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街のお城へ行きます。

花野香澄、いつの間にか16歳。

本文では特に誕生日を迎えた話は出てきませんが、異世界で確実に生きております。

ドワーフのヒャクニ夫妻に可愛がられ、素敵な奴隷ハーフエルフのフロックスさんと一緒に今日もお仕事頑張ってますよ。

「勇者一行が隣街にいるらしい。」


 ヒャクニ屋食堂でスカビオサさんとフロックスさんと3人で朝食を食べています。

 ほぼ毎日一緒に食べるのですが、この時にスカビオサさんから色んな情報を貰います。


 今朝の話題は勇者様らしい。


「勇者様ってどんな方なんですか?」


 私の素朴な質問にフロックスさんの瞳が冷め、鋭い美しさに。

 え?何が癇に障ってしっまったの。


「カスミ様、勇者にご興味がおわりで?」


「え!!いやいや、興味っていうか。

 勇者様って何やる人なのかなあって、私一般常識無いから勇者様についての知識として教えて貰おうと思って。」


 スカビオサさんが笑いながら、


「勇者様っていうと、まあいわゆる国家の象徴かの。

 昔の勇者は世界に害ある存在を倒したりしていたけれど、今は倒すべき存在がないからの。」


 昔の勇者は、魔王とかボスと戦っていたという事かな。じゃあ、魔王やボスがいない今は、


「世界が平和になったという事ですか。」


 スカビオサさんは頭を軽く横に振り、


「平和ではなく複雑になった感じじゃ。

 勇者が戦ってた頃は種族ごとに分かれとったが、今や種族は交じり多種族で街を作っておる。

 昔のような大きな戦はないが小さい争いは起きとる。」

 まあ、今も勇者頼みのところはあるか・・・スカビオサさんは小さくつぶやいた。


 食堂の中では、私たちの様に異なる種族でテーブルを囲み朝食を食べ談笑して人達が多くいる。

 私はヒャクニ屋の中では小さい争いを見た事は無かった。


 ▽▽▽


 食堂の朝食時間が終わりお客さんが帰った後。

 紅茶を飲んでいるスカビオサさんの隣で、ジニアさんが朝食をとり、私とフロックさんで食堂の片づけをします。


 フロックスさん、シルバーブロンドのロングヘアーを一束にし、黒いロングの腰エプロンをして食堂の拭き掃除をしています。


 腰エプロンは私の手縫いです。

 フロックスさんに合う丈のエプロンが売ってなく、ジニアさんに教えてもらい初めて縫いました。

 自分でも悲しくなるくらい下手な出来上がりなのです・・・が、

 縫い終わった瞬間、フロックスさんが飛び切りの笑顔で受け取りに来て、毎日着けてくれています。


 本当に超絶美形って何着てもカッコイイ。


 フロックスさんをチラ見しながら洗い物をしている私に、スカビオサさんが、


「そうじゃ、この前言っていた狼の黒幕の話じゃが。

 街の護衛隊長がカスミの話を聞きたいそうじゃて、3日後城に来てくれと言われたわい。」


 狼を裏で操っている奴がいるんじゃないかとスカビオサさんに相談したのが数日前。


「街の護衛隊長ってかなりな権力者ですよね。

 そんな人に短期間で会う機会を作ってくれるなんて・・。」


 驚きました。


「儂、体は小さいが顔は広いんじゃよ。」


 スカビオサさんは冗談っぽく言いますが、本当にスカビオサさんの交友関係って凄い。


「狼狩りに対して有用な話を持ってくる者がいないらしくて、隊長もいまいち現状が掴めずにいるそうじゃ。

 カスミに喜んで会いたいと言っておったで、フロックスと行っておいで。」


「私達だけで会えるんですか?」


「儂も一緒に行ってやりたいが、城に行くと色々めんどい事を儂に言ってくる奴がいるのでのう。

 城には出来るだけ近づかんようにしとるんじゃ。」


 そっか、交友関係が広いのも大変なんだね。


「わかりました。

 フロックスさんと2人で行ってきます。

 フロックスさん3日後、街のお城に一緒に行ってね。」


 フロックスさんは静かに頷いてくれた。


「よし、城に行くんならカスミ着飾らないとね。

 今からカスミの服買いに行くよ。」


 今まで朝食を食べてたジニアさんが急に立ち上がり、張り切りだした。


「え、服はこの前首都で着たワンピースがあるから。」


「何言ってんだい、季節的にあれじゃ寒いだろうが。

 女なんだから季節ごとにお洒落しなきゃ駄目だよ。フロックス店番頼むよ。」


 何故か、フロックスさんが満面の笑みで見送ってくれる。


 お洒落ってお金かかるのまだ無理です。

 スカビオサさんへ首都での借金返したところで手持ちのお金少ないのぉぉぉぉぉ。


 と、心の中で叫び、ジニアさんに腕を掴まれ引きずられように宿を出た。


 ▽▽▽


「着きましたね。」

 2頭立て馬車から降り、街のお城ダールベルクデージー城へ到着です。


 朝、お城へ近いから飛んでいこうと考えていたら、街中は飛行禁止だと初めて知りました。


 スカビオサさんが城内にすんなり入るには、2頭立て馬車でないと門番が煩いと言うので、もの凄く高い馬車代・御者さん代を払い乗って来たんです。

 ええ、またスカビオサさんに借金しました。


 でも、借金してでもやりたい事、フロックスさんの正装姿を見る事が出来て、もう本当に眼福。


 我が借金に一片の悔い無し!です。


 立て襟で膝まで丈のある、夜空を模様した繊細な刺繍入りコート。

 薄いブルーグリーンのスカーフ。足元は黒に近い青のキャロットに黒いショートブーツ。

 フロックスさんのシルバーブロンドとアイスブルーの冷たい美しさが一段と鮮やかに映えてます。


 フロックスさん、尊いです。


 ジニアさんと私の服を買いに行った時にフロックスさんの服も注文しました。



 フロックスさんのサイズを正確に把握してる私にジニアさんが怖がってました。


「カスミ様、右手を自分の左手に置いて下さい。」


 あ、右手をフロックスさんの左手の上に・・・。

 え・・触って良いんですか。キャー。


 フロックスさん私に微笑みながらお城の中にエスコートしてくれてます。


 ああ、超絶美形。

 もう本当にカッコイイ!。

 ずっと見ていたい。

 見てられる!。



「あー、君、もしかして護衛隊隊長に謁見される、ヒャクニ様の縁の者かね。」


 金の鬣に額にブラウンの鱗があり、鋭い目で低い鼻の正装したリザードマンがいます。


 慌ててジニアさんに教わった右手でスカートを広げ左手は胸の前、膝をやや曲げて挨拶します。

 フロックスさんも右手を胸の前に頭を下げ、挨拶の姿勢です。


「本日、護衛隊隊長への謁見をお許しいただき、ありがとうございます。

 カスミと申します。よろしくお願いいたします。」


 少しの間の後。

 リザードマンは目を細め口の端を下げ、


「まさかこの様な者達の為に、護衛隊隊長の時間を潰させるとは。

 おい下郎、奴隷は庭で待つように。娘のみ、ついて来い。」


 居丈高に声を上げた。


 ハア!!何その態度!!

「ちょっと・・・」


 文句を言おうとしたら、フロックスさんに腕と腰を持たれ、


「カスミ様、自分はそこの中庭にてお待ちしております。どうか、お気をつけて。」


 優雅な笑顔で言われた。


 顔近い!

 その笑顔、素敵過ぎ!!

 一瞬で怒りが消し飛びんだ。


 フロックスさんを振り返りつつ、リザードマンの後ろをついて行く。


 ▽▽▽


 フロックスさんの姿はもう見えない。


 先導しているリザードマンが私に歩きながら文句を言っている。


「平民の分際で・・・。」

「子供の相手など馬鹿にしやがって・・・。」


 リザードマンの文句を相手にしないよう、朝から脳内に焼き付けたフロックスさんの正装姿をノンストップで流しています。


 朝、フロントで正装したフロックスさんを見た瞬間。


 フロックスさんが私の姿を褒めてくれているあの時。


 馬車の中で揺れを防ぐため寄り掛からせてくれたあの場面。


 フフフ。


「ドワーフの頼みなど聞く必要ないのに・・・」

「生意気な小娘が・・・。」


 馬車から降りた時の綺麗な立ち姿。


 エスコートの優雅な歩き。


 別れ際に腰を抱えられ魅せられたあの笑顔。


 本当にフロックスさんの超絶美形ぶりにも困ったものです。


 フフフ・・・。



「チッ・・・ニヤニヤと馬鹿にしてんのか!!」



 は?何。


 視界が変。

 わたし足が地面から離れている。



 リザードマンに階段上から突き飛ばされた。



 まさか、お城の中で暴力を受けるとは油断した。


 事故に遭っている時、スローモションに見えるってこれかぁ。



 落ち着いて、風を吹かせて・・


 風を・出ない・・!


 出ない!!



 なんでええぇぇぇ・・!!。


カスミちゃん、階段から落下中です。

後ろ向きに落ちていってますので、このままでは後頭部を床に激突・・・・。


ここまで駄文を読んでいただきありがとうございました。

心の広い貴女に良い事が起きますように!!

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