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 何事もなかったようにそのまま授業を続けようとした瞬間、無情にも鐘が鳴った。平静を装って去ろうとしていたが、机の角で足をぶつけるその姿は滑稽(こっけい)だった。

 シド・カミーナがいなくなった瞬間、爆発したように教室は笑いに包まれた。きっとそれは外にまで響いていたことだろう。

「見たか、あいつの顔!」

「傑作だね! これもナターシャのおかげかな?」

「いやあ、助かった助かった!」

 一人はナターシャの背中を叩いている。誰もがあの男の高い鼻を折れたのが嬉しいのだ。

「きみたち! 笑いすぎだ。これではカミーナ先生がかわいそうだ」

「アレンってまじめだね」

「いっつもネチネチやられてんだから、いいじゃん。なあ?」

 同意を求めるように周りを見る少年に、大半が頷いた。

 ナターシャは笑った。

「なあ、アレン。運も実力のうちってね。今回たまたまぼくがあれ知ってたからよかったんだし。なにより。あいつの態度には誰もが頭にきてたんだ。人間は選民族って意識があるしさ。だからさ、少しは痛い目見ても罰は当たらないんじゃない?」

「……まあ、それは俺も思わなくはないが」

「じゃ、いいじゃん」

 ナターシャは立ち上がり、アレンの肩に腕を回した。そして、アレンにだけ聞こえるように小声で囁いた。

「いい子ちゃんは止めとけば?」

 それはどこか小馬鹿にしている響きがあった。






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