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番外編~それから・後編~

 親子3人(正確には4人)で日本に帰国して、およそ1週間の休暇中。今夜はとうとう最後の夜で、明日の午前中の飛行機でドイツへ戻ることになっている。

前半はうちの実家に、後半は皿池のお義父さんお義母さんのところにお世話になった。またしばらくお別れということもあって、今夜はまた両家で集まっている。

朔がおじいちゃんおばあちゃんに囲まれて、嬉しそうにしているのを見ると…、なんだかすごく癒される。向こうで俺や凛と一緒にいるときとはまた違う感じ。

日本に戻って、おじいちゃんおばあちゃんたちのそばで育てるほうがいいのかもしれないなーなんて、考えたりもして。でも、仕事のこともあるし簡単には決められなくて、朔のためにはどうするのが1番いいのか…俺たち夫婦はまだはっきりとは答えを出せていない。


 「朔ちゃん、こっち向いてー!」

お義母さんと母さんが、さっきからひっきりなしにカメラを回していて、今度は椅子に座ったバージョンを撮っているようだ。

朔もうんざりしているんじゃないかと思いきや、意外に楽しそうに撮られていた。

「朔、モデルさんになれそうだね」

キッチンから戻った凛が俺の隣に座って、カフェオレの入ったマグカップを差し出してくれた。

「あはは、そうかも。服買いに行くときも楽しそうにしてるし、やっぱり血は争えないなあ。ドイツのお店と日本のお店だと、また反応が違うよね」

「…やっぱり朔にとっても、海外での生活は無駄じゃないってことだよね。日本で育つより、いろんな経験をしたり…可能性を広げてあげられる気がする」

凛も、俺と同じことを思ってたらしく、穏やかな表情で朔を見つめている。

もうすっかり、母親の顔だな。

俺は彼女の手をとり、優しく包み込んだ。

「俺、海外に出てみて気づいたんだ。30年以上生きてきても、世の中には…俺の知らないことがまだまだたくさんある。もし今も日本に留まったままだったとしても、きっとこうやって楽しく暮らしてるだろうね。でも、外の世界を知らないままだったら…それはすごくもったいないことだなって思うんだ。だから…朔や、これから生まれてくる子どもたちに、もっと広い世界を見せてあげたい。子どもたちが大きくなったとき、もしも日本で暮らしたいって言われたら、その時はしたいようにさせてあげるべきだと思うけどね」

「うん…。そうだね。私も、思い切って海外へ出てみて本当によかったと思ってる。もちろん、学生の頃や社会人としての下積み時代を日本で過ごしたからこそ、今の自分があるんだけどね。海外を知ってから社会に出るって、いったいどんな感じなのかなって興味もあるし。子どもたちにはやりたいようにさせてあげたいけど、やっぱり親目線で言うと、海外に住んでる今の環境を活かしてあげたいよね」

「父さんたちも、そう思うよ」

突然うしろから声がして、はっと振り向くと…、お義父さんと父さんがリビングに入ってきていた。

2人はさっきまで、父さんの書斎でお酒を飲んでいたのだった。

「大斗や凛さんは、日本にいたころももちろんキラキラしていたけど…向こうに行って、ますます輝きが増した気がするな」

「そうそう。凛が大斗くんとドイツへ行くって聞いたときは、母さんと心配ばかりしていたけど、帰ってきた君たちを見ていたら…本人たちのやりたいようにさせてよかったって思ったよ。それはきっと、子どもにとってもそうじゃないかな」

お義父さんと父さんの言葉を聞いて、俺たちはなんだか背中を押された気がした。

 

 凛と、朔と、それから…まだ見ぬ子どもたちをそばでしっかり守りながら、俺自身ももっと大きな人間になろうと、その夜改めて誓ったのだった。

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