プロローグ3
「ソリウス!」
飛びついてくるマノリをとっさに優しく抱き止めると、ソリウスは笑みを浮かべた。マノリはしばし無言で抱きつくと、笑顔を見せながら顔を上へと向ける。
泣いていたのか頬には涙が伝った跡が残っていた。
「ただいま戻りました」
「ぅん……うん! おかえりソリウス!」
ソリウス達が戻ってきたことに安心したマノリは再び涙を流す。その姿に慌てた様子を見せるソリウスに、男の声が掛かる。
「よくやってくれた」
領主が笑顔を向けながら2人へと歩み寄り、騎士たちを労う。それに騎士たちは一斉に片膝をつこうとするが、領主は片手を上げ制し、ソリウスに報告を促した。
「はっ! 侵攻してきた魔物を討伐し帰還いたしました」
「あぁ、ご苦労だった。それで、その魔物とは?」
「ハイ・オーガです」
「ハイ・オーガ……だと?」
ソリウスから魔物の名を聞いた領主は、目を見開き驚愕の表情をする。周りの者達も一様にざわめき立つが、マノリだけはきょとんとした表情している。
「お父様、ハイ・オーガとは凶悪な魔物なのですか?」
首を傾げながら問いかける。
「あ、あぁ。常識的に考えれば、騎士が6人で討伐に成功するようなレベルの魔物ではない」
驚きに声を詰まらせながらも、娘の問いかけに答える。
魔物の討伐難易度は大きく下級・中級・上級・最上級の4段階に分けられている。
通常、一般人が目にするような魔物は下級魔物だ。数が多く、餌とするために人里まで現れ人間を襲うことで繁殖を繰り返している。魔物の中では弱いとされる部類に入るが、下級魔物を1体を安全に討伐するにはCランクの冒険者が3人は必要になる。力自慢の若者が武器を片手に討伐出来るなどということは、万が一にもありえない。それほど【魔物】という生物は危険であり、恐怖の象徴だ。
その下級魔物を“餌”とする中級魔物に分類されるハイ・オーガは、一般的な討伐方法としてBランクの冒険者パーティー4~6人が、3チーム程で合同を組み、数日かけ徐々に弱らせ討伐する。それでも、無傷とはいかず、重症の者が何人か出る程度で済めばよいが、最悪死者が出ることもある。
例にあげた冒険者は、Bランクであれば下級魔物を1人だけで討伐出来る実力を有している。そんな実力者が束になってかかって、ようやく倒せるのが中級魔物だ。一般人が遭遇すれば息を潜めて見つからないことを祈りながら隠れるか、不運を呪いながら死を待つ他無いだろう。しかし、特殊な環境に身を置いていなければ、中級魔物などおいそれと目撃する魔物ではない。人生で一度もその姿を目にすることなく、死を迎える者がほとんどだ。
そう父から説明を受けたマノリは戸惑った表情でソリウスたちを見る。
「えっ? ですが、ソリウスたちは…」
「そうだな。我が騎士ながら心強くもあるが、化け物かと疑いたくなる」
「お父様!!」
「い、いや、違うのだマノリ! ソリウス達を蔑んだわけではない、言葉の綾というものでだな……」
「知りません!」
マノリは父の言葉に耳を貸さずそっぽを向く。冗談から出た言葉だったのだが娘に本気と取られてしまい、しどろもどろしつつ宥める領主の姿に周りから小さく笑いが起こった。
暖かい雰囲気にソリウスも笑みを浮かべているが、勇敢にも散っていった仲間の死を伝えるため、その表情が苦いものへと変わった。
「しかし、騎士が2名殉職しました」
「……そうか」
「私の力不足です。申し訳ありません」
そう言うと、自身の非力さに顔を伏せ、唇を噛み締めながら拳を握る。ソリウスの言葉に皆言葉を失い俯き、その中でもマノリは身近な者の死を聞くと大きく顔を崩し、再び瞳から大粒の涙を流した。
一転して重苦しい雰囲気漂うが、領主がマノリの頭をひとつ優しく撫でると顔を上げた。
「我らを護るため勇敢にも命を散らした勇者たちに敬意を称し、このヴォルガ・コール・サルディニアの名において、丁重に亡骸を葬ることを誓おう」
「ははっ!」
感謝の声を上げるソリウスの肩に手を置くと、ヴォルガはと大きく頷いた。
「本当によくやってくれたな。すぐに怪我の治療をしろ、立っているのもつらいのであろう?」
「はい……応急処置は済ませてありますが、しばらくは満足に動けそうにありません」
「あぁ、ゆっくりと身体を休めて英気を養ってくれ」
「ありがとうございます」
そう言うと、緊張が解けたのかソリウスの身体が大きく揺れる。
「ソリウス!!」
マノリが驚きの声を上げ駆け寄ってくるが、とっさにヴォルガがソリウスの身体を支える。
「すぐに医務室へ!」
「かしこまりました!」
ヴォルガの声にすぐさま兵士たちがソリウスを医務室へと運ばれ、それを皆が心配そうな表情で見送っていた。ヴォルガはソリウスを見送るとエリスへと顔を向ける。
「エリス、お前も行ってやれ」
「ですが……」
「構わん、行け!」
「はいっ! ありがとうございます!」
躊躇いのため動けずにいたが、命ずるように再度言葉をかけられると一礼し、医務室へ向かって走っていく。エリスが屋敷へ姿を消すのを確認すると、ヴォルガは手を一つ大きく叩き声を張る。
「我らが騎士のために祝勝会を開こうではないか!!」
「名案ですわ、お父様! 私が無事にお屋敷に戻ることが出来たのも、エリスや騎士、お屋敷の方々のおかげです!」
「その通りだ。不幸を引き連れてきたガウドには、詫びも含め低価で物資を提供してもらおう」
「そ、そんな……」
ヴォルガが意地悪く言うと、ガウドは肩を落とす。その姿に周りの者達はくすくすと笑い声を上げた。
「心配せずともよい。食料をあるだけ買い取らせてもらう、大量に購入するのだ多少は値引け」
「はい、命あってこその商売です。騎士様のため勉強させて頂きます」
「ありがとう! ガウドさん!」
「と、とんでもございません! ハハハッ!」
マノリに笑顔でお礼を言われるとだらしない顔をさせ笑い、そそくさと馬車へ向かって行こうとするが、ヴォルガがそれを止める。
「少し聞きたいことがある。荷物を運び終えたら執務室へ来てくれ」
「は、はい! かしこまりました!」
「皆はパーティーの準備を始めてくれ」
そう言うと、マノリを連れ立って屋敷へと向かって行く。ヴォルガの指示に皆もパーティーに向け慌ただしく動き始めた。
※
運び込まれたソリウスは、治療を終えベットに横たわっている。その側にはエリスが椅子に座り寄り添っていた。
医務室には2人しか居らず、しばし無言で過ごしていたが、小さくエリスが話しかける。
「無茶するわね」
どこかほっとした表情で、呆れを含ませた声色だ。
「それはお互い様だ。お嬢様を抱えたまま魔物から逃げたのだろう?」
ムッとした表情でソリウスが返した言葉に、エリスはバツの悪そうな顔で俯く。
「そうだけれど…、あの時は無我夢中だったから」
「俺も同じだ。お嬢様の泣きそうな顔を見て、少し頭に血が上ってしまった」
冷静さを欠いてしまった事を後悔しているのか、ソリウスの顔には陰が差している。
「あら、私のことはどうでも良かったのかしら?」
「……お嬢様と張り合ってどうする」
拗ねた表情で口にした言葉に、呆れたのか顔をしかめるソリウスを見て、エリスは吹き出し小さく笑った。
「ふふ、いじわるを言ったわ」
「勘弁してくれ」
「ごめんなさい。それで身体はどうなの?」
「あぁ、治癒魔法でだいぶ楽になった。戦闘はまだ無理そうだがな」
「当たり前よ、無茶はやめなさい」
「そうも言ってられん。少し気になることがある」
「え?」
「ハイ・オーガだ」
「確かに…、こんな場所に出現する魔物ではないわね」
「商人がどういう経緯で連れてきたのか知らんが、王都からこの屋敷までの道のりで今までは確認されたことがない」
「そうね。でも、そのことには旦那様も気付いているはず。今はしっかり身体を癒しなさい」
「その通りだな。こういうことはヴォルガ様に任せるとしよう。俺はただ騎士としての役目を果たすだけだ」
そう言うと目を閉じる。疲れが溜まっていたのか、すぐに寝息を立てはじめたソリウスをエリスは愛おしげに見つめ、静かに側に寄り添い続けた。
※
ヴォルガはマノリを自室まで連れて行くと、パーティーまで休んでいるように伝え、執務室に戻り静かに座ってガウドを待っていた。
「ガウドです!」
「入れ」
「はいっ!」
ガウドが緊張した面持ちで扉を開き入ってくる。少し怯えた表情にヴォルガは苦笑いをし、前の椅子へ座るよう促す。
「失礼致します!」
「そう緊張するな。なにも取って食おうと言うわけではない」
「も、申し訳ありません…」
「あぁ。本題に入ろう、ハイ・オーガのことだ。なぜ追われていた?」
「はい、突然後ろから現れたのです」
「突然?」
「はい、王都からここより南西に広がっております草原に入ったところでした。急に馬が怯えだし、周りを見渡すと少し離れたところにハイ・オーガの姿があったのです」
「どこかから出てきたのではないのか?」
「草原の東にある森から出てきたにしても、あの魔物の移動速度を考えるとあれほど接近されるまで気付かないはずがないのですが……」
「ふむ。それにあの森でハイ・オーガのような凶悪な魔物が生息しているなど聞かぬ」
「ええ、何度も王都とこのお屋敷までを行き来しておりますが、見たとしてもウルフビットのような下級魔物です。騎士様から個体名を聞くまでは、あれがハイ・オーガだと知りもしませんでした」
「確かにな……。ハイ・オーガなどそうそう目にする魔物ではない。私が知っているのもゴルディシア山での目撃情報だけだ」
「ゴルディシア山など…! 恐ろしくて寄り付こうとすら思いません」
「だろうな。わかった、時間を取らせたな」
「滅相もございません!」
「そうか。ガウドも今夜のパーティーを楽しんでいってくれ」
「ありがとうございます!」
席を立ち上がり退出するガウドを見届けると、ヴォルガは大きくため息をつき考え込むように独り言を呟く。
「一度王都へ出て陛下と話をせねば。近々、闘技大会もあることだしな」
※
「どうぞ」
「失礼致します」
マノリは自室の扉を叩く音に言葉を返すと、エリスが姿を見せる。
「エリス! ソリウスは大丈夫なの?」
「はい。怪我の治療も終わり、ぐっすりと眠っています」
「よかった……。でも驚いたわ、ソリウス達はとても強い騎士だったのね」
「ふふ、強くなければ騎士は務まりませんよ」
「からかわないで! あのハイ・オーガという魔物は恐ろしのでしょう?」
「申し訳ありません。左様です、普通の騎士ならばとても太刀打ち出来ないでしょう」
「そう……。屋敷の騎士たちには感謝しないとけないわね」
「そう仰って頂けるだけで、騎士たちも喜びます」
「そうなら嬉しいわ。それに、エリスも! 私を守ってくれてありがとう!」
「滅相もございません。お嬢様がご無事でなによりです。そろそろパーティーの準備が整います、大広間へ向かいましょう」
「うん!」
マノリは待っていましたと自室を出ていく。それに付き従いエリスも後を追った。
※
大広間では幾つものテーブルが並び、その上には色とりどりの料理が置かれ、食欲をそそられる香りを立てている。ヴォルガが壇上に進むのを皆静かに見つめ、グラスを手に取ると言葉を待つ。
「騎士たちの活躍と我らの無事を祝して、乾杯!」
ヴォルガはグラスを軽く上げると、皆それに倣うかのようにグラスを持ち上げる。それぞれが思い思いの料理に手を伸ばす中、マノリはゆっくりとした足取りで騎士たちがテーブルを囲む場所まで進んでいく。
マノリが近づいてくる事に気づいた騎士たちは、姿勢を正しマノリへと視線を集める。
「今日はありがとうございました」
ゆっくりと騎士たちの顔を見回したマノリは、感謝の言葉を伝え大きく頭を下げる。
「お、お嬢様! 恐縮です!」
頭を下げられた事に動揺した様子の騎士たちを見て、マノリはくすりと笑うと、持ってきたワインを掲げる。それを見た騎士たちはグラスを手に持ち、腰を深く曲げ緊張した面持ちでグラスを差し出した。
差し出されているグラスにワインを注ぎながら、一人ひとりに感謝や労いの言葉をかけ笑顔で対応する。そして、全員に注ぎ終わると一礼をし、ゆっくりとその場を去った。
慌てて深くお辞儀をし見送った後、ワインを一口煽り料理に手を伸ばす騎士たちの顔は、少し嬉しさの混じった誇らしげな表情であった。
そんな娘の姿にヴォルガは微笑み、1人食事を楽しんでいるとエリスが寄ってくる。
「旦那様、少々お話が」
「どうした?」
「お嬢様のことなのですが……」
「マノリの?」
「はい。今回のこともあります、専属の護衛を雇ってはいかがかと」
「なるほどな……、確かに気になることもある。念には念を入れて、そういったことも考慮しなければならないか」
そう考えを巡らせるヴォルガは、思い付いたように大きく頷いた。
「近々、闘技大会があるであろう?」
「はい、ソリウスは無理でしょうが…」
「あぁ、前回は準優勝だったな」
「左様です。とても悔しがっておりました」
「うむ。だが、相手が相手だ」
「確かにその通りでございます」
「それは置いておくとして、護衛のことだ。闘技大会で活躍した者を雇い入れようと考えている」
「なるほど…! 確かにそれですと、実力的には申し分ありません」
「あぁ、何人か選別し、人柄にも問題がなければ1人マノリの護衛につける」
「かしこまりました。お嬢様も闘技大会には?」
「連れて行く。マノリにも直接会わせ意見を聞きたいからな」
「初めての王都ではしゃぎ過ぎなければよいのですが……」
「はっはっ、確かにな。何度も行きたいとせがまれた」
そう笑いながら顔をマノリの方へと向けると、ガウドのグラスにワインを注いでいる姿が映る。
グラスを持つ手が震えるほど緊張しているガウドを見て、マノリはおかしそうに口に手を当て笑顔を浮かべていた。
※
少量の光しか灯らない部屋の中で男が座っている。
漆黒色に染まる黒髪が顔を覆う程度の長さで無造作に切られており、瞳も髪と同様に底見えぬ黒色に染まっていた。整った顔つきには冷酷な印象を受けさせるが、どこか目を惹く魅力を持っており、適度に筋肉のついた細身の身体を豪華な椅子に預けている。右肘だけを肘掛けにつけ、拳を右頬を当て頭を支えた状態で座っていた。前方には男の頭と同じ大きさの水晶が置かれてあり、そこには屋敷で開催されているパーティーの様子が写し出され、眺めるようにその光景を瞳に映していた。
「呑気なものだな」
写し出される者全てが笑顔を見せていることに、若干の不機嫌さを込めた言葉を呟く。
「ご主人様!」
水晶が置かれている机の側の空間が歪むと、紅髪の少女が現れ嬉々とした声を上げながら飛びつこうしてくる。
それに軽く左手を上げると、眉をハの字にして残念そうな表情で肩を落した。毎回静止されるにも関わらず、何故か飛びつこうとしてくる少女のうなだれている姿に、少々罪悪感を感じ労いの言葉をかけようと声を出した。
「ご苦労だったな、リータ」
「は、はい! お役に立てて嬉しいです!」
「あぁ、頼りにしている」
「ご主人様!!」
歓喜したリータがまたも飛びつこうとするが、思い出したように動きを止めると満面の笑みで応えた。それに表情を和らげ笑顔を返すと、リータは照れた様子で頬を赤く染める。恥ずかしそうに身を揺らしながら水晶を指さした。
「な、何を見ていたんですか?」
「ん? あぁ、これか。リータが実験へ行った人間共の屋敷だ。なんでも、ハイ・オーガを討伐した祝いらしい」
「え…? そんな事を祝ってるんですか?」
不思議そうな表情で問いかけてくるリータに、同調するように頷く。
「あぁ、どうもハイ・オーガは人間共にとって恐怖の対象のようだ」
「えっ…? だって、ハイ・オーガですよ? その屋敷の人間たちが弱いだけなんじゃ…?」
「私もそう考えていたが、ハイ・オーガにとどめを刺した騎士は人間の中でも強者に分類されているようだぞ?」
「あの騎士がですか? う~ん……確かに他の騎士より強くはありましたけど」
「まぁ、いずれにせよ良い情報が手に入った。近々サナトリア王国の王都で闘技大会が開かれるらしい」
「さすがご主人様! ……それで、その闘技大会がどうしたんですか?」
「私も出場しようと考えている」
「……へっ?」
目を零れ落ちそうなほど見開き、間の抜けた声を出すリータは数秒停止すると、慌てたように言葉を詰まらせながら声を上げる。
「ごごご、ご主人様が闘技大会に出場されるんですか?!」
「そのつもりだ。ようやく魔剣も完成した、これを機に少し行動を起こそうと思ってな」
立ち上がり右手を突き出すと大剣が現れ、それを握る。片手だけでは振り回すことが困難な大きさをしているが、自身の一部かのように手に馴染む。
魔剣は全体が黒く輝き、刃の部分は剣先から柄頭までの中央を、線で引いたかのように朱色に染め淡い光を放っていた。リータはそれを黙ったまま見つめるが、なにかに気付いたのか首を傾げた。
「以前見せていただいた時よりも力を感じないですね?」
「だろうな。魔剣には3段階に分け、制限を掛けてある。全部で4形態まであるが、今は第1形態だからな……、こんなものだ」
「なるほど! 制限ですか! そういえば、その剣に名前とかあるんですか?」
「たしか【ヴォルエイン】だったな」
「たしか? ご主人様が名付けたんじゃないんですか?」
「あぁ、元々は少し因縁のある剣でだな。それを元に私が造り変えた。それより、リータに頼みがある」
「はい! ご主人様のご命令とあればなんなりと!!」
「先にも言ったが、私も行動に出る。人間共の情報は私が集めよう。そこで、リータにはタユノリス皇国で情報収集をして欲しい」
「皇国でですか? エルフ族中心の?」
「そうだ。リータ以外の2人にもそれぞれ別の場所で行動させている。今は一つでも多くの情報が欲しい、主に戦力的な部分でな。期待しているぞ」
「は、はい! 期待にお応え出来るよう全力を尽くします!」
「あぁ、頼んだ」
「はい!!」
元気な返事をすると、空間が歪みリータが姿を消す。それを見送ると魔剣を背に掛ける。
「さて、少々癪だが、私も上手くやるとしよう」
顔を水晶へと向け視線を配らせる。そこには楽しそうに笑うマノリの姿が写っていた。
やっと主人公を出せたので、これからは主人公視点が中心になります。
主人公が本格的に動き出すまではプロローグにしたかったのですが、上手くいかないものですね……