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フユ、ハル。  作者: 冬歌
4/5

散歩してみませんか。

春side


朝食を食べ終わり、のんびり過ごすのもなんだから、

久しぶりに冬と散歩行こうかなと思い、今は暖かい日の下でゆっくり歩いています。


でも、理由はそれだけではなくて...。


「ねえ冬。」

「ん?」

「もしも、だよ。もしも、お母さんからの遺書があったらどうする?」


冬は、着々と目的の無い所へ、と進んでいた足を止めました。

そう。このことを話すために、誘ったのもありますね。


しばしの沈黙の中。

「......僕はどうでもいい。春は気になるだろうけど、もういいんだ。」


...だよね。亡くなった人の事なんて...はは...

「うん。ごめんね、何言ってんだろ私...」

薄く笑みを浮かべ、また歩き出した。

「でも、その遺書が本当にあるのならば、読んだ方がいいと思うよ。」


私が歩き出してもなお、ずっと立ち止まっていた冬は、こんな言葉を言ってくれました。

「...っ」

「あるんだろ?無理しないでいいよ。」

----------------


久しぶりに、祖母から電話がかかってきた。

せっかくなので部屋を借りてくれたお礼を言わなくては。

「あのねおばあちゃんっ「貴方たちのお母さんの遺書があったのよ」」


「えっ...?」

さすがにあの言葉には頭が真っ白になりました。

「ちょっとね、葬儀の方が渡してくださって...。

読むのは貴方たちじゃないとって思って、まだ封も

こんな状況で内容を伝えるのもあれだし、今度、冬君と一緒に、こっちに来てみないかしら?もちろん、冬君が了承したらでいいわよ。」


「そ、うなんだ...。」

何で今さらでてきたの?どんな事書かれてるの...?

私への暴力に謝罪?綺麗事並べてるだけ?

「また、相談したら連絡するね。あと、この部屋借りてくれてありがと」

「無理しないでね?部屋なんて、貴方たちの事考えたら当然の事よ。」


...私たちのことを考えれば当然の事......


そんなこと言われたの初めてだな...。

今まで、色んな友達に出会ってきた。

でも、誰にも私のことを考えればなんて言ってくれなかった。

大きくて、優しくて、身近な見方が出来た気がしましたね。


----------------

「おばあちゃん家...行ってみない?」

俯いてしまった冬...。

やっぱり、ダメだよね。今さら...。

「行こう。現実見なきゃ、変わらないよ?」

「...いいの?」「うん。ずっとため込んでたら、それこそ疲れるよ。」

そういうと、ニッコリと微笑んでくれました。

...なんでそんなに優しいの。なんでそんなに笑ってくれるの。


「春.........?」

なんでだろう。なんでだろう...。

ボロボロと、拭いきれないほどの涙が出てくる。

「っ...ごめんね...いっつも冬に迷惑かけて...」



in家

私ったら、外で泣いてしまいましたよ...

冬に迷惑かけただろうな...。


「ねえ春。明日...夕方ごろ、いこうか...?」

優しく声をかけてくれる...。

私はその”質問”に、ただひたすら頷くことしかできなかった。

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