ねっ♥️
両親それぞれの実家への就職の挨拶も終わり、いよいよ仕事も忙しくなると思っていたが、そうはならなかった、なぜなら……
「母さん! いい加減離れてよ! トイレ行くだけだから!」
「ダメ! そう言ってまたママを捨てるつもりなんでしょ!?」
「だから捨てないって何回も言ってるだろ!? いい加減仕事もしないと……」
「ハルちゃんが冷たい…… やっぱり捨てるのね?」
「大丈夫だよ! とにかく漏れるからトイレ行かせて!」
「じゃあママも一緒に行く!」
「勘弁してくれ!」
こんな感じで、何をするにも母さんが離れなくなってしまった。
ソフィアが言っても聞かないし、父さんが言おうものなら……
「マリー? もうそろそろハルにも仕事を……」
「はぁ?」
「いえ、何でもないですぅ……」
「ふん!」
「うぅぅ~、マリー……」
父さんと母さんは絶賛ケンカ中で、父さんが何も言えなくなってしまってる。
早く何とかしないと……するとソフィアが
「今日はみんなで、外で食事しない?」
「いいけど、突然どうしたの?」
「あそこのレストランがリニューアルしたみたいなのよ」
「ああ! あそこか! それならみんなで行こうよ! 父さん、母さん!」
そしてみんなでレストランに行く事になった。
ちなみに姉ちゃんは友達と3人で仕事に行ったので、今日はいない。
この間紹介してもらったけど、ノインさんとニナさんっていったっけ? ノインさんは最近街に引っ越してきたみたいで、ニナさんは良いとこのお嬢様みたいな喋り方の人だったな……姉ちゃんとは気が合うみたいだけど、どんな話をしてるんだろう?
そんな事を考えてるとレストランに着いた。
「あっ! ここって……」
「そうよマリー、あなたとユートはよく覚えてるでしょ?」
「そういえば、最近は来てなかったわね……」
「ほらユート! ボーッとしてないで、ちゃんとマリーをエスコートしなさい!」
「あ、ああ! さぁマリー! こっちの席にどうぞ♪」
「……ええ、 ……ありがと」
俺とソフィアは顔を見合せ笑った。
この店は父さんと母さんが初デートの時に来たレストランで、ワフー料理をメインとしたレストランだ。
父さんの実家の味でもあり、俺達家族も好きな味で、昔はよくみんなで来ていた。
初デートの時にこの店を進めたのはソフィアで、それから2人はよく遊ぶようになり、付き合いが始まったので、2人には思い出の店だと思う。
「ソフィア、よく思い出したね!」
「私はハルが生まれる前からあの2人を見てるのよ? マリーも意地っ張りだから、きっかけがないと中々謝らないし……それにここなら、あの時の気持ちを思い出すんじゃないかと思って」
「ホント助かったよ……あとは……」
「マリー、これ美味しいよ! 食べてみないかい?」
「……うん、あっ! 美味しい……お義母様の味に似てるわね♪」
「そうかな? 僕はマリーの味付けも好きだけどね♪」
「……ユートに美味しい物食べてもらいたくて、お義母様に教わりに言ったりしたわね……」
「マリーの家の味とは全然違うだろうから、大変だったよね? マリーが頑張って作ってくれて、凄く嬉しかったよ!」
「……ユートが喜んで食べてくれた時は嬉しかった……ごめんなさいユート……ここの所冷たくして……内緒にされてたのが悲しくて……それでもヒドイ事してごめんなさい……」
「……僕の方こそゴメン、最近、僕にかまってくれないから、マリーを独り占めしたくて……僕が大人げなかったよ……」
「いいえ、私の方こそゴメン……愛してるわユート」
「僕も愛してるよマリー」
見つめ合い微笑む2人。
よかったよかった! 2人が仲直りしてくれて。
「ソフィア、ありがとう!」
「ふふっ♪ いいのよ♪」
そしてみんなで楽しく食事をして、帰る前に父さんと母さんがもう1軒行きたいと言うので付いていく。
着いたのはコン太の家で、シズネさんの飲み屋だった。
「「「「いらっしゃいませ~♪」」」」
「あ! ユートさんにマリーさん! 今ママを呼んで来ますね♪」
「ソフィアさんと若ちゃんもいらっしゃい♪ コン太ちゃんも呼んでくる?」
「あっ若さん! 久しぶりだね♪」
俺達に話かけてきたのは、シーカとレイナだった。
昔、コン太が助けた女の子達で、行く宛のない2人をシズネさんが引き取り、みんなで暮らしている。
2人ともコン太が大好きで、色々アピールしてるけど、中々気付いてくれないらしく、たまにコン太について相談される。
「……いらっしゃいませ、……久しぶりね」
そしてもう1人現れたのは……
「久しぶりだね、ミヅキ! 元気だった?」
「私は元気よ♪ 店のみんなも優しいし、それに……」
「若! どうしたでござるか!? 急に家に来て」
「ああ、たまたま父さん達が来たいって言ってたから、付いてきただけだよ!」
「そうでござるか! さあ、こっちの席へ!」
父さん達はシズネさん達と、別の席で楽しそうに喋っているので、俺達は別の席で話す事にした。
「コン太、ミヅキは働いててどうだ?」
「ミヅキは頑張ってるでござるよ! お客さんにも人気があるでござる!」
「そんな……私なんかまだまだ……」
「とても頑張っていて、家で一緒に暮らしているでござるが、手伝いもよくしてくれて、みんな喜んでいるでござる!」
「……コン太くん」
ミヅキはあの事件以来、シズネさんの店で住み込みで働いている。
昔、男に騙され貢いでしまって、男性不信だったミヅキを見てシズネさんが
「それなら男の人からお金を貢いで貰えばいいのよ♪ もちろん健全な方法でね♪」
と言うことで今は店で働いて、男に貢がせていると言っていた。
実際は男の人に楽しんでもらって、ちゃんとしたお金を貰っているので全く問題はない。
「シーカもレイナも仲良くしてくれるし、コン太くんも優しいし……ここで働けてよかったわ」
「ミヅキとは私達仲良しよ♪ それに……ねっ♥️」
「ミヅキちゃんも私達と一緒で……ねっ♥️」
「うぅぅ……」
はは~ん、さてはミヅキもコン太に惚れたな?
コン太は女の子にはとことん優しいし、女の子ばかりに囲まれて育ったから、細かいところも気づいて、そんな所が女の子にしたら嬉しいみたいだ。
それにミヅキの方が年上で、年上から絶大な人気を誇るコン太(本人は気付いていないけど)を好きになってしまったんだな?
コン太、モテる男はツラいな!
「何の話でござるか?」
当の本人はニブくて、全然気付いていないが……
「そういえばミヅキ、カーマ達は?」
「リーロはいつも子供に好かれるから、保育園で働く事になって頑張ってるわ! それで兄……姉さんは……」
「ハルちゃ~ん♥️ 久しぶりね~♪ ブチュー♥️」
「ぎゃーーー!!!」
いきなりほっぺたに、ブチュー! っとされて振り向くと……
相変わらず、スキンヘッドにヒゲのムキムキゴリマッチョが立っていた。




