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異世界旅行記 メイクワールド  作者: 芥4653
第1章:そして運命は動き出す
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家族最後の団欒

おやつのお供にどうぞ~(^^)_旦


 神様達が消えた後、誰が言うともなく、俺達はリビングのテーブルに集まって自然と決まった自分達の席に着いた。


 先程とは違う雰囲気だ。


 さっきまではそう言う事を意識しないように、自然と誰もその事には触れなかった。

 最後なのにそんな辛気臭い空気で終わりたく無かったからだ。


 だけど……


「ええと、まずはただいま」

 最初に沈黙を破ったのは親父だった。


「そうね~。ただいま…諌ちゃん、恣意ちゃん」


「お帰り。親父、母さん」


「お帰りなさい。お父さん、お母さん」

 まだ少しぎこちない。

 さっきまでは、いつも通りに会話が出来たのに。

 これが最後だと思ってしまうと、変に意識してしまう。


 くそっ!

 これが最後なんだぞ…!

 

 なのにどこか余所余所よそよそしいなんて……。

 なんで実の家族に遠慮なんかしているんだ。

 

 こんな…こんな最後なんて俺は嫌だぞ!


 会話はさっきよりは多少マシになりはしたが、それでも多少だ。

 あまり状況は変わらない。

 

 そのまま会話は続いていく。


「りょ、旅行は楽しかった?」

 そう聞いた俺も遠慮していた。

 それが無性に悔しかった。


「そ、そうだな。楽しかったぞ!なあ母さん?」


「え!?え、ええ。た、楽しかったわよ~」

 あの天然母さんまでどこか緊張している。若干声が上ずっていた。

 それにしても、母さんがあそこまで取り乱しているのは初めてみるな。


 あのマイペースを字の如く行く人なのに。

 そんな事を考えていると少し落ち着いた。

 さすがは母さん、天然恐るべしだな。

 緊張していても相手の緊張を崩すか。


 さすがだ。


 それは恣意も思ったようで―――――


「……ぷっ、あははは!お母さんが緊張してる~。初めて見たよー」

 笑い出した。


 まあ、確かにな。

 あのド天然が声を上ずらせるとか。

 

 よし、恣意ナイスだ。

 これに乗らない手は無い。

 本人に自覚があるかはどうか別として……


「確かにな。緊張感とは無縁だと思っていたし」


「ちょっと~!?それどう云う意味~!?まるで私が緊張しない人みたいじゃない!私だって緊張くらいします~。ただ単にいつもは緊張する程の事なんか無かっただけです~!」

 頬を膨らませながら抗議の声を上げる母さん。 

 その言い方に俺も何だか可笑しくなって来た。


 まったく、この人は…。


 本当に天然だよな。

 良い意味でも悪い意味でも。

 

 しかも無自覚。


 さすがうちの天然ムードメーカー。

 そこが自慢の母親でもあるが。


「諌、恣意、諦めろ。母さんは昔から普通は人が緊張するような出来事でも、あらあら~。とか言ってあさっりこなす人だったんだ。その後に、あら~?思ったより簡単じゃない。とか言って出来ない人の心を無自覚に抉って行くんだ」


「あなたまで!?もう!心外だわ。ぷんぷん」

 親父が言った光景がありありと浮かぶ。

 母さんは普段ののんびりっぷりからじゃ、考えられないくらい運動神経がいい。


 こないだも引っ手繰り(ひったくり)を、捕まえて町の人達に感謝されたらしいし。


 それに加えて手先も器用だ。本人曰く構造・・理解・・していれば何でも作れるらしい。


 本当に何でも。

 

 本当かどうかは知らないが、(何でも、ハイパーコンピューターのメンテナンスを任されていた事もあるとか……簡単すぎておもしろくなかったわ~。あの程度でハイパーなんて大げさね~。あれなら、お家でのんびりお茶でも飲んでゆっくりしていた方が有意義だったわよ~。とか愚痴を零していたし……最高の処理速度をあの程度って、それはあんただけだ!)色々な愚痴を聞いた。

 本当にやったような感じで言うから本当にやった事あるんじゃないかと思ってしまうんだよ。

 

 …いや、この人は出来るんだろうな。

 まったく勘弁して欲しい。

 この人ならやりかねないとも思う様な行動を小さい時から見ている為何とも複雑だ。


 というか、ぷんぷんって口で言うなよ……。


「「「………」」」


「え!?なにその、本気で言ってんのか?って目は~!みんな酷い!」 

 母さんが拗ねてしまった。

 まあ、この事に関しては弁解の余地なしだ。

 

 そしてふと気が付く。


 今までのどこか余所余所しい感じがいつの間にか嘘のように無くなっていた。


「さっきまでの感じが嘘みたいだね」


「ああ。切っ掛けは母さんの天然かな」


「そうだな。母さんの天然だ。さすがは俺の妻だ」


「それは褒めてるの~!?」


「「「褒めてる褒めてる」」」


「うぅ、なんか素直に喜べないわ~」


 それから俺達は、旅行のお土産(実物は燃えてしまったから向こうの話等――――――)や昔の思い出(恥ずかしかったから秘密)それに今までの出来事を気の済むまで語り合った。


 日常を…これまで当たり前で鬱陶しいとさえ感じた、くだらない毎日を……大事に、ただ、ただ大事に…この最後のひと時をずっと……永遠に覚えていられる様に噛み締めながら…俺―――いや……俺達は――――



 いつも通りに過ごした。







みんな家族は大事にしましょうね。


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