あら?ずいぶん素直ね♪
隣のオズク村へ向かっている俺とソフィア。
馬車で行くと10分ぐらいで着くがあまり目立ちたくないので歩いて村を目指す。
歩きでも1時間もかからないで着くので別に苦ではないのだが……
「ソフィア! 歩くの早いよ! もうちょっとゆっくりにして!」
「こうしてる間にも困っている人がいるかもしれないじゃない! さぁ急ぐわよ!」
「何でそんなに張り切ってるんだよ!」
「ユートに仕事を任されたのよ!? これで結果を残せば当主にまた一歩近付くわ!」
「そんな事だと思ったよ!」
こうなったソフィアには何を言っても聞いてくれないと分かっているのでもう諦めよう……ただ
「それで街を出てから大分たってるけどいつまで手を繋いでるの?」
「オズク村に着くまでよ、だって手を離すとハル逃げるでしょ?」
「逃げないよ! 何でだよ!」
「だってハル怖くなると逃げるでしょ? 昔、虫歯になって歯医者行った時、もうちょっとで着くって所で何だかんだ理由つけて手を離した隙に逃げ出したでしょ? 探すの大変だったんだから!」
「いつの話だよ! 子供の頃だろ?今になってまでしないよ!」
「とか言って手を離させようとして! 騙されないわよ!」
「……もう分かったよ……」
最近ソフィアに関しては、早めに諦めるのが1番楽だって事が分かってきたからもう大人しくしてよう……
そうこうしてるとオズク村が見えてきた。
「あー! やっと着いたなー! とりあえず休憩しながら村の様子でも見ない?」
「ダメよ! すぐ村長さんの所に行くわよ!」
「……はーい……」
「あら? ずいぶん素直ね♪」
「…………」
頭を撫でてくるソフィアに、諦めてるんだよ! とは言えず黙って撫でられている。
そして村長さんの家に着いて、村の被害状況を聞くことにした。
「わざわざお越し頂きありがとうございます、オズク村の村長のモモンと申します」
「初めまして、父の代わりに調査に来ました息子のハルです、そしてこっちがソフィアです」
「よろしくお願いいたします、それにしてもお若いのにずいぶんとキレイな奥様を連れて」
「えっ?いや……その……」
「ヤダ! 奥様なんて! 私まだ……」
「「まだ?」」
「何でもない!」
手を繋いで来てたのを見られたらしく、勘違いしたみたいだな、何か真っ赤になって慌ててるソフィアはほっといていいな。
「それで村の被害を詳しく教えてもらえますか?」
「はい、私の家とあともう一軒が金目の物を根こそぎ持っていかれたのと村人が数人連れていかれました」
「そうですか、とりあえず被害にあった人と家に案内してもらっていいですか?」
「もちろん、それでは行きましょう」
村長に連れられて被害者の所に案内してもらい話を聞くことになった。
まずは旦那さんが連れていかれたと言う奥さんに話を聞いた。
「旦那さんが連れていかれた時はどこに居ましたか?」
「えっ? ……あの……ちょっと用事があって出かけてまして……騒ぎになって家に戻った時にはもう……」
「それじゃあ犯人も見てないし、ご主人がどうなったかもわからないって事ですね」
「……はい」
2人目は彼氏を連れていかれたという女の人だ。
「ウチは……彼氏との待ち合わせに遅れそうだったから、急いで待ち合わせ場所に行こうとしてた時に騒ぎになって……彼氏がどうなったかわからないわ、あの騒ぎから連絡つかないし……家にもいないみたいだからもしかしてさらわれたかもって……」
子供がいなくなったと言う夫婦にも話を聞いたが、やはり気がついたらいなくなってたみたいで犯人も見てないらしい。
そして最後に金目の物を盗まれた青年は……
「街に遊びに行って、帰ってきたら全部盗まれてたんだよ! その日は安くなるって聞いたから行ったのに何も変わらないし帰ってきたら金は失くなってるしよー! お前当主の息子なんだろ!? 早く何とかしろよ! ……ひっ!!!」
態度悪いし殴られそうになったけど、なんか急に離れてったな……まあ後ろからすごい殺気がするからなんとなくわかるけど……
「とりあえずみんな聞いたし今度こそ休憩しないか? ソフィア」
振り向くとスッと殺気は消えて笑顔のソフィアが立っていた。
「とりあえず全員聞いたし、もうそろそろ帰って父さんに報告しないとな」
「結局何も手掛かりになるような事はなかったわね……」
「うーん、でもなんか変だよなー?」
「えっ? 何が?」
「だってさー、今聞きに行った家みんな結構離れてるだろ? 普通に俺が犯人なら、わざわざそんなバラバラに人をさらったり金を盗んだりしないで近くで済ませそうだけど」
「そういえばそうね、それに村長の家はわかるけどさっきの男の家なんてパッと見た感じお金ありそうには見えないわよね」
「そうだよな~、もしかして最初からターゲットは決まってたのか?」
「そうかもしれないわね! ……でも共通点なさそうよね?」
「そうなんだよ、だから余計わからないんだよ……」
2人で色々考えたけど全然分からないし、これ以上悩んでもしょうがないからもう家に帰ろうとした時
「あれっ? 若! こんな所でどうしたでござるか?」
「コン太? お前こそどうしてここにいるんだよ?」
「師匠の手伝いでこの村の見回りをしてるでごさる! 師匠たちは盗賊のアジトを探しに行ったので1人でござるが……」
「俺は父さんに頼まれて村の被害状況を聞きに来たんだよ」
それでコン太にさっき被害者の所に行って聞き込みしたが、さっぱりわからない事を説明すると
「確かに共通点がわからないでごさるな……とりあえずその人たちの事を気にかけながら見回りする事にするでござる!」
「ああ! それじゃあ何かわかったら教えてくれ、俺もとりあえず父さんに報告しに戻るから
」
「わかったでごさる! それじゃあ見回りに戻るでござる!」
コン太と別れ、街に戻ろうとするとソフィアが
「あら? あれユートの所の忍者だけどどこ行くのかしら?」
「誰かの後をつけてるな?」
「ハル! 私達も追いかけるわよ!」
「いや、邪魔になるし危ないからやめた方が……」
「大丈夫よ! それにもし盗賊だったらアジトを見つけられるかもしれないわ!」
「それなら父さんの部下の人に任せたら……」
「だって気になるじゃない! さっきから考えてもわからないからモヤモヤするのよ!」
「ただの好奇心かよ……」
結局ソフィアに手を引かれて、父さんの部下の後を追う。
しばらく追いかけると森の中へ入って行き、そして部下の人が立ち止まった。
「止まったわね、もうちょっと近づいてみましょう」
「ハァ……ハァ……ソフィア……ちょっと……」
「何があったのかしら? あっ! ハルあれ! もしかして盗賊のアジトじゃない?」
「ハァ……ちょっと早い……って本当だ! こんな森の中に家みたく作ってたのか! でもなんでみんな探してたのに気が付かなかったんだ?」
「あの家、簡単に組み立てたり解体したりできる様になってるから、多分頻繁にアジトを移動して気付かれない様にしてたんじゃないかしら?」
「なるほどだから見つからなかったのか、とりあえずこの事も父さんに報告しておこう、よし! じゃあ街に帰ろうか?」
「ここで帰ったらまたアジトを移動されてまた探さなきゃいけなくなるわ! こうなったら突撃よ!」
「何言ってるんだよ! そんな危ない事……ソフィア!」
人の話が終わる前にもう突っ込んで行ってるし! 慌ててソフィアを止めに行こうとしたけど
「あんた達ね! オズク村で悪さをしたのは!」
「何だ姉ちゃん? 俺達になんか用か?」
「問答無用! 聖剣突き!!!」
「うわぁぁぁー!!!」
「どうした!? 敵襲か! って、ぐぇぇぇー!!!」
「ぎょえぇぇぇーー!!!」
「ぴゃゃー!!!」
「聖剣突き! 聖剣突き! 聖剣突きーーー!!!」
突っ込んでったと思ったらもう暴れてるし……
もう考えるのはやめよう……
次々と殴られて吹っ飛んで行く盗賊と、無双しているソフィアをただ呆然と見つめる事しかできなかったハルだった。
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