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間に合ってま~す

 「それで今日来たのは父さんから聞いたと思うけど、今年から父さんの所で働く事になったので、あらためてよろしくお願いします」


 サクラばあちゃんの家に着いた俺達は、目的である挨拶を済ませた。


 父さんからの連絡で分かっていると思うが、やっぱり顔を合わせて挨拶するのがやっぱり礼儀だと思う。


「ハル、これから大変だと思いますけど、おばあちゃんは応援してますからね」


「ありがとうサクラばあちゃん……とりあえず離してくれないかな?」


「久しぶりに会ったのに、ハルは冷たい事を言いますね……」


「そんなつもりじゃ……」


「なら、このままでもいいではないですか♪」


 着いてすぐにサクラばあちゃんに抱き締められた俺は、そのまま膝枕をされて、さらにそのままの状態で就職の挨拶をさせられた。


 俺が挨拶してる間も、頭を撫でながら優しい笑顔で聞いていた。


 サクラばあちゃんは今年60歳になったが、孫の俺から見てもかなり若々しい。

 俺と親子と言われても違和感がないくらいだ。


 父さんの家族も母さんの家族も、不思議に思うくらいみんな歳より若く見える人が多い。


「ハルの銀髪を撫でていると、昔に戻ったみたいな気分になりますね……」

「ハルの髪はお父さん似だからね~♪」


 サクラばあちゃんとルナおばさんは、ニコニコしながらこっちを見ている。

 俺の銀髪はギンジローじいちゃん譲りみたいなので、サクラばあちゃんの家に来たら必ず1回は撫でられる。


 さすがに18歳にもなって、膝枕で頭を撫でられても恥ずかしいだけだが、サクラばあちゃんにされると不思議と抵抗出来ない。


「ハル、本当にサクラちゃんの前だとおとなしいわね♪」

「あら、そうなんですか? そんなところもギンちゃんに似てますね」


「あっ! そうそう、これから私達ギンジローのお墓に行って手を合わせにいくから」

「そうですか、ギンちゃんも喜びますね♪ それじゃあ私達は、その間に晩御飯の準備をしてますね」


 そして俺達はギンジローじいちゃんのお墓に向かった。


「着いたわね……」


 そして2人揃って手を合わせる。


 ギンジローじいちゃん……父さんの所で働く事になったよ、俺達を見守ってて下さい……


 俺が手を合わせ終わって目を開くと、ソフィアはまだ手を合わせていた。


 それからしばらくしてソフィアが顔を上げたので、俺達は帰る事にした。


「ソフィア、ずいぶん長い間手を合わせてたけど、何を報告してたんだ?」


「ハルが働き始めても、バカやらないように見張っててね! ってお願いしてたのよ♪」


「そんな事を長々とお願いしてたのかよ!」


「ふふふっ、冗談よ♪」


 そしてサクラばあちゃんの家へ帰り、今日は泊めてもらうので、晩御飯を食べ、風呂に入り、眠る事にした。




『……ハル、おい! ハル!』


 何だよ? 人が寝てる時に……


『ハル! 聞こえてんだろ!』


 うるさいなー! 眠たいけど、目を開くとそこには……


『よっ! 起きたなハル! じいちゃんだぞ♪』


 じいちゃんって……新手の詐欺か?


「俺のじいちゃんは死んでるんで、間に合ってま~す」


『おい! あんまりふざけてるとソフィアにあの事言っちまうぞ! お前が机の3番目の引き出しに隠してある、新たに仕入れた銀髪ボイン姉ちゃんの……』


 再び眠ろうとした俺に向かって、とんでもない事を言ってきた!


 この詐欺師どこでそんな事を……


「って、ええっ! お、お化け!」


『お化けじゃねぇよ! 俺はお前のじいちゃんのギンジローだ!』


 いやいや、ギンジローじいちゃんは俺が生まれる前に死んでるし……

 でも俺の前にいたのは銀髪のおじさんだった。


 父さんと同じくらいかそれより若い、でも確かそれくらいで……


『何固まってるんだよ! 時間もないし手短に言うぞ』

「待って! その前に何でギンジローじいちゃんが? しかもこんなしっかりと受け答えして……」


『話せば長くなるから簡単に言うと、ソフィアのおかげだ! あいつは気付いてないが、あいつは今は力を失ってるけど、昔は聖剣になるぐらい凄い力があったんだぜ?』


「それはそうだろうけど……」


『それでソフィアが俺の墓で必死に願ってるから、俺が出て来ちまったわけだ! さすが神の遣いだの聖女だの、言われてただけあるぜ!』


「それで俺に何の用なの? 眠いんだけど……」


『何でそんなに冷めてるんだよ! もっとじいちゃんに会えたんだから喜べよ!』


「じゃあこんな夜中じゃなくて、もっと早く出てきてよ!」


『それは俺だって分からねぇよ! ……もう時間なくなるから、用件を言うぞ?』


「それで何?」


『うぅっ、孫が冷たい……それで話ってのはソフィアの事だ』


「ソフィア?」


『ああ、あいつ俺の墓来るたび、ごめんなさいばっかだからよ、気にすんなって言っといてくれ』


「……」


『それと、せっかく封印解けたんだから、勇者一族とか関係なく好きに生きろって』


『俺がいなくなってから、サクラやユート、ルナの事ありがとうって』


『あとハルの事は……お前なら大丈夫だからまかせた、それから心配しなくても、お前の教育通りになってるから後はグイグイ行けって言っとけ! 余計な事言わないで、このまま言えばソフィアに伝わるから大丈夫だ』


「……最後はよくわかんないけど、分かったよ」


『頼んだぞ! あと、ハル……よくやった、俺が解けなかった封印あっさり解いちまうんだ、お前は俺の自慢の孫だ!』


「……ギンジローじいちゃん……」


『ソフィアの事、支えてやってくれ……あいつ長い間、俺達の為に頑張ってくれたんだ』


「それはまかせといて……」


『じゃあ、頑張れよ! お前は最高の…………』


「ギンジローじいちゃん!」


 何だよ……最後気になるだろ……


 隣の布団で眠るソフィアの寝顔を見て、俺はまた眠りについた。






 その頃マリーは……


「今日はハルちゃんの大好きなシチューにしようかしら~♪」


「ただいま~♪ ……あら? 誰もいないのかしら?」


「おかえりマリー!」


「ただいまユート♪ あれ? ハルちゃんは?」


「ああ、ハルはね…………」



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