解説章 アルハンゲルスキー家潜入作戦 反省会
解説章です。次回の前書きに今回のまとめを一応乗せますので、興味無いっすって方は多分飛ばしても大丈夫です。
「あ、あの・・・」
『ゴクリ・・・・・・』
「よろしければサラマンダー様・・・」
『フーッ!!フーッ!!』
「私のパンツ・・・・・・
食べます?」
『たぁぁあぁああぁああべるううぅうううう!!!』
(っ・д・)≡⊃)3゜)∵ アハンッ
「・・・・・・・で、捕まったと」
『な?俺悪くないだろ?』
「備蓄パンツ全焼の刑に処す」
『うわあああ!!やめてくれぇぇえええ!!!』
現在イクオとサラはアジトで反省会を開いていた。今はサラの反省点をおさらいしている。が、この通りサラは今回何の役にも立たなかったそうだ。
「脱出経路も開けてないのに洗濯物からくる下着の匂いに誘われてそっちの方行ったり。アリアに惑わされてあっさり捕まったり。下手すりゃレチタティーヴォに見つかってなくても俺死んでたじゃねーか!!」
『しょうがねぇじゃん!!あの女、男の心を弄んで騙してくるんだぜ!?悪いの十割あっちだろ!?』
「見え見えの罠に引っかかりやがって!俺と自分の命とパンツどっちが大事だ!!」
『例え万人に責め立てられようと、俺はパンツを選ぶ!!』
「ザッケンナ バッキャロー!!」
ギャー!!ギャー!!
スラムの人々はさしてノリが良くない。(というかのってる心の暇がない)近所がギャーギャー騒いでると派手に近所迷惑である。アジト周辺の人々は厄介この上ないと言ったふうにアジトをジトリと見ている。
(ゆーたてアリアは恥ずかしがってそうだな、割とまじで。こういう色仕掛け的な騙し方をやってみたいと思って実行して自爆するタイプだろうからな。俺と同じで)
顔を赤くしながら色仕掛けを仕掛けてくるアリアを想像したら割と自分も引っかかってしまいそうと思ってしまったイクオだった。
〜・・・〜
しばらく騒いだ後は次にイクオの反省点。こっちが本題だ。
「さて、俺はレチタティーヴォから見事自力で逃げ切ることに成功した訳だが、
自力で。(※ここ重要)
その際に使った演算魔法の使い方についておさらいしていきたい」
『演算魔法の使い方?お前、演算魔法なのに全然計算使ってなかったからなぁ。使い方下手すぎて傍から見たら馬鹿みてぇだったわ』
「黙れ畜生パンツ大臣」
『あぁ?』
「あぁ?」
このまままた取っ組み合いせていたらいつまで経っても反省会が終わらないのでここでいがみ合いたい気持ちはここで断ち切る。
「ん"んっ!!この使い方をこれからの戦闘や潜入で使えるようになっておきたい。えぇーっと、確かー・・・」
魔法はイメージと意志の力。イクオは前世の教養で得た知識をこの世界に当てはめることで演算魔法をあの時発揮した。
「まず魔力を電力と仮定した」
魔力=電力(W)
『ほんほん?』
「魔力が感知できるようになって分かったことだが、平常時の魔力量とスキル発動前の魔力量は違う。
使っても分かるがまずスキル(魔法)を放つ前、俺たちは魔力をチャージするイメージをする」
『そうだな。平常時の魔力量で魔法を放っても良い威力の魔法は発動しない。放てるものもあるが、それは下級魔法であって消費する魔力が極めて少ないのに限る』
例)ーーーーーーーーーーーー
魔術師Aがいるとする。
平常時の魔力量は100だ。
下級魔法の【爆熱破滅千光】は消費する魔力量は50なので、この下級魔法を魔術師Aはノータイムで放つことができる。
しかし、中級魔法の【どこでも暖房機】は消費魔力量が120の為、放つには魔力をチャージする必要がある訳だ。
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「そして電力の話になるが、
電力とは
《電源や電流が単位時間内にする仕事率》のことだ。
つまり魔力とは
《1秒の間にチャージできる魔力量のこと》となる訳だな」
例)ーーーーーーーーーーーー
魔術師Aの魔力は5だ。
中級魔法の【どこでも暖房機】を放ちたい。
平常時の魔力量は100で、必要魔力量は120なので、
100-120=-20
となり、必要魔力量が20足りない。
つまり残り20をチャージしなければならない。
魔術師Aの魔力は5なので1秒間に5だけ魔力が増える。
20/5=4
魔術師Aが【どこでも暖房機】を放つには4秒、魔力をチャージする必要がある。
ーーーーーーーーーーーーーー
『ほぉ?面白い仮定の仕方だな』
「考えたのは俺じゃない。遠い過去の偉人さんだ。
んで、魔力の総量の計算式は
平常時の魔力量+(魔力*秒)
となり、レチタティーヴォの魔力量の計算をした結果
平常時 18,000
執行宣言後 26,200
グランドクロス直前 51,300
ということになった。えげつねーな。特にグランドクロス発動前の魔力量の跳ね上がり方よ。これはとてもじゃないが使いこなせねー」
『この魔力の計算法はお前基準だからよくわからんが、お前は魔力量はなんぼだ?』
「俺は・・・・・・
平常時 6,800
魔力 50
だな。グランドクロスが放てるまで魔力を溜めようとすると少なくとも14分50秒は必要だ。一体何回ひき肉にされるだろうな!」
『ハハハッ!笑えねぇ冗談だ!』
(笑えんわー。1ヶ月後再戦するんだぜ?今度は勝ちに行くつもりで・・・・・。いや笑えるな。次に会う時が楽しみだ)
ロマンが絡めばポジティブシンキング。イクオはアリアをさらう所を想像するとワクワクしたのでそのまま笑える冗談にしたまま反省会を続けた。(謎の犯罪臭はさておき)
「どうやってグランドクロスを回避したかと言うと、まず相手のスキルのレベルを計算し求める。スキルの場合俺のスキルレベルという比較対象があるから魔力300から500、700と初項300、公差200の等差数列で仮定してから計算する。そして相手の平常時魔力量から鑑みて計算する事で相手のスキルレベルを大体で把握する事に成功した。まだ大体だからもっと正確な値が調べれる計算式があるか探してみる必要があるな。そしてそのスキルレベルから相手がどれだけの連撃を放ってくるかを計算する。執行宣言後の最初の攻撃の威力の攻撃が連撃でくると俺は予測した。あれがあの時の一撃の最高火力なら、それを減らして連撃の数にさく必要性はあまり感じなかったからだな。一撃にさく消費魔力量は大体3200ほどだった。その魔力量でグランドクロス発動直前の魔力量を割ってやる。つまり51,300/3200の余り切り捨ての計算だな。すると15連劇の攻撃が来ることが予想できた。次に求めるのは相手がどこを狙ってくるかだが、これは今まで使ってきた演算魔法の使い方を少し応用すればすぐ出来た。なぜ今になってできるようになったかと言えば戦闘中に俺の演算魔法のスキルレベルが急激に上昇したからだな。スキルレベルが上がる魔力量を仮に経験値として仮定すると、スキルレベルは内蔵魔力の量、つまりは平常時の魔力量が上昇した時に上がるもんだ。さっきも言ったが必要経験値の量は初項300、そして公差200の等差数列で表される。今のところはな。もしかしたら計算ミスかもしれない。これからの階差数列みたいに必要経験値は上昇していくかもしれないな。まぁおいといて、相手の魔力をよく見れば相手の意思が乗っている事に気づいたんだ。それにはレチタティーヴォがこの一撃をどの急所に当てるつもりかどうかが読めるようになったんだ。とにかく15連劇がくるのは予測できていたから、相手の魔力の波に乗ってくる意志を嗅ぎ分けて自分のどの身体のどの位置に攻撃が来るのかを予測。そしてその一撃一撃がそれぞれ致命傷をギリギリ避ける所に被弾するように体捌きをしたわけだ。そしてその相手の意志を察知する計算方法と言うのが・・・・・・・・・」
『イクオ、イクオー』
「あん?」
『つまり何ができるようになったんだ?』
「・相手のスキルレベルを計算する事ができるようになった。
・相手の攻撃がどんなのか予測する事ができるようになった。
・相手がどこを攻撃してくるかよめるようになった。
この3つだな」
レチタティーヴォのグランドクロスを、スキルレベルからどんな攻撃が来るのかを予測し、自らの身体のどこに攻撃が来るのかをよんで、どこへ避けるのが最適解か割出した。ということになる。
実際この能力は大物喰いだ。自身よりはるかに強敵な相手と戦う時こそ真価を発揮する。この演算魔法の力は今後、イクオが強敵と戦う際に重要な鍵となる。
『なるほど。計算式だとか何だとかの考察は勝手に自分でやっといてくれ。俺には分からん。んでこれは反省会だ。一体何が今のお前に足りないんだ?』
「うーーん・・・・・」
正直、イクオは足りないことが多すぎる。基礎的な戦闘力もまだまだ足りない。状況把握能力も改善の余地があるし、まず経験がない。今足りているのは機動力くらいだ。
「ゆーたて、俺が主に足りないことは時間をかけて培っていくものだ。今まさに改善すべきことはなー・・・いや、ある筈なんだ。でも思いつかん・・・・・」
そう、状況把握能力や基礎的な戦闘力は熟練の者が得るものだ。イクオは確かに殺伐とした世界に放り込まれ、一年の時を過ごした。しかし今まで磨いてきたことは盗っ人の真似事か逃げ腰だ。常に戦いの場に身を置いていた訳じゃない。
『おいおい。いつまで黙ってんだよ。アルハンゲルスキー家潜入からまだ二日しか経ってねぇんだ。疲れて喋れないなら明日にすっかぁ?』
指パチィン!!
「それだぁあ!!」
『おん?』
「集中力だ!【演算魔法】を使った戦闘は集中力を物凄く使う。使った後動けなくなるほど精神的疲労が大きいんだ!!」
サラは『うん?』としばらく頭を捻るが直ぐに思い至った。集中力だってまともに上げようと思ったら時間がかかる代物だ。しかし無理矢理底上げする方法がこの世界にはある。
『そうか。あったなぁ。スキル【集中】って奴が』
「そう!それだ!スキル【集中】を手に入れてレベルを上げる事が今できる短期間で戦闘力を身につける方法だ!」
(うん!指針は決まった!スキル【集中】を手に入れてからそれを徹底的に磨いていこう。あと戦闘訓練がしたい!発表会のキャストを調べ、会場の造りも理解する事み忘れてはならない!)
『やる事は決まったようだな』
サラはムクリと立ち上がる。サラは霊体化で姿を消せるから潜入場所の下調べに最適だ。
『ひとまず俺はパーティ会場の地図を作る。決行まで時間があるから今までよりもっと大規模な作戦が出来るし、大規模な作戦になるだろう。外から内部だけじゃなく壁の厚さや天井の脆さまで色々調べ尽くしてやんよ』
「じゃあ俺はそのうちに【集中】を手に入れて来る。アリアに聞いてどの著者が良いか調べてもみよう」
思い立ったが吉日。二人は拳を突き出しゴツンと合わせる。そして交差するように走り出す。それぞれのやるべき事を全うするため二人はそれぞれが別の方向へ向かう。
(アリアに会うまでまだまだ時間がある。それまでに店の下調べでもしておくか!スラムで喧嘩してるとこを発見したら積極的に俺も混じっていこう!)
〜・・・〜
【演算魔法Lv5 感情感知】に反応あり
(お?この魔力は怒り・・・・・いや嫌悪感か?まだ感情感知は慣れてないな。なんにしても揉め事か?)
【跳躍Lv10】
「あった!9時の方向に喧嘩・・・いや、一方的に暴行を加えている人達を確認!!排除 排除ぉ!!」
ダンッ!と着地。ざわめくゴロツキたちの中心に泣いてうずくまる少年がいた。
「多人数で弱いものイジメなんて、なんて卑劣な奴等なんだ!骨すら残らねーと思え!!そして俺の練習台となってくたばれ!!」
(あわよくば金落とせー!!)
哀れ、ゴロツキたちは次々と紙吹雪の如く舞い上がる。
「ふぅ、結構派手にボコられてたけど大丈夫だったかい?」
イクオは盛大にカッコつけて少年の方を・・・・・
(少年じゃない!なんだコイツ!?・・・・・・
いや、見たことがあるぞ!?)
「お前はまさか!!」
少年、改め謎の存在がムクリと起き上がる。
「そこの貴様ァ。よくもワシの邪魔をしてくれよったな?」
でっぷりでた腹。ボロボロのマント。青と白の縦縞パンツ。自己主張の激しい鼻。
「お前は・・・あの時の・・・・・」
「ワシの名は キャプテン・ピグレット!!
遠い国より旅をしてここまで来た!!
ワシの目的はただ一つ!!
ワシをゴミみたいに扱ってくれるご主人を見つけることじゃぁああブヒヒヒヒヒヒヒヒィ!!!!」
「豚だあああぁああぁぁあああああ!!!」
はるか彼方よりやってきた豚野郎がイクオに襲いかかる。