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一章 二話 異世界の街リクセン

前回の更新から大変遅れてしまい読んでくれた方申し訳ありません。

引き続き気長にお願いします

 2


 俺は今セルラウス家のオンディちゃんとノーちゃんと一緒に街に来ている。


 ひとつ驚いたことがある。街の地面は舗装されてないが建物は綺麗に建築されている。だが、その建物が全部白色なのだ。よくあるヨーロッパのような粘土で作ってるような家ではなく日本古式の住宅なのだが、どこにも他の色が見えない。まるで精神病棟のようである。


 この街はなんか奇妙だ。地球の感覚で言うと偏りすぎている。最初にくぐった扉もそうだが芸術の街パリにきたような気分だ。


 などと考えていると、ふいに聞こえたオンディちゃんの声で現実に戻された。

 

 「流さん、流さん。どこに行きたいですか? 図書館に博物館とかいろいろありますけど、私のおすすめはですねぇ、じゃーん! このパン屋さんです! はぁ~ジューシーないい匂いがしますねぇ~。」

 

 確かにすごくいい匂いがする。けどこの匂いでパン屋さん…・・・?。と思っていると、ノーちゃんが袖を引っ張ってきた。


 「にい、この次はノーの本屋さん。連れてたげる。」


 「はうっ!」


 ・・・・・・・・・・・・な、なんて可愛いのか。不意打ちに驚きすぎて変な声が出てしまった。


 「にい、どした?」


 「い、いや、何でもないよ。ノーちゃんの連れてってくれる本屋さん楽しみにしてるよ。じゃあまずはパン屋さんに行こうか。」


 「ん。」

 ノーちゃんは満面の笑みを浮かべて頷いた。

 

 こ、こんな可愛い子が三次元にいていいのだろうか・・・・・・。も、もしかしたら二次元の中に入っちゃったとか・・・・・・。な、なんて最高なんだ! 

 そう思いながらパン屋さん? に入るとそこには・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・焼肉屋さん? のようなジューシーな匂いがした。


 「・・・・・・・・・・・・えーと、これパン屋さんなの?」


 「え? はい。そうですけど、流さん気に入りませんでしたか?」


 そう言って潤んだ目で上目遣いに俺の顔を見上げてきた。


 「い、いやそういうわけじゃないんだけどね、俺が知ってるパン屋さんと違ったから驚いただけだよ。これは大好物だよ!」


 「そうですか! それは良かったです! まだお昼ご飯食べてなかったですよね! ここのものは最高級のモノを揃えているんですよ!」


 お店に入って席に着きながらオンディちゃんが言った。


 「へ~。楽しみだよ! ね~。」


 「ん。」


 ほのぼのとした会話をしていると、メイド服を着たまたも可愛い白髪娘があらわれた!


 「いらっしゃいませです~ ご注文はどれにするですか? いまオススメなのは七玉の宝玉ですぅ~ ――――ってディちゃんとノーちゃんじゃないですか。それと、この人は・・・・・・・・・・・・って男の人!? どうしてこんなところにいるです? あ、ええと・・・・・・・・・・・・その髪の色ってことは貴族様です!? すいませんご無礼をお許しくださいです。」

 

 彼女はいきなり早口でまくし立てペコペコと謝りだした。


 「―――え~と・・・・・・よくわからないんだけど、俺はオンディちゃんたちの客人みたいだからオンディちゃんのお友達なら仲良くしてくれると嬉しいな。今のところ行くあても全くないし、しばらくここらへんにいると思うからよろしくね。それと、一つだけ言わせてもらいたいんだけど・・・・・・。」


 「は、ハイなんでありますですか!」


 俺が人差し指を立てて真剣な顔をすると、彼女が怒られる時のような深刻な顔をした。


 「君は可愛いんだからそんなに軽々しく頭を下げたりすると、調子に乗るアホみたいな輩がいるから。気をつけるんだよ!」


 俺が真顔で本心から忠告すると


 「…………………。」


 「・・・・・・・・・・・・え? そ、それはプ、プロポーズですか? す、すいません私急なことで頭の整理が少々ついてなくて。 はわわわわ」


 ん? プロポーズ? と思ったとたん―――


 「――――流さん。ひとつ言ってなかったですけど、この世界では地球と違って男女比がちょっととたーくさんなので、男の人に会ったことすらなくて、一生を終える人がほとんどなんです。だから、誰彼構わず可愛いなんて言ってしまうと大変なことになってしまうんですよ!」


 オンディちゃんは深刻な顔をして人差し指を立てて言った。


 「にい、誰にでも可愛い可愛いって言ってるの?」


 純粋なノーちゃんの視線はつらいが、みんな今までに見たこともないような可愛い子なのだから仕方がない。

 

「ノーちゃん。違うよ。俺が純粋に本気で可愛いと思った子じゃないと可愛いなんて言わない。お世辞とかは一番嫌いだしノーちゃんもオンディちゃんもサラちゃんもハンパない可愛さだってのは本気で思ってる。・・・・・・逆に俺は愛が重すぎるからノーちゃんたちの負担にならないかが一番心配なぐらいだよ。」


「・・・・・・だって、ねえね。にいはみんな好きなんだって。」


 「そ、そんなこと誰も聞いてなんて言ってないよ! それを聞いてちょっと安心したなんてちっとも思ってないし・・・・・・。」


 そんな話をしていると、メイド服の彼女が満面の笑みでて言った。


 「よくわかりませんですが、私はあなたのお嫁さんってことでいいんですよね! はい! 頑張りますです。私、メイルラウィンといいますです。メイルとお呼びくださいです。それ――――」


 「ちょ、ちょっと待ってよメイルちゃんなんでそんな話になってるのよ!別に流さんはメイルちゃんと結婚するなんて言ってないよ!」


 「何を言ってやがるですか、私はちゃんとこの方にプロポーズされたですぅ~。」


 「いや~それほどでも~。」


 「「流さん! にい!」」


 「あ・・・・・・、はい。いや~でもこの美少女は惜しいよ。結婚なんていくらでもしてあげたいぐらいだし・・・・・・。」


 「ん。」


 語気を強く荒げて、両頬をつねってくるオンディちゃんとノーちゃんに押されて俺は・・・俺は・・・・・・


 嫉妬してくれてる? と自意識過剰なことを思っていた。


 すると、後ろからまた別の声が聞こえてきた。


 「メイル! あなた何やってるんですか! またディちゃんたちに迷惑かけて!」


 と言いながらやってきたのは、またも白い髪した落ち着いた雰囲気のあるな女性だった。もちろん綺麗だ。


―――それにしても、こっちに来てから俺の目はいかれたのかというぐらい今まで見たこともない女の子または女の人がいる。さっきも街を歩いていただけでどんなにレベルが高い子がいたか思い出すだけで鳥肌が立つぐらいだ。―――


 「な、なんですか。別に迷惑なんてかけてないです!」


 「はいはい、どうでもいいから早く仕事に戻りなさい。」


そう呆れたように彼女は言いながらメイルの頭をアイアンクローで連れて行こうとした。


「い、いた……痛いって言ってるですこのババァ!」

 

「………………。」


「……………………。」


 「……まだ私は22歳なの。誰が何ですって……。」


 ババアといわれた途端今まで愛想のいい感じだった雰囲気から一瞬にしてものすごい剣幕をまとい始めた。


 「……い、いえなんでも。……仕事に行ってまいりますです。」


 「はい。わかればよろしいのです。」


 彼女はメイルが仕事に向かったのを見送るとこっちに近寄ってきてさっきのメイルちゃんに対するものすごい剣幕はどこにもなく何事もなかったのかのように言った


 「流様でしたよね。ご注文は何になさいますでしょうか? 今日はキャンペーンをやっておりまして全額無料となっております。」


 「えーと、じゃあよくわからないからおすすめで。みんなもそれでいいかな?」


 そう、これが紳士の対応。女性に恥をかかせてはいけないのだ。

 

 「わ、私は流さんのと一緒ので。」


 「ノーも。」


 「はい、かしこまりました。それでは、少々お待ちくださいませ。」


 彼女は深く頭を下げ、厨房? のほうへ向かった。


……と思いきやその途中で引き返してきた。何か忘れ物でもしたのかと思いしばらく様子を見ていたが、彼女は俺たちのテーブルの前でもじもじしているだけだった。


 「えーと、どうしたんですか?」


 「……あ、あの…………。お、男の人って20超えてる人はやっぱりおばさんなんでしょうか? っていうのを前に聞いたことがあって…………。い、いや別に私が気にしてるわけじゃないですよ。」


 彼女は顔の前で手を振りながら慌てて否定した。


 「えーと、他の人は知らないけど僕はかわいければ年齢は気にしな―――。」


 いと思うよ。と言おうとしたところ、最後まで聞かずに彼女が興奮した様子で口を開いた。


 「そうですよね! そうですよね! まだ全然大丈夫なんですよね。私はまだ若い。私はまだかわいい。大丈夫。大丈夫よ私―――。」


 彼女は満足そうにうなずくとぶつぶつとつぶやきながら厨房のほうに消えていった。


 「……みんなかわいくて個性的でとってもいいと思うよね。」


 「にぃの目は抉ったほうがいい。」


 「ノーちゃんそんな物騒なことを女の子が言っちゃいけないんだよ。」


 そんな会話をしているとすぐに注文したものが来た。


 「お待たせいたしました。七宝の宝玉になります。今から捌かせていただきますので少々お待ちください。」


 「はーい。」 「ん。」


 …………え? 


 俺は一瞬自分の目を疑った。なぜなら、七宝の宝玉という名前の食べ物が俺の大好物のモノだったからだ。


 いや、それだけではない。俺が好きなモノに得体のしれない翼と目が生えているのだ。

 

 ド○クエなどで出てくる一つ目のコウモリの胴体がオレンジ…………? 


 「どうしたんですか? 流さん。……あっ! そういえば流さんのおうちにも七宝みたいなのありましたね! とっても捕まえやすかったので私でも捕まえれたやつです! あのおうちにたくさんあったのでもしかしたら好きかなー? って思ったんですけどやっぱり好きだったんですね!」


 さすがにこれは……。


いくらオレンジが好きでオレンジに似てる物質でも生物だし、いま現に捌かれてる最中だけど羽をもぎ取って何か液体飛び散ってるし……。気持ち悪い声出してるし、食べ物のような気がちっともしない。


「はい、お待たせいたしました。七宝の宝玉のお刺身になります。」


と言って出されたのはさっき見た生き物からは想像もつかない普通のオレンジだった。

けど、皮の部分に目玉がついてる。それさえ見なければ普通のオレンジだ。


だが、さっきのを見たら気持ち悪いのには変わりはない。


俺がオレンジ(恐)に手を付けないでいると、


「にい、食べないならノーがもらう。」


「こら、ノーだめでしょ。それは流さんの好物なんだから。きっとこんなところにまで来ても食べれるなんてと感動してるのよ。だから、ゆっくり味わって食べたいのよ。」


いや、オレンジは好きだけど! これはオレンジじゃないでしょ! と心の中で突っ込んでいると。


「……流さんもしかして、本当は好きじゃないんですか? すいません。私流さんが好きだと思って勝手に舞い上がってしまって、嫌いだったなんて……。」


「い、いやそんなことないよ。これは大好物なんだよ。めっちゃおいしいよね。ほら。」


オンディちゃんが申し訳なさそうにしたので、好き嫌いなんてしてる場合じゃないと思い一口食べた。すると、口の中で肉汁? がはじけた。これは肉汁というより果汁? というぐらい。普通のオレンジだった。いや、それよりも格段にジューシーでおいしいオレンジだった。


「なにこれ! めっちゃおいしいよ。こんなにおいしいのたべたことないよ!」


「そ、そうですか! ありがとうございます。こんなに喜んでもらえるとは思ってなかったのでとても嬉しいです。」

 

一瞬で鬱とした表情がはじけるような笑顔に変わった。


この笑顔を見られただけでもう死んでもいいかななんて思うぐらいのとびっきりの笑顔だった。俺の胸はキュンキュンした。


まさか、三次元でここまで萌えることができるとは…………。


そんなこんなでオレンジ? を食べ終えてお店を出ることにした。


「「「ありがとうございました~」」」


店員さんたちの声を後ろに聞きながらお店をあとにしてノーちゃんが「次はノーと本屋さんに行くの」と言い歩き始めると後ろからまた別の声が聞こえた。


「流さーん、待ってくださーいです。」


そう言いながら小走りで追いかけてきたのは先ほどのメイルちゃんだった。


「どうしたの? そんなに慌てて。」


「え? どうしたといわれ………………、そ、そうです。用事があったのです。」


困ったような顔から瞬時に胸を張ってドヤッとした顔に変ったメイル。


「実は、私先ほどのお店をやめて……でなく、辞めさせられたので職がありませんです。こんな哀れな私に職をめぐんでくださるようなおやさしい貴族様はいらっしゃるでしょうかです。」


言いながらメイルはこちらをチラッ、チラッ、とみている。


彼女が言っているお優しい貴族様は俺のことだろう。貴族じゃないけど。さっきなんか貴族様とか言ってたし。


「さっきも言ったけど、俺は貴族でも何でもなくて、ただのオンディちゃんたちの家に居候させてもらってる暇人みたいな感じだから、君を雇うことなんてできないけど……。」


といい、オンディちゃんのほうをちらっと見ると


「え!? 私ですか? …………そうですね、うちの家は大きいので人が一人増えようともあまり関係ないのですが……。」


といい、ノーちゃんのほうに助けを求めるような眼差しを送った。


「……はぁー、仕方ないですね。うちの下働きとして働いてもらいましょうか。では、この町のはずれにある別館が誰もいなくて管理が困っているので、そこでいいですか?」


 「……え!? そ、そこだと流さんに―――――。」


「なんですか? いまどきこんないい仕事をくれてやる人なんていないと思いますけど。」


メイルちゃんがなんか言おうとした言葉をさえぎってノーちゃんが重い声を発した。


こんな異世界でも就職難なんだと、俺は場違いなことを考えていた。


「くっ、ま、まあそうなんですけど、その……。」


メイルちゃんは両手の人差し指をつんつんさせながら少し恐々と俺の顔を、上目づかいで助けを求めるように見てきた。


「っな!? ……よしっ、メイルちゃんかわいいから俺のメイドさんに命じる!」


と、俺が言うとみんながキョトンとした顔をしている。俺が言った言葉の理解に悩んでいるのだろうか? 


「…………あ、ノーはわかっちゃいました。にいはこの阿婆擦れ女を冥土に送ると言っているのですね! さすがにい、悪逆非道です。ハアハア。」


なぜか息を荒げながら興奮した口調でノーちゃんが言った。


「なっ!? なんと酷いことをされるです!」


その隣では冥土に送られることに恐れ身をこわばらせているメイルちゃんがあたふたしている。


「……いや、違うよ。メイドさんってのは俺らの世界でいう世話係みたいな人のことで、それもメイルちゃんみたいな服を着てる人のことを言うんだよ。」


「……っえ? ということは、流さんはこの世界でのお世話係にこのメイルさんを指名するということですか?」


「まぁ、確かに前からメイドさんがほしいとは思ってたんだけど、お世話係に指名するというよりかはメイルちゃんも俺と一緒においてあげれないだろうかと思って。」


「な、流さん……なんて優しいんですか! ノー、私も流さんに賛成です! うちに人が一人ぐらい増えてもあんまり変わらないでしょう。」


「……はー、仕方ないですね、どうなっても知らないですよ。ということで、今日からお前はこの優しいオンディ姉さまとにいの厚意により内に居候することを許してやるですよ。」


「……あ、ありがとうございますです! 流さん!」


そういいながらメイルちゃんは俺の腕に自分の腕をからませ抱きついてきた。特に俺は何もしてないけどなんて役得な立場なんだろうと思った。


「はいはい、メイルちゃん。嬉しいのはわかったけど流さんに抱きつかないの。それでどうする? メイルちゃん連れてこのまま本屋に行く? それともいったん帰る?」


オンディちゃんが俺の腕に引っ付いたメイルちゃんを引きはがしながら言った。


「んー、本当は本屋さん行きたいですけどなんか人も増えてしまったのでいったん帰りますか。にい、今度本屋に一緒に行ってくれますか?」


「もちろんだよ、俺のわがままのせいでこんなことになったんだし、このお返しはいくらでもするよ。」


「わかりました。ありがとうございます。では、一回戻りましょうか」




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