フロックス④
フロックスさんの過去の話です。
※女性が乱暴される描写や子供のフロックスが乱暴される描写があります。
暗い話なので読まれる方は注意してください。
「フロックス、身支度は出来ますか?」
女性神官のツユキ。
自分の身の回りの世話をしてくれる。
「はい。自分でできます。」
ツユキは自分の頭に手を置き微笑んでくれた。
自分が5歳。ツユキは12歳。
ツユキは亜麻色の髪のエルフで自分が物心ついた時にはツユキが手を引いていてくれていたと思う。
この頃は神殿での暮らしは幸福で満たされ、神にも感謝していた。
▽▽▽
自分には魔力が多く6歳から修業が始められた。
神官として信者に対して行う魔術や時として神殿を守るため戦える魔法を叩き込まれた。
文字道り頭と体に叩き込まれる修業は辛いなんてものではなく毎日意識を失っていた。
目覚めればツユキが介抱していてくれた。
彼女が自分に微笑んでくれるそれだけが救いだった。
▽▽▽
ツユキが14歳になった。
塞ぎこむことが多くなり笑顔が少なくなった。
自分は修業が辛く彼女の変化を見ても何もしなかった。
▽▽▽
ツユキが16歳になったら神殿を出て、街で暮らすと急に吹っ切れたように明るくなった。
自分は彼女に良い事が起きたのだと勝手に思い「おめでとう。」と言った。
ツユキは泣きそうな複雑な顔をして自分を抱きしめた。
ツユキと別れるのが寂しいのとあの複雑な表情が気になって、深夜ツユキの部屋を訪ねた。
ツユキの部屋からくぐもった声と複数の男の声が聞こえた。
2人の神官が裸の彼女を掴み、彼女の上に乗っていた。
この後の記憶はないが、自分が2人の神官を魔法で殺したらしい。
神殿内で事件はもみ消され、自分は罰を受けなかった。
▽▽▽
ツユキは神殿を出た。
街の娼館で働くと聞いた。
自分は娼館がどういうところかわからなかったが、悲しそうなツユキの顔を見て幸せでないと分かり泣いた。
泣く自分の唇にツユキはキスをして神殿から去って行った。
▽▽▽
ツユキが去った後の神殿は地獄だった。
自分は10歳になっていた。
昼間は辛い修業、修業の合間に年上の教官に奉仕をさせられるようになった。
殺人をもみ消してやっただの、魔力が多いから目をかけてやるだのと言われ、修行で頭も体も酷使されていたので抵抗出来なかった。
ツユキを想った。
ツユキも抵抗できず同じ目に逢っていたのかと。
▽▽▽
自分が13歳になる頃、教官はすでに違う子供に目が向いていた。
自分には先輩神官が手をかけてきた。
最初は先輩神官が大嫌いだったが次第にいろんな事を教えてくれるので少し信頼するようになった。
先輩から教わった事で神殿での暮らしがしやすくなり、信者とも接しやすくはなったが次第に神への忠誠心はなくなっていった。
こんな事が曲がり通るなら神などいないに違いないと思うようになった。
▽▽▽
ある時、自分より年下の薄茶色の髪のエルフが泣いていた。
ツユキを思い出し、助けたいと思った。
エルフの相談に乗るようになったが、ある日エルフは自殺してしまった。
自分は助けられなかったと泣いた。
泣く自分に先輩が言った。
「そんなに泣くなよ。
俺等やさしくしてやったんだぜ。
娼館に行ったらもっと酷い客だっているんだ。
あれくらいで死ぬんなら生きてけやしないだろう。」
▽▽▽
神殿には自分と同じ親に捨てられた又は親を亡くした子供でいっぱいだ。
皆、寂しい気持ちを持って暮らしている。
寂しい気持ちから肌を重ねる者たちが多くモラルが緩くなっていた。
神殿にいる子供は魔力が低いと娼館や男娼、金持ちに売られて行く。
▽▽▽
神官長に掛け合うことにした。
神殿の子供にもっと職の選択を増やすように。
子供たちに未来が開けていれば前を向いて生きていける。
21歳の自分は魔力が高く神殿の中でも位を持っていた。
だから神官長に直訴したのだが・・・・。
上が一番腐っているとは考えてなかった。
神の教えを説き人として生きるとは他人を思いやりなさいと言いながら、神官長が子供を売る道を作り、魔術を貴族の快楽に使い、魔法薬を娼館や男娼に流す。
大金が神官長の懐に入っていた。
▽▽▽
神殿での儀式の最中に神官長の肺を凍らせた。
この時、自分の魔力の多さや今までの修業の成果を全て出せたと。
この日の為に修業してきたのだと満足した。
しかし、まさか国が神官長の不祥事を世間から隠すため、自分の殺人も隠すとは思ってもいなかった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
あと、2回程で完結します。
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