…と、そんな事ならまだマシです。
ひょっとすると、あの会社の三階には何か重大な秘密が隠されているのではないか…?
…と。ここで少し話しが逸れますが。
自分の兄弟は長男ナガ兄は霊感がとても強く、三男の自分は弱いながらも霊感は有るつもり?…なのですが。次男タメ兄は過去に「ケイジが言った近道の所為で、幽霊に遭遇してしまっただろ!」…と、直接文句を言われた事もあり。長男を″強″とするなら。三男の自分は″弱″…ならば三段階的考察から、次男は″中″位の霊感がある様な気がします。
あ、もちろん個人差はあるでしょうが。仲が悪かった次男から直に聞かずとも、その霊体験談やらを母づてに幾つか聞かされた事がありましたから。
…と余談はここまでにして、再び話を戻し…
まぁ、悩んでいても話は進みません。そして次の日。兄は出社の際、両手を高く天に掲げゆっくりと深呼吸。気持ちを落ち着かせ再びあの職場へと向かいました。
普段通りの陽が登る前の早朝出社。事務所や更衣場は一階、二階はリフトが出入り可能な部品が大量に置かれた資材エリアです。三階は研修以外に上がる事が無かったので、恐らく古くなった資材や書類等を保管しているのかな?…な、想像くらいしか出来ません。
ただ、二階から三階に続く階段側壁には、仰々しい程の御札が幾重にも貼られているのです…
(ぱちんっ)
「よしっ」
まだ太陽が登らない朝日を待つ真っ暗な会社内でタメ兄は自分の頬を叩き気合いを入れ、二階から三階に上がる階段をじっと見つめていました。
「……。」
毎朝、先に来ている上司の″シイ″は一階で黙々と事務作業をしているので。ビルの中は今、兄の足音と作業着の摩擦音くらい。ひっそりと静寂に包まれていました。そして普段通りタイムカードを押そうと事務所に入り
「シイさん、おはようございます。いつも早いですね」
「あー、おはようさん。君はいつも早いのぉ」
シイは掛けていた眼鏡をちょい下へずらし。齢七十過ぎに相応しい掠れ声で、少し笑顔を含みながら優しく兄を出迎えてくれました。
(まだ誰も来てないし…。このシイさんに″あの事″を聞いてみようか…?)
先日の一件。会社の古株であるシイなら、自分の納得出来る回答を得られる様な気がして。
タイプ的にも問題は後回しにはせず先に解決しないと居ても立ってもいられない兄。だから考えるよりも先に、それを口走ってしまったのです。
「あの〜……、シイさん…?この会社の事で…、一つ聞きたい事があるんですが…」
「…ん?何じゃ?わからん事なら、何でも聞きんさい」
流れ的にも抜群の手応え。
「これなら間違いなく聞けるぞ」と思う返答を貰え、すかさず
「実はあの薄気味悪い三階について…なんですが…」
と、まさに直球勝負。その本題をシイにぶつけてみたのです。
「……。」
再び眼鏡を下にずらし、表情の無い冷めた顔色でしばらく兄を見つめるシイ。数秒の事なのに、その間がやたら長く感じて…。すると彼は肩が凝った様にクルリと首を回し、軽い咳払いを一つして
「オホン…。三階がどうかしたのか…?」
…と、はぐらかしました。
まさかの質問を質問で返されたのです。兄は今までに物理的、心霊的に何かの現象をそこで体験した訳ではありません。ただ会社に遅く帰る度、ビイが上階を異様に怖がっていて…。でも気になるその件で「ビイ先輩が怯えていた」と直接本人の名前を出せば彼に迷惑が掛かると思い
「″自分は″…いつも階段横の壁に貼ってある大量の御札が気になりまして…」
…と、そう自分だけの問題にして、シイへはそう問い掛け直しました。しかし
「階段や倉庫で働き手が転んで怪我せぬ様に……と。只ので安全祈願じゃて…」
「……。」
またもや納得のいかない回答で返されます。でも互いにしばらく気まずい沈黙を経て、シイはそこでやっと重い口を開きました…
「……ふぅ……タメ君…?一つアドバイスじゃが…。仕事が終わったら、暗い夜に三階へ上がっちゃいかんぞ?駄目なんじゃ…、絶対に…特に夜は……」
意味ありげなどではなく、シイの返事はある種の確信めいたものがありました。その真に迫る表情に兄はゾッとしましたが、それでも被せる様に質問しようとして
「あの…」
「タメ君?君の言いたい事はよぉ〜く分かっとる。しかしじゃ…、これは『夜に三階へは上がらない』だけの話。そうすれば何も問題は起きないんじゃ…。君にも『問題は起きない』…それで納得してくれんかの…?」
「……。」
困惑の表情でこちらに視線を向けるシイに対し、兄は黙って頷くしかなかったようで…。″夜に三階へは絶対上がらない″事で納得せざるを得なかったのです。
(有耶無耶感はあるけど…。この会社は気に入ってるし、黙って言う事を聞いておくしかないのか……)
そんなやり取りがあってから別段問題も無く、はや数ヶ月もの時が流れました。
兄はその能力を認められ現場での仕事全般を任される主任になっていたのです。更にビイのお陰でエイとの不仲は解消し。仲良くなった二人はとある居酒屋で一緒に飲みに行く事になりました。でもエイはちょっとハメを外し、酒を飲み過ぎた様で…
「タメよ。俺はぁな?お前を苛めたかったんじゃ〜あナイんら!分かってくれょお〜……ん?酒が切れたぞっ!つ、追加だっ、こんにゃろぉう〜…!」
「エ、エイさん、そんなの分かってますよ。だからあまり飲み過ぎないで下さい…」
左腕を枕にテーブルにもたれ掛かり、エイはグラス片手に完全に出来上がっていました。タメ兄はそんな彼の背を摩り、宥めていると…
「俺はぁ…、俺は…ひっく。…さ、三階で研修指導なんてぇ〜嫌だったんだ!あー、ムカつくっ!だからぁ、お前に八つ当たりしちまってぇ…、ぐすっ…」
「…え?」
少し目に涙を蓄えたエイ。でも不意を突かれるとはまさにこの事。そこで兄の知らなかった会社の秘密を、彼は呂律の回らない口でポロリと零してしまったのです。
「……出るんだよ。ひっくっ…、あのビルの三階にわぁ〜…、夜にっ!……うえっぷ…」
「…出るって……?」
「ゆ、うぇ…。ゆ、う、れぇ〜………が、出んだよっ、ひっく…。チキショウ…」
「ゆう…れぇ〜……。″幽霊″!?」
兄は「もしかしてウチは″幽霊″が出るんじゃないのか?」という疑念が確信へと変わった瞬間でした。
同時に、エイのその気持ちが痛いほど伝わってきます。しかも主任となった自分は、次に入ってくる新入社員を″あの三階″で研修指導しなければならないのです。
お〜、まいごぉ〜っと。まさに、なんてこったい状態です…
「そうだぁ…。火事でぇ……焼け爛れた……、気持ちぃ…の……、悪ぅ〜い…のが出………っはぅ…。俺ぁ〜……、今度はぁ、お前だぁからぁ…可哀想でぇ、またぁ…、腹が立っ………て………くそっお〜…」
「…!?」
エイは限界が来たのか。そのまま「ストン」とグラスを落とす様にテーブル上に置き、言うだけ言って「ぐーすか、ぐーすか」と寝てしまいました。
兄はもっともっと、その話を詳しく聞きたかったのですが、彼はまるで死んでしまったかの様に爆睡。仕方無く兄が会計を済ませて、エイを背に担ぎタクシーを呼んで家まで送る事にしました。そして、そのタクシーがエイの家へと到着すると
「エイさん、家に着きましたよ?あ、奥さんが出てきました…。エイさん?エイさぁ〜ん…?」
「……もぅふ、もうぅ飲めませ〜んっ!ひっくっ…」
(パコッ!)
「あだっ…」
彼の妻の怒りの拳骨が見事エイの頭部へクリーンヒット。次いで彼は妻に車から強引に引き摺り下ろされましたとさ。めでたし、めでたし…じゃないな…
そして彼女はタメ兄に何度も頭を下げ、最後まで見送ってくれてましたが、一人残ったタクシー内。兄は既に別の事で頭が一杯になっていたのです。
「偶に三階で変な焼け焦げた臭いがしたのは、やっぱり…」
自分の知らぬ過去の大惨事。あの自社ビルで犠牲者が出る大火災でも起きたのでしょうか?エイから断片的に聞かされたワードが、兄の脳内に蠢く恐怖を更に増幅させ、ふと見た腕時計はもう深夜前。ブルブルっと震えがきて「夜に三階へは絶対上がらない、夜に三階へは絶対…」と、兄は小さく何度も口ずさんでしまうのでした。
そして良くも悪くも…無事?いや無事なのか?…で、何事も無くこの仕事に就いて一年が過ぎようとした頃。
兄の研修指導もベテランの域。仕事はバッチリ板についてきたのですが。ある日、ちょっと物覚えの悪い問題児、男性新入社員″エフ″が新たに入社する事になるのです…
齢二十代前半と若いのに寡黙で大人し過ぎて、話せばちょっと言葉足らず。更に教えた事はすぐ忘れ、どこぞの誰かみたく後片付けすら出来ない、雇う側としてはかなりの厄介者でした。良い所を挙げるとすれば、能力と全く比例しない爽やかな笑顔?くらいでしょうか…
「エフ…。だから……何度も言うけど、ここはこう。横のはこうやってこうなる。わかったか?」
「…あ、はぃ〜…」
実はこれでも本人は必死にやっていて、それが兄にもひしひしと伝わってきていたのです。だから兄は教える側としてもめげず、一生懸命エフへ教えていました。
しかし無情にも、その様子を見ていた上司は研修期間での彼の首斬りを兄に告げたのです。ですがーー
「ちょっと待って下さいっ」
鈍臭い彼をとても気に入っていた兄は
「彼は真面目ですし、段々と上達していくと信じていますっ!何か有れば俺が全責任をとりますからっ!だから彼をこのまま会社にいさせてやって下さいっ!お願いしますっ!!」
…と社長に直談判。兄は会社の上司から凄く気に入られていたので、彼のクビの話はその場で白紙になったらしいです。って凄いな…
「先輩〜、おはよう御座いますぅ〜」
「ああ、おはよう。今日も頑張るかっ。…って、おい。いつも言ってるだろ?先輩はやめろっ、先輩はっ。″〜さん付け″だっ」
「ぁ、はぃ〜」
いつも間の抜けた感じが否めないエフ。でも彼は彼なりに仕事を必死に頑張っていたのです。やがて
「この一か月、よく頑張ったな?エフ。明日は俺と一緒に仕事の初回りだ。頼りにしてるからな?」
「あわわっ、は、はひぃ…!」
兄は笑顔でエフの少し天パな髪を利き手でワシャワシャしながらそう言いました。
そしてマンツーマン指導のお陰か、自信のついていたエフの声量は入社時より確実にパワーアップしています。
「さて、今日の行き先は…と」
その日の初仕事。
やれば出来る子…とはよく言いますが。兄の指導が良かったのか、はたまた彼が今まで必死に頑張ったお陰なのか。始終、何ら問題もなく作業は終了したのです。
後は作業慣れによるスピードアップや対人が少し苦手なのを少しずつ克服していけば完璧です。
「エフ、お疲れ。やったら出来るじゃないか」
「は、はぃ〜…。えへへ…」
いつも通りワシャワシャとエフの天パ髪をいじる兄。正直、不安だった初日にちゃんと成果が出て一安心したのかもしれません。
でも状況から、頭の中ではちょっとしたデジャヴに…。それは過去の自分の初仕事と同じで、会社に戻るのがかなり遅れてしまったからなのです。
(もう外は真っ暗だな…。サッサと片付けて家に帰ろう…)
終業後の会社は既に全員が帰宅し真っ黒黒スケ。代わりに入り口の暖色系の門灯が二人を寂しく出迎えてくれました。
「先輩…。な、何か怖いですねぇ…」
「だ、だから″〜さん付け″で呼べっていつも言ってるだろっ。ったく…」
体は右へ左へふらふら、ふらふら。再び頭をワシャワシャされるエフ。
しかし兄は、自社ビルの外から三階をジッと意味深に見つめていたのがバレてしまいました。
「どうかしましたか?…先輩…?」
「い、いや別に……。って、またっ…」
仕事が遅くなったので、この会社特有の約束事。
″夜に三階へ上がってはならない″を遂行する為に、素早く着替えパパッとタイムカードを押してしまいます。ただエフは三階の幽霊話については何も知らされていなくて
「じゃあエフ、俺は最後に二階へ資材を置いて帰るから。気をつけて帰るんだぞ?」
「あ、もし良ければ僕が持って上がりましょうか…?」
「……いや、いい。大丈夫だ…」
「……?」
普段見せないタメ兄の神妙な面持ち。もしかすると自分に指導してくれていたビイも同じ気持ちだったのかもしれません。それを雰囲気や仕草で何かを察知したのか、彼は軽く頭を下げ事務所をそそくさと出て行きました。
「じ、じゃぁ先輩〜、お先ですぅ〜…」
「ああ、また明日な…………、って、アイツまた先輩って…」
兄がツッコミを入れる前にドアがバタンと閉まり、エフは疾風の如く帰ってしまいました。
しかし何度注意しても彼は兄の事を「先輩」と呼びます。まぁ、そんなところも含め可愛い後輩なのかもしれませんが…
「さて……と」
そして最後のひと仕事。兄はプラケースに入れた荷物を持って静かに二階へと上がり、資材の片付けを始めます。
しかしその途中、無人の筈の一階事務所から何故か『ガチャン!』と扉の閉まる大きな音が聞こえてきたのです。
(ん?誰かが忘れ物でも取りに戻ったのかな…?もしかしてエフ…?)
兄は二階へ上がる際に会社出入口をしっかり施錠していたので、灯りのついている社内へすんなり入ってきたから泥棒ではないでしょう。よって兄は会社関係者…所謂、エフや上司の誰かが戻ってきたんだろうと思い、気にせず作業を進めていました。
やがてプラケースの中の物を全て仕舞い終わると。そのケースを専用の積み場に乗せ一階に下りる階段へと向かいました。すると
「……?」
弱い蛍光灯の薄暗い視界の先。二階倉庫の出入口を出ると、左手には上りの階段があり。その方向へ会社の作業着を着た誰かが音も無くスーっと横切って行ったのです。
こんな遅くに一体誰だろう?
体格からしてここの男性従業員に違いありません。でも、その人が向かった先は階段しかなくて、もしかすると会社の″あの秘密″を知らないエフが忘れ物を取りに来た可能性が浮上しました。
「お、おいっ!」
兄は声を上げ、慌てて階段の踊り場へと向かいます。しかしタイミング的にも、上下の階段に″まだ人がいる″筈だったのですが…
「あ、あれ?…いない…?」
何故か三階行きの上りの階段や、一階行きの下りの階段には誰も見当たらず、兄は摩訶不可解な表情をし首を傾げました。その人がここを走っていたら間に合わなかったでしょうが、そんな慌ただしい足音なんてもちろん聞こえてはいません。更に…
「う…、何か焦げ臭いな…」
何度か嗅いだ事のある、何かが焼け焦げた様な異臭が周囲に漂ってきました。そこでやっと兄は会社の″噂話″を思い出したのです。
『この会社で夜に三階へは絶対上がってはならない』
…しかし兄は何かが焦げた臭い以外は、心霊現象的なものを何も体験した事がなかったのです。只の噂話なのでしょうか?いや、上司たちの悲痛な表情や絶望的な雰囲気はある種の恐怖を物語っていました。そんな事を考えていて背筋がゾッとした兄は
「俺は何も見ていない…、俺は何も見ていないんだ…。は、早く一階へ……」
と、身体に取り巻く恐怖を払い除けようと。両手で二の腕を必死になって摩り。階段を下り始めたまさにその時でした…
『た、助けて…』
何処からともなく、助けを求める男性の掠れた声が聞こえ、やむなく兄は階段でピタリと足を止めてしまいました。そして静かに聞き耳を立て…
『……。』
静寂特有の耳鳴り?さっきのは聞き違いか?でも確かに声が聞こえました。後は階段の上から聞こえたか下から聞こえたかの話…。心理的にも…、出来れば一階から聞こえてほしかったのですが…
『……すけて。誰か……』
再び声のする方へ向いた兄の視線はやはり″あの三階″に向いています。そして兄は万が一の事を考え、警戒します。
(ま、まさか…。さっき帰って来たのはエフで、知らずに夜の三階へ上がってしまったのか…?)
『誰か……た…す…』
何度も追い撃つ様に聞こえてくる、助けを求める悲痛な叫び声。エフが助けを求めている様にも聞こえなくもない…
「だ、大丈夫かっ!!」
そう大声を上げた兄の脚はもう止まりませんでした。階段の電気をつけ一気に三階へと駆け上がり、その時は勇気が恐怖に打ち勝ってしまった兄。しかし三階通路の蛍光灯をつけても、助けを求めている人なんて何処にも見当たらず…
「どこだ!?エフか?いるなら返事しろっ!!」
改めて、通路の奥にある研修部屋前や反対側の窓を見直しても誰もいません。そして何気に、ふと三階の踊り場で屋上に続く行き止まりの階段に目をやると…
「…!?」
そこには作業着を着た階段に倒れ込む一人の男性がいたのです。更に鼻につく生物が焼け焦げた様な酷い異臭と共に、急に階段下から吹き上げてくる激しい熱気が…
「大丈夫…です…………か?」
最初は倒れ込む男性が心配で威勢良く声を掛けていましたが、最後は極端に声のトーンが下がっていく兄。
その理由は、その倒れ込む人の身体で見えない筈の階段が何故か透けており、それを少しずつ理解に至る過程でそうなってしまったのです。
「ひぃ…!?」
屋上への階段上に蛍光灯が無くても。薄暗い視界にその″人″の作業着が酷く焼け焦げているのが見てとれました。やがて兄はあまりの恐怖に、きびつを返し階段をゆっくり恐る恐る下り始めます…
一歩、また一歩と音を立てない様階段を下りて行くのですが、既に一階に到達している筈なのに一向に事務所の入り口が見えてきません。それはまるで下り階段を無限にループさせられているかの如く…
(ダダダダダッ…)
「わぁあああああっ!!!」
兄は少しでも恐怖を紛らわそうと絶叫し、慎重に下っていた階段を一段、二段飛ばしの猛ダッシュに変更。状況は叫びっぱなし、下りっぱなしで。やはり堂々巡りしているのを感じながらも、ある踊り場で一旦足を止めました。すると
『あ、つい…、たす…けて……』
…と、声がした方にゆっくり振り向いた兄。そこは先程まで屋上に続く階段手前の踊り場だったのです。
要は三階から下の階に行けなかったという事…
そして焼け焦げた″人″は未だに倒れたままで、更にその″人″は呻き声を上げながら、徐に両手で身を起こそうとしました。それを見て驚愕した兄は…
「お、おぉおおっ…おっ起きないでくれぇっっ!!」
その″人″に対し、無謀にもそう叫びながら絶対叶わないであろう、そんな頼み事を。ラーメン…、違っ、アーメン……
『……けて……』
不気味な霊が立ち上がり、振り向く前に兄は再び階段を全力で下ります。しかし悪い予感は的中し、一階の事務所が一向に見えてきません。
小さなビルなので三階奥の通路は行き止まり、よって「″この階段を下りる″」選択肢しかないのです。そして一体何百段もの階段を下りた事でしょうか…。すると何故か目の前へ一階事務所への扉が急に現れたのです。
「た、たたた…、助かった…?」
ふと兄は、あんなに走ったのに何故か自分の息が全く切れてない事に違和感を覚えました。
「…な、何故だ?」
そこでフラッシュバックしたかの様。視界が再び階段の上段へと再び移動し、三階から下の階を見ている目の前が急に激しい炎に包まれたのです。
熱い、熱い、熱い…
ヤバイと認識するくらい、この場にいたら確実に死が訪れるであろう熱気を肌に受け、兄は今度は上の階を目指しました。上がっても、上がっても下から火の手が上り、やがて兄の目に再び屋上に上がるあの階段が現れます。そこに先程いた″人″はその場から消えていましたが、背後から激しい炎がこれでもかとばかり迫ってきて…
もう選択肢は無いに等しく、兄はその階段を駆け上り、屋上出口の扉を必死になって開けようとしました。
(ガチャ、ガチャガチャ!ガチャ!!ガチャガチャガチャガチャ!!!)
「開かないっ!!助けてっ!!熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いっ!!」
更に振り返った兄の目には炎の中から大量の手が飛び出してきて、作業着や体の四肢を強く掴み離してくれません。これから自分は一体どうなってしまうのか?こいつらに何をされるのか?…まさか、焼死?もしくは幽霊入りさせられるのか?
…と。その後の記憶は、あの灼熱地獄の中。自分の手や足首を掴んできたその手は氷の様に冷たかったという事だけ…
「はっ…」
一体どこからどこまでが夢だったのか、否。全て現実だったのか?身体を譲られ誰かに起こされた兄が、やっと目覚めたのは日も上らぬ次の日の朝。いつもの様に早朝出社したシイが、兄の車が駐車場に停まっていたのを発見し、三階の踊り場で倒れている兄を発見したからとか…。その後、兄は出社してきたエイやビイ、更に社長に自分の体験した出来事をありのままに報告しました。すると社長は重い腰を上げると、会社で起きた過去の惨劇を寂しげに語り始めたのです。
「タメ君すまなかった…。実は…ーー」
それは十年ほど前に起きた悲惨な火災の話で、普段通り会社が営業していた、ある夜の日の出来事。
二階の資材置き場から突如、原因不明の火災が発生し、二階と三階は完全に焼失してしまう事になるのです…
では、一体何が?誰が被害に遭ったのか?
今は一階事務所に統一されているのですが、火災発生前は三階に営業事務所があったらしく、帰りが遅くなった三人の社員が逃げ遅れてしまったのです。
三階から逃げる場所はビルの屋上のみ。
その屋上への出口となる小さな扉の手前で、鍵が掛かっていた為に逃げれず、その場で三人とも焼け死んでしまったのだとか…
そして半年掛けてビルを建て直したものの、その無念からか毎夜毎夜、悲痛な叫びをあげる……ーー
後は読者様の御想像通り。悲しくも最後はあの鍵の掛かった扉がある屋上行きの階段上で、三人とも互いが「我よ我よ…」と、覆い被さる様に亡くなっていたらしいのです。
そして兄はそのショックもあり、社長の勧めで一週間の有休をもらう事になりました。しかし兄の心の静養となる筈の、その有休は悲惨な結果を生んでしまう事になるのです…。それはようやく次の日、出社予定だった兄に突如掛かって来た一本の電話で…
「ーータメ君…。すまない…、急にエフが会社を辞めてしまったんだ…」
「え……、ええっ!?」
改めて話を聞くと…
当日彼は夜に″霊″と遭遇してしまい、その怯えようは尋常では無く、あまりにも酷い有り様だったとか…
だって『夜に三階へ上がってはならない』という約束事を彼は″知らなかった″のですから、当然と言えば当然かもしれません。
挙げ句、彼とは現在連絡が取れなくて音信不通になっているらしいのです。恐らく兄が不在だったのがその要因の一つに含まれていて、そのショックは計り知れません…
「くそっ、くそっ……、俺がエフに″あの事″をちゃんと教えていれば…。くそっ、完全に俺の所為だ…。全部俺が悪いんだ……」
その後。真っ直ぐな性格からか必然的に兄は自己嫌悪に陥り。
「タメ君、辞めないでくれ…」と上司から懇願されるも、後輩への責任という名目で兄は自主退職に至ってしまいました。
自分的に、兄に落ち度は無いと思うのですが…、第三者の見解は…?
そして″あなたが働く職場″も知らない過去、人が死ぬ火災に遭った事は無いですか?ビルでなくとも一般的な建造物も然り。知らず知らずに理由も分からず、急に″アレ″から救いを求められぬ様お気をつけ下さいませ…
完。




