仕事の説明そして乱入者
いよいよお仕事の内容です。しかし――――
「まず、最終確認だけどあなたは異世界のお仕事に行くのを断るのよね?この返答次第で説明の量と内容が変わるわよ?」
まるで答えは分かっている、みたいな顔をしながらそんな質問をしてきた。
「その事だけど、やっぱり行く事にする」
「へえ。どうして?だって、あなたは妹を此処に一人残していくのが心配だったんでしょう?」
その疑問はもっともだ。
「その事に付いてはもう恣意と相談…いや、家族も含めて話し合った。自分のしたい事をやれって怒られたよ」
「そう」
そう言って、セリーヌさん…いやセリーが笑った。
「じゃあ、行くって事ね」
「ああ」
「じゃあ、恣意ちゃんは―――」
「はい。了承しました」
そう恣意が答える。
「あなたも敬語は―――」
「さすがに私まで止めるのはちょっと…」
「そう?…なら仕方ないわね」
そう言ってセリーは直ぐに引き下がる。
あれ?俺と対応が違うんですけど…
差別反対。
そんな内心の文句が通じる訳もなく話は進む。
「じゃあ、詳しい話に入りましょうか」
「お願いしま―――よろしく」
危ねえ、また使う所だった。
「そうそう。ちゃんと普通に喋ってね。それでは、まずは聞いたとは思うけど内のバカ―――神がミスしてとある世界が崩壊の危機にあるわ。あなたにはその後始末を頼みたいの」
セリーがそう言って話し出した。
というかバカって。
確かに神様からしたらバカな事をやったのかもしれないけど。
「他の神様にそんな事言って良いのか?」
「良いのよ。それにあいつに敬意なんて払いたく無いし」
あれ?この感じだと…。
「ひょっとして知り合い?それも割と関係が深いとか」
「大変不本意だけどね」
そう言って、セリーは不機嫌そうに鼻を鳴らす。
この感じは深く聞かない方がいいか。
「それで、その神様がやらかした後始末って具体的にはどういった?」
「ああ、別に救ってくれ―――なんて大層な事は望んじゃいないわよ」
それを聞いて俺は少し安心した。
「じゃあ、何をすれば?」
「何もしなくて良いわよ?」
「…は?」
「ただ、その世界の最後を見届けて欲しいのよ。私達に代わってね」
「いや、そんなの自分達でも―――」
「神様ってね?無闇矢鱈と世界に干渉出来ない決まりがあるのよ」
セリーはそう言った。
そこら辺もアニメや漫画と一緒か。
割とあのフィクションって馬鹿に出来ないんじゃないか?
合致する事柄多いし。
「でも、見る事くらいは出来るだろ?」
「まあ、それはそうなんだけどね。でもそれだけじゃあ意味が無いのよ」
「どういう意味だ?」
「やっぱり、その世界に降り立って見ないとね。つまり、違う視点で見る者も必要って事よ。ただ上から眺めるだけじゃ分からない事ってたくさんあるしね」
「なるほどな」
神様ってのも色々と考えているんだな。
ただ踏ん反り返っているだけだと思っていた。
「じゃあ、ただ見届けて来るだけで良いんだな?」
「ええ。そういう事」
「因みに、いつ滅びるんだ?」
ココ重要!これであなたが死ぬ頃かしら―――なんて言われたらさすがに断るぞ。
「ええと…ちょっと待ってね。……あったあった。大体1年前後かしら」
「そんな直ぐ!?」
短いな!
「そんな直ぐに滅びるもんなのか?」
「ううーん。今回は崩壊速度が何故か異常に速いのよ。普通なら10年位、例え早くても5・6年掛かるものだけど」
「それは確かに異常だな。そんな所に行けと?」
何か嫌な予感がするんだけども。
「大丈夫よ。ただ崩壊が早いだけかも知れないじゃない。何も無いわよ。…多分」
「おい…」
今、多分って言ったぞ。何かあったらどうするんだ。
「とにかく!大丈夫なのよ。うん」
「何を根拠に?」
「カン?」
「おい!」
「何よ。私のカンは意外と馬鹿に出来ないのよ?」
まあ、一応神様のカンだから何か特別な力でも働いているんだろう。
「本当に?」
「本当本当」
「はあ。分かったよ」
「そう。なら決まりね!なら早速―――と言いたいけれど」
「ん?」
どうしたんだ?
「その前に、あなたに何か力を与えないとね」
「おお!」
力、キタ――――――――――!!!!
遂にこの時が来たか!やっぱチートって、こういう時の鉄板、お約束だよね。
なんだろう。
やっぱ特別な道具?
それともパワーが上がっちゃうみたいな能力系?
それとも最近流行りの魔力が常人の領域から逸脱する―――みたいな?
わくわくしながら次の言葉を待つ。
何かな?何かな?
「でも、何が良いのかしら?」
「貰えるんなら何でもいいッス、はい」
おっと、変な言葉がでたな。
セリーが若干引いてる。
隣を見ると恣意も若干引いていた。
なんだよ…。
だって力だよ?男の憧れだよ?仕方無いじゃん。
これだから女は。
ロマンが分からないのかまったく……。
「こほん。じゃあ、一応希望を聞きましょうか」
おっ!何でもいいの?じゃ―――
「じゃ―――」
俺が希望を言おうとした時、そいつは現れた。
「力に迷って居るんなら―――俺が良い場所に連れて行ってやろう」
「な―――」
セリーが驚いている。
いや、俺だって驚いているぞ?だけど神様が驚いているって所が重要だ。
つまり―――これはセリーにとってもイレギュラー。
そう捉える事が出来る。
「なんだ?誰だよあんた」
そいつに聞く。
「俺か?そうだな…色々と名前はあるが、‘須佐之男‘ってのが一番分かりやすいか?」
「すさのお?……須佐之男…だと?」
スサノオってあの?古事記や出雲国風土記等で名前や漢字表記は違うけど、ビックネームだぞ!
「聞いた事くらいあるだろ?」
「まあ」
色々と説はあるがその中でも有名なのは、やっぱり八岐大蛇を倒した事だろう。
何より、性格は粗暴で乱暴。
つまり…危ない。
出来れば遭いたくなかった神様だ。
「スサノオ様。こんな場所に何の御用でしょうか?」
「おう。あの崩壊する世界に行く奴が決まったが、そいつが行くのを断ったってあいつが言うからよ、止めに来たんだが…何か来て見れば行く事が決まっていてよ。無駄足だったかと思って帰ろうとしたんだがな―――どんな奴かくらいは確かめようと思って観察していたんだ」
知りたくなかった。
というか聞いて震えた。
もし、あのまま断っていたら、俺はこの人に止めるという名の――――――考えたくもないな。
良かった!行くって言って本っ当に良かった!
「あいつとは?」
「おう。お前達が―――いや、小僧。お前が最初に会った神様だ」
あの人か。何でそんな大事な事をこんな危険な人に言ってんだよ。
まったく心配して損したな。
「それで良い場所とは?………まさか!」
「おう!セリーヌ分かってんじゃねえか。俺のお気に入りだ」
何か雲行きが怪しくなってきたぞ。
スサノオ様のお気に入りって、絶対普通じゃねえよ!
「まあ、まだこいつに渡す能力決まってねえんだろう?」
「それはそうですが―――」
「なら決まりだな!」
セリーヌさんが何か言おうとしたのを遮ってスサノオ様が勝手に決める。
ちょっと待てや。
俺が決めて良いんじゃないの?
「小僧もそれで良いだろう?」
まるで断られる事を想像もしていないその物言いに、
「あ、はい」
反射的に頷いてしまった。
「諌君本気なの!?」
セリーが心配してそう言うも、もう既に遅かった。
「本人も言ったんだ。男に二言はない。そうだろう?」
スサノオ様が笑顔でそう確認してくる。
正し目は笑っていない。
どうしよう。もう断れないぞ。
それにこの空気の中、断る勇気なんて俺には無い。
「そう…ですね。男に…二言は…ないです」
きっと、今の俺は酷い顔をしているだろう。
声も少し震えている。
「よし!良く言った。では、行くとしようか」
そう言ったスサノオ様は指をパチンと鳴らす。その動作流行ってんの?
それに行くってどこへ?
あれ?
今って力が貰える場面だよね?なのに行くって、……え?
気が付いたら俺は広大な自然が広がる大空の上にスサノオ様と立っていた。
遂に力が貰えるかと思いきや、新たな神様参戦。
これで取り敢えず1章は終了です。
次回、番外挟んでから新章スタートです!
長々とした日常パートに遂に終止符が!日常ってカットしがちですが、自分はそういう所をきちんとやりたい派です。
これからも下らない所をやりたいと思っています。
それでも良いよと温かく見守って下されば幸いです。
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