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オレンジ色の空とキミの影  作者: ひろゆき
19/27

 弐 ーー 遠い日の姿 ーー (9)

 数ある情報のうち、どれが真実であり、どれが偽りであるかを知るのは難しい。そこで信じるのは己の信念なのかもしれない。

               9



 神隠し。

 信じたくないと理性が働きかけるのだが、悩めば悩むほど結びつけてしまう。以前、圭介から聞いた、SNSが頭によぎった。

 書かれていたのは十一年前。偶然としてはできすぎている気は否めない。自分の目でちゃんと確かめて、そうじゃないんだと納得させたかった。

 けれど、手にした写真を見てしまうと決心が揺らいでしまう。

 由紀の存在を陰に示す若林。それでいて、過去に消えていたお姉ちゃんの姿。

 彼女の存在が分からなくなった。

 スマホを操作してSNSに繋げる。すると、手が止まる。

「新しい投稿?」

 変化はないと諦めていたが、書き込みが更新されており、面喰らってしまう。

 ーー 誰これ? 

 ーー ありえねぇ。

 ーー 冗談にしてはおかしい。

 ーー 笑える。

 何かに対しての反応なのかは見て取れたが、これだけでは分からず、スクロールしてみた。

「あった」

 動かしていた右手が止まり、瞬きをした。不思議と学は落ち着いていた。

 アカント名を見るが、以前に投稿されていた者でもなく、由紀や若林に関連する名ではなかった。


 ゴメン。

 ちょっと、話したいことがあるから会ってもらえる?

 いつも会っていた場所。あなたの苦手なものが見える場所で。

 五日後、そこで。

 私は待っているから。


「……五日後?」

 書き込みがされた日を確認してみる。書き込みは二日前に更新されていた。すなわち、今日で三日経っていた。

「……明後日に屋上に?」

 ベッドの上に投げた写真を眺めた。

 明確な場所は特定されていない。けれど、これを書き込んだのが若林だと推測すれば、屋上しかないと悟った。

 彼女と会っていた場所は屋上。そして、学が嫌がっていた薬品会社のビルを眺める場所。二つのキーワードが重なるのはそこしかなかった。

「……由紀……」

 学は頭を掻き毟ってしまう。

 急に消えてしまった由紀。

 十一年前に消えてしまったお姉ちゃん。

 二人が繋がっているとは微塵にも考えていなかった。ただ、そこに一人の女の子の名前が加わることで困惑を極めた。

 どちらか一方ならばまだ落ち着いていられた。なのに、急に加わってしまった若林望の名前。

「……どうなってるんだよ、由紀……」

 嘆く声が静かに部屋に木霊した。

 信じようと思うのは難しくない。そこにある言葉が自分に向けられている自信があるなら、もう進まなければいけない。進むことに怖さはない…… はず。

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