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私は満足

 予定を繰り上げ、急いで街へ戻る俺達3人。


「姉ちゃん! 母さんがどうしたの!? いい加減教えてよ!」


「……ママはかなり危ない状態、私では……」


「父さんは!? 父さんはどうしたの!?」


「…………パパは瀕死の状態……」


「何で!? あの父さんが?」


「……特大の魔法を受けたみたい」


「……クソっ! ……父さん、母さん……」


「ハル! ユートとマリーはきっと大丈夫よ! だから……」


 父さん…母さん……無事でいてくれ……


 ソフィアに抱き締められながら、街へ向かう馬車に乗ってる。

 こんなに時間が長く感じるなんて……早く着いてくれ!



 そして家に着き、玄関を開けると……




「あれ? 今変な感じがしたんだけど……」


「これは……マリーの結界魔法ね」


「結界? 家の中に?」


「というか、家のどこかで使ってるみたいね……今の変な感じは、結界の外側に触れた感覚よ」


「じゃあ父さんと母さんはその中に?」


「……パパはこっち」


 姉ちゃんに案内されてリビングにいくと、

虚ろな目で、頭を抱え座り込む父さんがいた。


「……父さん?」


「……あ、あっ……そんな……やめ……うわぁぁぁーー!!! ……ウソ……だ……ごめ……」


「父さん! どうしたの!? 父さん!?」


「うぅっ……あぁ……」



「これは……」


「ソフィア? 何か分かったの!?」 


「ええ、これは魔法と言うより、呪いね……」


「呪い!? 誰がそんな事……」



「……これは……マリーの魔法ね」


「母さんが!? どうしてそんな……」


「……ママに直接聞きにいこう?」


「そうだよ! 姉ちゃん、母さんはどこにいるの!?」


「……多分ハルの部屋」


「俺の? なんで……」


「……行けば分かると思う、ハルなら結界を破れる」


 そして俺の部屋に近付くにつれ、さっきの変な感じがどんどん強くなる。


「姉ちゃん……これ以上進めない……」


「……私もここまでしか来れなかった、ハルなら行けると思ったけど……」


「クソ! 母さん……大丈夫かな? って! サクラばあちゃんに貰った短剣が!」


 俺の部屋に近付けなくて困っていると、短剣が急に光輝き始めた。


「ハル! それで結界を斬りつけて!」


「そんな事して大丈夫なのか!?」


「大丈夫よ! いいから早く!」


「分かったよ! はぁぁぁー!!!」


 そして結界に向かって短剣で斬りつけると……


「結界が……消えた! 母さん!」


 結界が消えたので、急いで俺の部屋のドアを開けると……



「な、なんだ? ……これは!」




 部屋のドアを開けると、そこには散乱した俺の服、バラバラと散らばる写真、そして……



 俺のベッドで抱き枕? を抱え、すすり泣く

母さんがいた。



「母……さん?」


 呼び掛けてみると、母さんはガバッと起き上がりこっちを見て


「ハル……ちゃん? ああっ! ハルちゃん! ハルちゃんハルちゃんハルちゃ~ん!」


「か、母さん! どうしたの!?」


「ハルちゃ~ん! ママを……ママを置いていかないで~!」


「置いてく!? 父さんの実家と母さんの実家に行ってただけだよ? 聞いてたよね?」


「ママ聞いてな~い! だからハルちゃんがママを捨てて、置いてったのよね?」


「捨てる!? 何でそうなるの? 俺はてっきり父さんが言ってるとばかり……」


「パパはママに秘密にしてたって言ってたもん! みんなで計画して、ママからハルちゃんを引き離すつもりだったのよ!」


「そんな事しないよ! ……それにしてもこれはやりすぎだよ……」


 ベッドには謎の抱き枕? と俺が写ってる写真、そして俺の下着が母さんを取り囲むように置いてあった。


「ていうか、あの抱き枕……妙にリアルなんだけど……あれ何?」


「あれは前にジュリちゃんが作ってくれた、等身大ハルちゃん人形よ♪」


「あいつ! こんなもん作りやがって!」


 ジュリとは、コン太やアリサと一緒で俺の幼なじみだ。

 今は引っ越してこの街にはいないが、魔法で人形を作るのが得意で、よく人形を作っては動かして遊んでたよな……

 それにしても、俺の人形まで作ってたなんて……


「はぁー、父さんや母さんに何かあったと思って焦ったよ……」


「クリス! あなた大体分かってたんでしょ!?」


「……大体はね? でも結局ハルが帰って来ないと解決しないと思って」


「じゃあそれならそうと言えばいいじゃない! 私もビックリしたわ!」


「……ごめんねソフィア、でもハルの困った顔が見たくて……ハルの泣きそうな顔、久しぶりに見た、スゴく可愛かったから、私は満足」


「あなたね……」


「姉ちゃん! 俺の困った顔見たさにここまでやるなんてヒドイよ!」


「……ごめんね? でも私は満足、明日からまた頑張れる!」


「……」


 姉ちゃんには本当困ったもんだが、何もなくてよかった……


 あれ? 何か忘れてるような……




「あ…ぁ…ま、まりぃ……」


「「「…………」」」


「母さん……父さんにどんな魔法かけたの?」


「えっと、『ユートなんて大嫌い』って頭の中でずっと聞こえる魔法よ!」


「……それでこんな状態なんだ……」


「マリー! いい加減、魔法解いてあげたら?」


「ダメよソフィー! 私とハルちゃんを引き離そうとした罰なんだから!」


「……ママ、でもパパがこの状態のまま、ここにいたら邪魔だよ?」


「じゃあ物置にでも入れとこうかしら?」




 それから、俺が母さんを何とか説得して、父さんの魔法は解いてもらえたが、母さんにしばらく口を聞いて貰えなくなって、落ち込む父さんだった。

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