二十九ノ怪 悪魔が棲む会社
今の出で立ちはマスクにほんのり色メガネと、かなり顔を隠す様になった高校時代の友達″アカサカ″。
彼はとある食品会社に入社したのですが、そこで恐ろしい心霊体験させられた上、入院する羽目に。そして早期退社に至ってしまうのです…
今回は自分が、そのアカサカから聞かせてもらった、悍ましくも恐ろしいお話をさせていただきますーー
「何か働き手の出入り激しそうな職場だけど…。品出して梱包作業だけなら案外簡単で、対人関係とかに気を遣わなくていいと思うんだけど。まぁ、いっか。…で、作業内容は…と…」
彼、アカサカはハローワークで職を探し、一つのある食品会社が目に留まりました。二十人弱の小会社だったらしいのですが募集人数はなんと6人…
その内容を見ただけでも何か問題が有りそうなのですが…。でも結構給料も良くて、人との接触が少なく気を遣わない仕事の様なので彼は気に入ったみたいなのです。
「よし、ここにしよう。家から近いし、ここなら人手が足りないだろうから一発OKしてくれるだろう」
そう言って後日、彼はその会社に面接を受けに行きました。すると薄暗く不気味な事務所に案内され、奥から社長と呼ばれるかなり老けた老婆が出て来て
「おお、よく来てくれたねぇ…」
「あ、わたしアカサカと申します。どうもはじめまして…」
と、その挨拶中に。いきなり『ガシャン!』と、部屋の奥の方で金属の様な何かが床に落ちた感じの大きな音が…。すると老婆は慌てて
「あ、あれは隣の工場からの揺れが酷くて、こちらの会社の棚に有る物がよく落ちるんじゃ。だから気になさらずに…」
「あ、はいっ、そうなんですね。わかりました」
そう老婆の説明を受け、この時は何の疑いも無くアカサカはその話を信用していたのです。
そして家に届いた『採用』通知。彼はこの時、受験に受かったみたく凄く喜んでいましたが。後に凄く恐れ慄く恐怖体験をさせられる事になってしまうのです…
「よし、頑張るか!」
仕事の内容は、自分の背丈の何倍以上もある大きなスチール棚に並べられたソースや醤油、はたまた天かすやら何やらと多種多様な食製品があり。手動式の電動リフトに乗って、大手スーパーから依頼された品をその棚からピッキングし、バーコードで読み取り、箱詰めするだけの簡単な作業でした。
「楽勝だ。これでアノ給料が貰えるならラッキーな職場だな。でも何で人の出入りが激しいんだろう…?ま、まさか、いやらしい鬼上司がいるとか?そうだとしたら凄く嫌だなぁ…」
…と、ある部分は実は正解なのですが…。彼はまだこの会社の本当の恐ろしさを理解していませんでした。
そんなある日の事。
(ガシャン!!!)
「おわっ!?」
倉庫内でピッキングしていたアカサカの目の前に、棚の最上段に乗っていた2リットルの醤油6本入り段ボールケースがいきなり落ちて来ました。簡単計算、約12キロのモノが頭上から……です。
「あっぶなぁ…」
まさに間一髪。もう少し早く歩いていたら頭部に直撃していた事でしょう。しかもその棚を見上げると…
「あ…、あれ?」
綺麗に横三列に積まれた大きな醤油入りのケース。先日。社長が言っていた、隣の工場の揺れが原因なら他の箱もズレていてもおかしくは無い筈。なのに″手で引っ張り出した様に真ん中の箱だけ″が綺麗に落ちてきていたのです。そして箱の中から漏れた醤油が無残にも散乱し、落ちてきた時のその衝撃をアカサカにまざまざと見せつけてくるのでした…
「……。」
この怪奇現象を目の当たりにし、流石に違和感を覚えたアカサカ。と、そこへ
「だ、大丈夫か!?」
約五ヶ月程先に入社していたらしい先輩のマツが、アカサカの事を心配し駆け寄って来てくれたのです。
「あ、マツさん…」
「良かった…。ヨネと同じ目に遭うところだったな…?」
「え?そ、それって誰ですか…」
気になる言葉を口ずさむマツ。アカサカはすかさず彼にその話を聞こうとしたのですが…
『おいっ!お前たち、何ペチャクチャ喋っているんだっ!早く仕事をしろっ!!…ってぇ、あ〜あ〜何だそれっ?……で、どっちが″ウチの大事な商品″を傷モノにしたんだ?ん〜?』
と、落下事故なのに。やって来た会社の嫌われ常務が二人をそう疑い責め立てるのです。普通なら従業員の身の安全を先に確認するのが道理。そこでマツが
「あ、常務。荷物はあの高い所でしょ?そして今、ここに電動リフトはありません。だからどっちが犯人…?ではなく、原因は…″いつものやつ″ですよ?」
そう言い返しながら両手をぶらぶらと、まるでお化けの様に前へと出していました。
「ふん…、俺はそんなの信じちゃいないからな?さっさと掃除して仕事をしろっ。ほんとにっ…ブツブツ…」
事務所にムスッとした表情のまま帰っていく常務。彼は自分の祖母のこの会社を継ぐのが嫌で、他の会社を転々としていましたが。結局ボンボンで育った彼に、まともに会社勤め出来る甲斐性など無く、一年ほど前にこの会社へ戻ってきたらしいのです。
経営者的にキャリアも人徳もその器も無いまま、いきなり常務の座に居座ったとか。
まぁ、世間でも良く似た話を聞きますが。やはり結果として最後はこの男が原因で会社は…
「ふぅ、今日は一日大変だったなぁ…。さて…」
その日の仕事を無事終え。その帰りにアカサカはマツが言っていた話の続きを聞きたくて、近くのファミリーレストランへと彼を誘いました。
そしてマツの了解を得て。レストラン内のテーブルに着くなりアカサカは待ちきれず、先に口を開いて
「マツさん…、さっきのアレ。一体どういう意味なんですか?」
と、彼に詰め寄ります。
「ん?聞いたまんまだけど?」
「聞いたまんまだと、意味が分かりません…」
「はぁ、またか……。俺より先に働いていたヨネって友人がいてさ…?それで…」
この話を他の誰かにも聞かれた事があるのでしょうか?面倒臭そうに、ため息を吐き捨てるマツ。
そして彼の話によると、その友人は倉庫の奥にある冷凍倉庫で凍死していたらしく。そこは内側ロックが故障していて中からは開ける事が出来ず脱出不能。まるで金庫の中の様な倉庫らしいのです。
後からピッキングで入った別の社員がヨネの凍死体を発見し、その姿は怯え、必死に外に出ようとした姿のまま凍りついていたとか。一体彼は何に怯えていたのでしょうか?はたまた中から出られず。その極寒のあまり、あんな悲壮な顔になってしまったのか?…は不明との事…
「そうだったんですか…」
「あの会社には″恐ろしい何か″がいる…。だから仕事中。″コレ″を必ず持っておけ。役立つ時が来るかもしれない…」
マツはそう言って。12センチ四方の大きさの袋を一つ。テーブルの上を滑らす様にアカサカへと渡しました。
「コレは…?」
「それは防災グッズのアルミシート。俺は仕事中、いつもソレ持ち歩いているんだ。友達を失ったし…特にあの冷凍倉庫。あそこは特に危険なんだ…。だから入る時は必ずコレを持って行け。いいか?必ずだぞ?」
「え、ええ…」
マツの話す顔は真に迫る勢いがありました。アカサカの背には知らぬ間に冷や汗が伝い、彼の苦痛に歪む表情の奥底は、仲の良かった友人を失ってしまった痛みから出たものなのかもしれません。
「取り敢えずだ…アカサカ?これからキミは、会社の作業上の注意マニュアルだけでなく、怪奇現象対策もしなきゃならない。冷凍倉庫は外にある安全金具を引っ掛けるだけじゃダメだ。俺が扉横に置いてある鉄アレイを、扉が勝手に閉まらない様に必ず挟み込め。それに、あの常務が認めず現場でヘルメットを被れないから。帽子の中には必ず代わりになる綿か何かを詰めておけよ?自分の身は自分で守るしかないんだ。それが嫌なら他の奴等みたく、サッサとあんな仕事、辞めた方がいいっ!」
「そ、そんないっぺんに…」
この時アカサカは会社の大凡の現状が理解出来ました。ですが怪奇現象対策と言われても、まだピンと来ず。ただ、その漠然とした″何か″が分かりません。
悪霊?悪魔?死霊か怨霊…?一つ分かっている事は、『″その何かは殺意をもっている″』と言う事だけ…
何故″ソレ″は、あの会社を恨んでいるのでしょうか?…そんな心の靄も晴れぬまま次の日に…
『今日も皆さんオハョーございます。清々しい一日が始まりました。快適で安全な作業。迅速且つ的確な作業。人を思いやる優しい作業。作業、作業、作業。この三つの作業で……』
…と、朝一番。
バカ丸出しで会社経営が何たるかを全く理解していない、パワハラ常務の恥ずかしい熱烈スピーチから始まります。
しかも、やたらと長い…。いつも口煩く「早く仕事しろ」の台詞が霞んで聞こえますが、ついでに彼に他人への優しさについて語られるのは皆が納得いかない様子で…
「さてっ!…と。……はぁ、頑張るかぁ……」
入社時はやる気満々で気持ちは急上昇。しかし先輩マツの話を聞いてから極端に意気消沈、気分は急降下中…。テンションだだ下がりです。
「あ、また何かの品物が落ちてる…」
仕事始め。薄暗い倉庫内に、再び何かの商品が床に落ち散乱していたのです。これはかの有名な、所謂ポルターガイストというモノではないでしょうか?
この時、アカサカはこの仕事をこのまま続けるか迷い始めていました。しかも肝心な事をマツに聞き忘れていたのです、今までに辞めた方々の退社理由を。円満退社?作業事故が絡む退社?最後に一番気になってたのが″殉職″……??
「ヨネって人みたく″殉職″だったら最悪だぞ俺…」
と、呟いた直後。
『おいっ、新人!独り言はせず、サッサと作業しろっ!!』
「あ、はいっ。すいませんっ!」
またもやイジワル常務の監視&罵声が。本人は気楽に現場を覗いては文句を言って、また事務所に戻って文句を言っているだけ。この会社の将来が何か鮮明に見えていますが
「取り敢えず、仕事、仕事…。あ、次は、ほうれん草の冷凍パックかぁ…、はぁ…」
そこでアカサカの持つ注文書の中で、あの例の冷凍倉庫に保管されている品が含まれていたのです。そして自分のポケットを探りアルミシートの有無を確認しました。彼は先輩マツの警告をちゃんと覚えていたのです。
「よしっ」
しかし、いざ冷凍倉庫前に来ると。いつも必ず入り口扉の左下に置いてあった鉄アレイが何故か無くなっていました。
「あ、あのバカ常務か…」
アカサカの予感は的中していました。常務は社内の安全とばかりに作業の邪魔になると言って、マツが置いていた鉄アレイを勝手に撤去していたのです。彼の行動全てがマイナス要素ばかりの改悪でした。
「ク◯野郎…」
しかし仕事は待ってはくれません。仕方無くアカサカは冷凍倉庫の扉を開け、安全金具でしっかりと扉を固定し中へと入っていきます。
気温はマイナス15℃以下?冷気が外に漏れないように何本にも分かれたぶ厚いビニールカーテンが垂れていて、その先は極寒の世界です。その中に入って数秒、早速彼は身体が凍えてきて…
「う〜、寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い…。ほぉ〜れん〜そぉ〜…」
アカサカはさっさとピッキングし、冷凍倉庫から出たいので一生懸命その品を探しますが。まだ仕事のイロハや右も左も分からない新入社員。箱を囲っているビニールの霜を手で必死に擦り品名を確認しても、なかなか目的の品が見つかりませんでした。…と、その時
(カタン…)
嫌な予感と共に、冷凍倉庫の扉のロックが外れる様な音が鳴り。同時に倉庫の分厚い扉が閉り、外からの光が完全に遮断されたのです。
(バタムッ!!)
「や、やばいっ!!」
倉庫内は小さな暖色系の電球が二つだけ。光の届かない奥なんて真っ暗で何が何やら分かりません。更に扉が閉まった事により室内の温度は急激に下がり始めました。
「さ、寒い…、どうしよう…寒い寒い寒い寒い…」
アカサカは冷凍倉庫に閉じ込められて既にパニック状態。更に急激に体温が下がり芯から凍え、手足を動かす事すら困難になってきました。そしてふと、ここで凍死したヨネの事を思い出してしまうのです。もしかすると自分もその仲間に加わってしまうのではないか?…と。最悪な結末が脳裏に過ぎり
(ドン、ドン、ドン…)
「た、助けて下さいっ!!!嫌だっ!俺は死にたくないっ!!誰かっ、助けてっ!!!」
室内で強く叩き小さく鳴る扉の振動音、籠る絶叫。何層にも及ぶ分厚い鉄製の扉相手には、自分の行為が全くの無駄だと改めて気付かされます。しかし自分はまだ死にたくない、死ねない、…と、そう考えた時にふと
「あ、そ、そうだ…」
アカサカは先輩から貰ったアルミシートを持っている事を思い出しました。凍え震える手で必死にそのシートを袋中から取り出し、それで身体を包み込むと嘘の様に身体が温まり始めたのです…
「こ、これなら…、助かるかも…し、れない…ぅ…」
しかし身体は既に芯から冷え切っており。首筋が痺れ意識が朦朧とし、酷く重い目蓋で段々と視界が狭まり眠くなっていくのが分かりました。
ですがアカサカは何かの番組で、こんな時に寝てしまうと永遠に目が覚めず、あの世に召されてしまってアーメン…。要は危険だと知っていたのです。
「だ、ダメだダメだ。寝ないぞ、誰か来るまで俺は絶対に寝ないぞ…、寝ないぞ、寝ないぞ…。誰か来るまで絶対に寝ないぞ…俺は絶対に俺は寝ないぞっ俺はっ寝な俺っ…」
彼はこの後、会社に冷蔵倉庫内の注文が入り、それをピッキングに来た別の仕事仲間が扉を開けるのをずっと待ち続けていました。
しかし…、現実はそんな甘くはありません。待てど暮らせど堅く閉ざされた扉は開く気配すら無く、無常にも時だけが流れていき…
(ガチガチガチガチガチ…ブルブル…ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ…ブルブル…)
「俺は…もう…ダメかも……しれ…ない…」
そろそろ身体も限界がきそうだ。それはこの場所で必死に堪え、意識を保とうとしていたアカサカ本人が一番理解してる事です。すると
(カタン…)
自分以外誰もいない筈の冷凍倉庫の奥の方で何か変な物音がしたのです。しかし今のアカサカは意識は起きてるだけで精一杯、振り返る気力すらありません。
ですがまた…
(カタン…、カタカタ……カタカタカタカタ…)
早く振り向けとばかりに。次第にその音は激しさを増し、鳴り続けていました。仕方無くアカサカが徐に振り向くと、その先には自分と同じ作業着を着る皮膚が真っ青な男性が立っていました。
″ソレ″は何を恨んでいるのか顔は怒りに歪み、殺意剥き出しの顔で手を伸ばしながら、徐々に此方へと近づいて来たのです。
(!!!?)
まさに見た目はゾンビ。しかしアカサカの身体は動かせる気力すら残っていませんでした。要はその霊が近づいて来ても何もせず、ただ見ている事しか出来なかったのです。
「……。」
その霊が接近しアカサカの首に両手を伸ばした辺りで二つの視界が少しずつ狭まり、やがて彼は落ちる様に意識を失ってしまいました…
そして知らぬ間に、真っ白な世界に一人立っている自分に気付き…
自分は確かあの霊に首を絞められた上、凍死してしまったのだろうか?あれ…?首を絞められるって何?どうなるの?…もう…どうでもいい感じがする…。凍死したって?…誰が?………そもそも誰の話だ……
……の…
一体誰の………
『ーーお前ダァ!!!』
(わあっ!!!?)
…………
いきなり冷凍倉庫にいたあの霊がアカサカの目と鼻の先にドアップで現れ、そう絶叫しました。その後。再び視界がフェードアウトし。彼は体が何故か右往左往、全身が揺さぶられている事に気付くのです。
『…さん、アカサカさん!!ダメ、続けて?アカサカさんっ!!ーー』
煌びやかで真っ白な天井。目覚めには少しキツい明るさ加減の白色LED。そして周囲を囲む白衣を着た女性たち。ここは天国か?別の意味で白衣の天使に囲まれた天国かもしれませんが…
そう、ここは病院です。残念。しかし意識は半分寝たままでぼんやり。取り敢えずアカサカは手足を動かそうとしますが感覚が無く全く動きません。むしろ自分の身体が自分のモノでない様な感じがしていました。早い話が凍傷が酷くてそうなっていたらしいのです。
『アカサカさん、聞こえてますか?アーカーサーカーサン!』
「……ぁ、はい…」
『はっ、良かった…、ーーさん!先生呼んできてっ!!』
『はいっ!!』
やたらと語り掛けてくる看護師。そこでアカサカは自分が病院に運ばれていた事に気付きました。順を追って何故ここに運ばれてきたのか?そう、自分は確か冷蔵倉庫に閉じ込められた筈なのです。一体何故助かったのか?あの霊は?そして病室の外では聞き覚えのある声が
「アカサカ、意識が戻ったんですね?良かった…」
(マツさん…)
しかしアカサカは仕事仲間マツの声を聞き安心したのか、再び気を失ってしまいました。
…で、凍傷が酷かった部分。手や首元、顔の部分部分が酷く爛れ今も治療中とか。そして彼ことアカサカは、これが原因で数年経った今も少し色の入った伊達眼鏡にマスク姿で生活しています。
ですが現在はコロナ禍。災い転じて…?そのいでたちが恥ずかしくなくなり、今は違和感なく外に出歩ける様になってる事でしょう。
そして気になる何故アカサカが助かったかの話。
偶然、冷蔵倉庫付近を通りかかったマツが、その前に置いていた鉄アレイが無くなっている事に気付き。慌てて扉を開け、中にアルミシートに包まって倒れていたアカサカを発見したらしいのです。
しかし一体あの怨霊じみた霊は何だったのか?アカサカは入院しその原因すら分からないまま、研修期間だった事もあり会社から即刻クビにされてしまいました。
ポルターガイスト現象や攻撃的な霊が出て、あんなにも人の出入りの激しい職場です。かなり恨んでる者がいてもおかしくは無いでしょう。
そして、その問題の一端。肝心要のあの常務が経営を圧迫し。結果、大手に会社に吸収され。今ではそこに全く違う別会社の看板が表に立っているそうです。
そして、あのク◯常務のその後が気になりますが、アカサカはあんな男の話、全く興味が無い様で…
最後にマツについてですが、アルミシートや冷凍倉庫から救出してくれた命の恩人だった彼。残念な事にアカサカが入院して約二ヶ月後くらいに交通事故で亡くなったらしいのです。
クビにされ連絡が取れずにいましたが、偶然出会った同じ職場仲間から、最近になってその話を聞いて大変驚いたとか。
アカサカは彼の墓を見舞おうと、家族が住んでいた場所を探し回ったらしいですが。引越ししてしまったのか結局分からず仕舞い。今も悔いが残ると言っていました…
もしかするとマツもあの会社に蠢く悪霊の呪いによって殺されたのかもしれませんね。幽霊が人の死に関わる心霊現象とは…。今回は聞いていて本当に恐ろしく、ゾッとしたお話でした…
完。




