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恋人たちの休日

 その日は午後からいろんな観光地を巡りながら2人で散歩して、幸せな休日を過ごした。隣に凛がいることがいまだに信じられなくて、つないだ手を確かめるように、何度かぎゅっと力を込めた。けれど、凛はあまり気づいてくれなくて、しばらく手を繋がなかった間に力加減を忘れてしまったのだと思っていたらしい。

「見て!これ、すっごい可愛い♡」

凛はあるお店のショーウィンドウに近寄って、綺麗なオルゴールを指さした。

「ほんとだ…。すごく繊細なつくりだなあ。買っちゃう?」

「ううん。飛行機で壊れちゃいそうだし…」

「ああ、たしかに」

そのオルゴールはノイシュバンシュタイン城をかたどっていて、手のひらサイズの小さなものだ。先の方や窓1つ1つまで細かな作りで、触れるのさえためらってしまいそう。

「ねえ、そろそろ帰ろ!暗くなってきちゃったし」

「うん。そうだね」

俺は凛と一緒にアパートを目指しながら、俺はしっかりと店の名前を覚えたのだった。

 うちに帰りつくと、凛は日本から持ってきたものを披露し始めた。

「海苔でしょ、醤油に、そうめんでしょ、あと高野豆腐もあるよ!」

「すご…。こんないっぱい持ってきてくれたんだ」

食材を取り出すと、凛のキャリーバックは半分くらいぽっかりと空いている。

「あ!そうだ。俺も凛にプレゼントがあるんだよ!」

「えっ、なあに?」

クローゼットからごそごそと箱を取り出す。

「はいっ、開けてみて!」

「うん!なんだろう~?………………わあ!すごーい!可愛い!!」

凛にあげたのは、白いワンピース。袖のところがレースのフリルになっていて、可愛らしい感じ。

「さっそく着て見せて!」

「うん!ちょっと待っててね」

凛はワンピースを抱えて、寝室の方へ走って行った。

待つこと5分ぐらい…。

「…ねえ、これすごく高かったんじゃない?こんなのもらっちゃっていいのかな…」

戻ってきた凛は、まさに天使のようだった。

「うん、いいよ。凛…、すっごく可愛い…!!」

フリルの袖からすらっと伸びた細い腕、すっきりとしたデコルテ、ウエストはゴムできゅっと締められていて、膝丈の裾に向かってふんわりと広がっている。

「でもこれ、CHANELのだよね?高いよー」

「いいの!俺が凛に着せたいって思ったんだから。それに、すっごく似合ってるんだから、受け取ってくれないと困る」

「…ほんとに、いいの?」

「もちろん!明日はさっそくこれ着て、南ドイツのほう行ってみようよ」

「うん!ありがとう。大事にするね」

「気に入ってくれて嬉しいよ」

にこにこと嬉しそうに笑う凛ちゃんが可愛くて、ぎゅーっと抱きしめた。

「ふふっ、大斗さんの匂いだ♡」

凛も俺の胸に頬を押し付ける。

「凛は甘えん坊だなー」

「私が甘えるのは大斗さんだけだもん!だから今のうちに、存分に甘えるの」

「そっか。じゃあ存分に甘えて?」

2人きりの甘い夜は、まだまだ始まったばかりだ。

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