五十三ノ怪 終焉?謎の世界への誘い
今日は自分が眠る際。希に脳裏に映るあまりにもリアルなビジョンについて語ります。他の方もこんな経験をした読者様はいるでしょうか?取り敢えず自分の家族からはバカみたく、全否定されてしまっていますがーー
「パパッ。腕、腕!」
「あ、はいはい。腕枕だな…、ほらっ」
(ごそごそ…)
普段から自宅部屋ではいつも息子のユトといて、世話やら何やらし終えると二人は一緒に並んで仲良く寝ます。
習慣とは恐ろしいもの。よって横で腕枕をしないと息子は寝てくれなかったり、最近は自分と同じ位の体型になってきたので色々とキツいのですが…
「スー、スー、スー…」
息子が寝たのを確認してから、自分はやっとオヤスミタイム。しかし目を瞑りレム睡眠へと落ちる前。要はまだ意識がある内に、やけにリアルな景色が脳裏に浮かぶ時があるのです。
「今日は″アレ″が見れるかな…?」
部屋で横になりオレンジ色の常夜灯のみにして目を瞑っていると、その表現は人それぞれでしょうが、意識下にモヤモヤっとした黒い斑模様?目蓋の中の影の様な蠢くもの?しか見えませんよね?
でも自分は、いきなりある部分にハッキリ見える小さな建物や景色が現れる時があるのです。それをジーッと凝視していると運が良ければ、その小さなビジョンが脳内へ一気に拡大する時があるのです。
その世界は無音・無人、自分の記憶の中に存在しない全く別の場所。
見える景色は毎度変わるのですが、例えば朽ちたトタン屋根の建物だったり、横の庭にはボロボロになった垣根があったり、周辺に何も無い鬱蒼とした林の前にいたり。
更には壁に何かの看板が掲げられている、古びた店舗前にいたなんて時も。時代的には昭和から平成間かな?ただ、今までにその世界で人を含む生物等を見掛けた事はありません。
『一体、今日は何処に来たんだ…?』
その状態では床の間の現実世界の物音が聞こえ。意識がしっかりしているので、幽体離脱では無いと思われます。まぁ、皮肉にもこれが見えるきっかけは、出来もしない二度目の幽体離脱を何度も試した結果なのですが…
そして理由は分かりませんが、その映像は物質のラインが細部にわたりリアルに見えているのです。そこで自分の存在を確認をしようとすると、手足や体は無い思念体の様な存在。意識するだけで見たい位置に素早く移動出来たり。これは?…と、気になった部分を覗けば覗く程、壁の窪みやその模様。足元の砂利の形まで鮮明に見えるのですから…。夢だと、これらはあり得ないと思います。
更に夢でない証拠に″意識すれば、いつでも起きる″事が可能。しかし起きてしまうと続けて同じこのレアな世界に入り込めなくなるので。最近は意識落ちからの寝落ちをしちゃうまで、初見の景色を堪能していたりしますが…
そしてある日の事。チャレンジするのが日課となっていて、いつもの変な世界に行こうとして…
「ここは…」
そこは何も無く枯れ果てた赤黒い焼け焦げた森の中、一人ポツンと自分が存在し。まさか、この世界は終わりを告げてしまったのでしょうか?彼方此方が焼け焦げていて、木々の葉という葉は全て落葉し。枯れ木ばかりで視界が開けています。見える周囲の地も同じく至る場所が焼け焦げていて…。その世界の物に触れたりは出来ないのですが、木目の焦げ具合もあまりにリアル過ぎて…。そして空には視界の七割を埋める程の漆黒の暗雲が、それ以外の空は血の様に紅く染まっており、まさに恐ろしき地獄絵図か天変地異の様相なのです。
(……!?)
自分は一体″何″に″何を見せられている″のでしょうか?しかも目の当たりにする全ての映像があまりにもリアル過ぎます…。もしかして、自分が死ぬと行かされる地獄なのでしょうか…?
この世の行く末…か?はたまた転生前後のビジョン?まさか…宇宙の果てにある全く別の世界なのでしょうか?しかし、そこに答えなんて有りません…
その赤黒い不気味な世界にいる時は、焦り、恐怖し。逃げる様に、ひたすら移動しました。進み、進んでも周囲の変化は無く…。まるで迷い込んだ枯れ木ばかりの樹海。もし自分が霊体なら、空からこの地の全体像が見れるかも?と思い浮くチャレンジをしてみますが、生身同様に飛べるわけもなく。移動し続けても、やはり同じ景色が延々と続くばかり…
仕方無く元の現実世界へ戻り、常夜灯のみの薄暗い部屋中で一人寂しく目を覚ましました。怖さのあまり心臓は激しく脈打っていて…。あんな不気味な″モノ″を見たのは過去一。謎の発光体を見た後に必ず殺される夢を見てしまう、あの日以来の事でした…
「何だったんだろう…」
この現象…。所謂、そのビジョンが広がる事は多くて月に1、2回有る無し。かなりレア?行き先は完全にランダムで、ハズレなら赤黒いあの世界へと…。行った先の場所で壁に貼ってある広告が有れば、説明書きまで読めたのでかなり笑えます。
でもしかし、目覚めの直前迄は状況を説明出来る程ハッキリと覚えているのですが、メモらないと時間の経過と共にその記憶は曖昧、有耶無耶になってしまうのです。
まぁ記憶に関しては普通に生活していても同様なのかもですが、あの恐ろしい赤黒い世界のビジョンだけは何度見ても身体が受け付けてくれません…
今は温暖化が加速傾向にあるこの世界。
この世の終焉は核戦争などでは無く大気の高温化による死滅や、新たなウイルスのパンデミック、異常気象によって引き起こされるのかもしれません。大規模な津波、大地震、自然発火による多発的森林火災。そんな予知、予告も無く起こりうる恐ろしき自然災害。並行し核施設はメルトダウンし、作物が収穫出来る環境全てが失われ、必然的に食料不足からの略奪や紛争が勃発。やがて北極の氷も溶け水位も上がり、更なる天変地異が重なり…
やがて世界中は漆黒の赤闇に見舞われるのではないかと…。愚国によるスパイや要人買収、戦争行為やウイルスによるパンデミックの所為で世界は環境破壊の一途へ…
既に読者様方々も、その片鱗を生々しく垣間見ていらっしゃるのではないでしょうか?
もしかすると自分が″何か″に見せられているこのビジョンは、この世界への最後の◯◯警告なのでしょうか…?
… とか言いながら個人的には勝手に自分だけが見えている、頭のおかしな夢である可能性が高く、全く気にする必要は皆無?只の戯言とも思っていて下さい…
しかし…
今の日本の不穏な流れからしても、ある程度の現実味を帯びている可能性だけは認識しておいた方が良いのかもしれません…
完。




