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三国同盟3

「ここまでは順調ね」


 ティーカップに口を付けながら、エトゥカンナが小さく呟く。

 順調と言う言葉を使ったわりには、表情からは些かも喜びを感じ取れない。まるで、そうあることが当然だと言った様子だ。


「はい。あとは決戦の日まで、十分に力を付けていただくだけです」


 側に控えていたトイノは、そんな小さな呟きも聞き逃すことなく応える。

 エトゥカンナとは対照的に、にこやかな笑みをその顔に映していた。


「そうね。けれど……どれほど役立ってくれるのかしら?」


 返された言葉に耳を傾けながら口に含ませた紅茶を嚥下すると、言いながらトイノに視線を向ける。


 トイノは自信のある様子だが、エトゥカンナは手駒としている3種族の必要性をどうしても感じられなかった。

 龍族を他の種族と孤立させる事は、後の憂いを断つ為に必要だろう。もし、大陸に居る全種族が教会の敵にまわれば、それはそれでやりにくくなる。恐れているのはパシクルゥの力だけであり、彼女を相手にするとなれば他の干渉が一切無い状況であることが望ましい。

 それほど念を入れて挑まなければ、足を掬われてしまう強敵だ。出来れば、トイノに戦闘中は常に側でサポートをして貰いたい。1対1でも負けることは無いだろうが、それでも苦戦を強いられる。一歩間違えばこちらも重症を負い、しばらく動けない状態になってしまうだろう。

 その為、敵が多くなれば対処に追われ、そういった状況が作りにくくなる。だからこそ、龍族を孤立させ、教会の戦力だけでも確実にパシクルゥを仕留める事のできる状態に持っていきたかった。


 だが、戦争を起こさせる必要はあっただろうか。

 確かに、パシクルゥに纏わり付くであろう龍人を相手にしてくれるのなら助かる。パシクルゥの助力に龍人達がまわって来なければ、勝率も違ってくる筈だ。

 しかし、その役割は教会の所有戦力だけで事足りる。

 教会の持つ兵士達に龍人の相手をしてもらい、エトゥカンナとトイノでパシクルゥを叩く。その構図であっても、何ら問題はない。



「エトゥカンナ様が疑問に感じておられる通り、ほぼ役に立つということは無いでしょう」


 エトゥカンナの心中を察しているかの如く、トイノはそう口にした。


「なら、どうして?」


 トイノも自分と同じ考えを持っているのにも関わらず、何故戦争を起こそうとしているのか。

 そう疑問を抱くエトゥカンナは、不思議そうに首を傾げる。


「申し上げました通り、“ほぼ”だからです」


「“ほぼ”?」


「はい。役に立ちそうな者が、3人おります」


「……本当に?」


 大きな瞳を更に大きく見開いて、エトゥカンナはトイノ見つめる。


 それぞれの種族の軍隊を合わせても、1万程度だろう。人間は人口の多さから、多くの騎士や兵士を保有している。だが、戦争に全ての戦力を出兵させる訳ではないので、出兵させたとしても8千程。エルフと獣人は人口が少ない為、それぞれ千程度。総勢で1万を超える軍勢になる筈だ。

 そして、龍族は人口が少ない。数だけで考えれば連合軍が1万なのに対して、龍族は百なのだから十分過ぎる戦力だ。それに、教会の所有する騎士団も加わる。


 だが、圧倒的な力の違いによって、その連合軍は壊滅する。

 エトゥカンナとトイノは、そう考えていた。

 1万程度の数では、龍族を滅ぼすことは出来ない。パシクルゥを、エトゥカンナとトイノが相手をするといっても、それは変わらない。

 なので、連合軍は謂わば囮である。エトゥカンナとトイノで、パシクルゥを仕留める間、龍人達を足止めしてくれれば良い。ただ、それだけの価値しかなかった。



 しかし、その中でトイノが役に立つと判断した者が、3人いる。

 万の中に、3人だ。はっきり言って少なすぎるだろう。だが、エトゥカンナは驚きを露わにしている。

 それは、少なすぎるという驚きではなく、“多すぎる”為の驚きだ。


「はい。獣人族のラウオ・クリグスとエナ・クリグス、エルフ族のミュラー・マーグレットという者の3人です」


「たしか……、上級魔物をひとりで討ち取る事の出来る者達だったわね?」


「その通りにございます」


 記憶を探るように言ったエトゥカンナの言葉に、恭しく頭を下げながらトイノは肯定を示した。


 トイノが調べ上げた、各国の実力者達。その中でも飛び抜けた能力を持つ者達を、エトゥカンナにあらかじめ報告してある。警戒する程の能力を持つ訳ではないが、それでもこの大陸の中では頭ひとつ抜けた力の持ち主だ。獣人のラウオとエナ、エルフのミュラーは先日行われた三国協議に護衛として同席していた。他の3人のガドウィン・リータ・ジェシカもそれなりの力を持っているが、この3人を前にすると見劣りしてしまう。


「でも、驚いたわ。この大陸にいる者も捨てたものではないようね」


「左様ですね。半年後の闘技大会に出場しますので、エトゥカンナ様も一度ご覧になられてはいかがですか?」


「そうね。考えてみるわ」


 そう返したエトゥカンナは、少し愉しそうな笑みを浮かべた。

 それに、トイノは大きく頷き返す。少しでも主人の興味を引けたことに喜びを感じているのか、皺の目立つ顔を大きく綻ばせていた。











 各国合同の闘技大会を1ヶ月後に控え、王国内は慌ただしい様相を呈していた。

 少数とはいえ、国の王都に他種族がやってくる。噂に聞く程度で、一般人では目にする機会などまるでなかった同じ大陸に住む、自分達とは姿形の異なる種族。その事に動揺を見せる民も少なくない。安全には最大の配慮を図ると国からの呼びかけがあるが、民の不安を完全に取り除くことは難しかった。

 しかし、前代未聞の試みである今大会に民たちは大きく興味を引かれていた。人間・エルフ・獣人の強者達が集まり、互いの力をぶつけ合う。それは謂わば、3種族の中でどの種族が1番優れているのかを競う大会であるとも取れる。恐ろしい力を持つエルフと獣人に、我々の人間代表である者達が、どこまで通用するのか。そもそも戦いになるのか。など、話題として持ちきりである。そして、少しずつではあるが、期待を寄せる声も上がってきている。もしかすれば、人間が優勝してしまうかもしれない。そうなれば、人間が最も優れた種族であると証明できる。

 そんな期待を民たちは心の何処かで持っており、今回の大会に出場する人間族代表である者達に向けていた。


 今回の大会に人間族から出場するのは、ガドウィンとリータ。クラウディスが行方知れずとなっている今、人間の中で最も強いふたり。

 そのふたりは上級魔物をも退ける力を持っており、間違いなく人間の中では飛び抜けた存在である。Aランクの冒険者や王国騎士団の団長よりも、更に強く。王国の勇者であるクラウディスと肩を並べる者達。その力に畏怖を感じさせるが、今の状況では頼もしい事この上ない。


 そんなふたりに、王国中の視線が集まっている。


 だが、当の本人たちは迷惑極まりなかった――




「いよいよ、あと1ヶ月ね」


 目の前に座るマノリが、何度となく話題に出してきた闘技大会までの期間を口にする。


「そうだな」


 やや投げやりだが、散々話題としてきたのだ、こんな答えになってしまっても仕方がないだろう。


「期待してるからね、ガドウィン!」


「……好きにしろ」

 

「はい、好きにさせてもらいます! ワクワク! ドキドキ!」


 ニコニコとした笑顔で擬音を口に出しながら、こちらを見つめてくるマノリから顔を背けて深い溜息を漏らす。


 どういう訳か、マノリは闘技大会というものが好きらしい。

 血を見るだけで青褪めてしまうような印象を抱かせる容姿とは裏腹に、血気盛んな事だ。本人曰く、武の達人たちが己の力を競い合う大会という事で、剣を嗜む端くれとして当然の心理らしいが、貴族のご令嬢としては似つかわしくない姿に映る。だが、そう言うと「偏見です!」と叱られるので、口には出さない。

 どちらかと言えば、シンリアスの方がそういった事があまり得意ではないようだ。リータの話では、未だに魔物達の死体に慣れることがなく、マノリのように魔物を討伐する光景を眺めるなどといった事はしないらしい。最初の頃に、魔物に襲われそれを退治したのを馬車から降ろして確認させたところ、夥しい血を流して絶命する魔物の姿を見て悲鳴を上げてその場で倒れ込んだそうだ。

 その事を未だにネタにされ続けており、リータが面白おかしく話してくれた。その横で、シンリアスは顔を真っ赤に染めて俯いていたので、事実なのだろう。

 さすがにそこまで怯えられるのも困るが、マノリのように絶命する魔物に近寄って観察するよりは幾分かマシに思える。ウルフ・ビットに恐る恐る近づいて、むき出しになる牙をしげしげと眺めたり、ハイ・オーガの自分の身長ほどある腕を見て「これで殴られたら、ひとたまりもありませんね」と、冷静な感想を漏らす姿に、開いた口が塞がらなかった。ハイ・オーガに至っては、命を狙われた経験を持っているはずなのだが、マノリの心臓は鋼で出来ているらしい。



「お姉様と応援するから、頑張ってね!」


「ああ……、誰が相手であろうと負けるつもりはない」


「ふふっ、頼もしいわね。……そうだ、リータさんと鍛錬を積んでおかないの? 約束をしたって言ってたよね?」


 首を傾げながらマノリがそう聞いてくる。


「ふむ……」


 闘技大会を1ヶ月後に控えている為、マノリ同様シンリアスも遠征を必要とする公務の予定は無いらしい。最初の三国協議を皮切りに、1ヶ月程度の頻度で協議の場が設けられたが、滞ることなく着々と話が纏まっている。合同で実施される軍の訓練や技術交換といった件に標準が当てられていたが、その話も折り合いが付いている。


 三国合同での訓練は、戦場に予定されている高原で既に実施されており、技術交換の面では選ばれた者達がエルフから魔法を伝授されている。選ばれた者達というのは、エルフから素質ありと判断された者達だ。元々、王国側で魔導部隊として編成を予定していた者達に伝授してもらう手筈となっていたのだが、その中で適正を持たない人間が半分を占めてしまった。魔力は持っているのだが、1年という短い期間で魔法を行使できる様になるには素質が足りないらしく、戦争までに間に合わない。そういった理由で弾かれた者は一般兵として組み込む事になった。しかし、半分以下となってしまった魔導部隊の人員を確保する必要がでてしまったので、急遽一般兵として起用するつもりであった者達から素質のある者を選別する事になった。

 王国側は期待していない様子だったが、予想外に素質ありと判断された者達が多く存在した。当初予定していた魔導部隊の人員の2倍の数が、一般兵の中から適性があると選び出されたのだ。

 これには王国側も驚愕を隠しきれなかった。ただの一般兵の中に魔法の素質も持った人間が、こんなにも埋もれていたのかと動揺を見せ、選ばれた一般兵達も『何故、自分が?』と言った戸惑った表情を浮かべていた。



 そして、最大の事件は治癒部隊を編成する際に起こった。治癒魔法を行使できる者達だけを集めたその部隊の中から、“魔法の素質がない”と判断された者が出たのだ。


 これには、王国側も不快感を示した。いくらなんでも、それはありえない。現に治癒魔法を使える者達だけを揃えた部隊なのだ。その中に、魔法の素質がない人間など居よう筈もない。

 そう反論する王国側に、エルフはやや躊躇った様子で答えた。


 ――人間たちが使っている治癒魔法は、魔法ではない――


 そもそも無属性の治癒魔法などなく、治癒魔法は水属性である【ヒール】系統になる。教会で伝授している治癒の技能は魔法ではなく、気功。その者の活力を代価に、治癒魔法と同等の治療を施せる。謂わば、教会が独自に生み出した新しい技能である、と。


 その答えに、王国側は言葉を失う。今になるまで、治癒魔法だと思い込んでいた能力が魔法ではなく気功であるなどと言われては仕方がないだろう。しかし、エルフの言葉を信じ切れない様子の者達が更に詰め寄ると、実際の治癒魔法である【ヒール】を見せると言って、エルフはナイフで自分の腕に傷をつける。勢い余ったのか、血が吹き出す程の深い傷に周りの者が慌てふためくが、そんな事を気にした様子のないエルフは静かに【ヒール】を唱える。すると、みるみる傷が塞がっていき、切った痕さえ残さず一瞬のうちに傷口が塞がった。

 それは、人間たちが見慣れた治癒魔法の光景ではなかった。人間たちが使用している治癒魔法は、徐々に傷口が塞がっていく。かすり傷程度であれば今のような速度で傷口が塞がるだろうが、深い傷となればそうはいかない。どんなに熟練した使い手であろうと、徐々に徐々にといった速度で傷口が塞がっていく。運が悪ければ、治療している間に失血多量により命を落としてしまうといった実例が、少なからず起こる程だ。

 それが、エルフが見せた治癒魔法はどうだ。血が吹き出すほどの切り傷でありながら、ものの数秒で塞がってしまった。自分達が行使する治癒魔法では、まず見られない光景だ。

 その現実に、王国側はまたも言葉を失う。教会に自分達が教えられてきたのは、魔法ではなかった。気功と言う独自の技能らしいが、そんな事はどうでもいい。重要なのは、教会が今まで偽りの魔法を人間たちに広めていた事が問題だ。治癒魔法と謳いながら、その実態は全く別物。その事に、王国側の教会への不信感はいっそうに高まった。

 だが、偽りの魔法であったとしても、魔法を行使する術を知らない人間たちにとってその技能が優れたものであった事は間違いない。気功と言う技能なのだそうだが、魔法を行使できる者が極限られた人数しか居ない人間の中で、それは間違いなく魔法であった。その事が分からないわけではない。

 しかしならば何故、最初からそう教えなかったのか。

 魔法とは異なる気功という独自の技能を広める。それで、何か問題があったのか。わざわざ治癒魔法だと嘘を付き、そう人間たちに信じ込ませ気功を広めた教会の行動の意味が全くわからない。

 そう疑問を抱くが、考えたところで答えが出るわけでもないので、王国側はエルフ側に先程の無礼な態度を謝罪し、改めて魔法の技術を伝授して貰えるよう申し出た。快く謝罪を受け入れたエルフ側は、予定通り魔法を伝授する者達の選定を再開し、それ以降は大きな問題もなく順調に魔導部隊へと配属される者達が決定されていった。



 その光景をリータと眺めながら、ようやく以前から疑問に感じていた人間たちが扱う治癒魔法の実態を知ることが出来た。現に人間たちが治癒気功だったものを使っていたところを見たことがあるが、回復が遅いのは魔力と熟練度の低さにあるのだと思っていた。

 それに、気功という技能は教会の独自の技能ではない。この大陸ではそうなってしまうだろうが、他の大陸では、あらゆる手段で“氣”を活用する術を持っている者が多く存在する。王国側の主張では、どんなに熟練した使い手であっても治癒魔法と同程度の効果は得られないと言っていたが、そんな事はない。熟練した手練であれば、治癒気功によって【ヒール】どころか【ハイ・ヒール】と同等の効果を生み出すことも出来る。魔法を極めるのに素質がいるのと同様に、氣を極めるのにも素質がいる。重要なのは、自身がどちらに類まれな素質を持っているかだ。

 リータは氣を扱うことをあまり得意としていないが、ジェシカはかなりの手練だ。氣を纏うことによって、あの小さい身体からは想像がつかない程の力を発揮し、無手によって戦闘をすることも多々ある。上級魔物程度であれば、軽く氣を纏った拳一突きで落とせる。

 その為、大会でリータとジェシカがあたることになれば、行使する魔法が制限されるリータと違ってジェシカが有利になるだろう。強力な魔法はその威力に見合った派手な使い方しか出来ないが、氣は己の肉体で静かに巡らせることによって、身体能力を向上させる事が出来る。本気で纏ってしまえば、強化魔法同様に薄く身体を纏うように光を放つが、そこまで力を晒すわけではないので見た目で気づかれる事はないだろう。


 それがわかっているので、リータが私と鍛錬をしたいと懇願してきた。たとえ本気では無くても、ジェシカに負けるのは悔しい、と。なので、時間さえ取れればいつでも訓練に付き合うとすぐに了承した。あまり気にすることは無いと思うが、リータは負けず嫌いだからな。

 私が了承したことに嬉しそうに頷いたリータは、日取りなどは決定次第連絡すると言っていたが、未だ音沙汰が無い。おそらく、騎士達の教育指導を請け負っている関係で、あまり自分の訓練に割く時間が取れないのだろう。


「リータさんも大変ですね」


 私の憶測に少し嬉しそうな表情でマノリが答える。


「ああ……つくづく私は、マノリの護衛でよかったと思う」


 もしあの時にシンリアスの誘いを受けていたら、慌ただしい日常を送っていた事だろう。休暇という休暇が全く取れずに公務に追われるシンリアスと行動を共にし、常に側に控えなければならない。そんな役割をリータに押し付けてしまった事に、少々申し訳なさを感じる。事が落ち着いたら、何か苦労に報いたい。


「ふ、ふふふっ……! ガドウィンもようやく、私の良さに気づいたのですね?」


 マノリは口角を上げて、抑えきれないといった様子で笑うとそう聞いてくる。マノリの良さに気づいたというよりは、マノリの護衛という仕事の楽さに気づいただけなのだが余計な事は言わないでおこう。


「あ、あぁ……まぁ、そういう事だ」


「そうでしょう、そうでしょう。少し気づくのが遅すぎるとは思うけれど、この際それは置いておきます。あまりにも鈍感だから強硬手段に出ようとも思いましたが、杞憂だったようね」


 憂うようにほっとため息を吐いた後、見たことのないような歪な笑みを浮かべるマノリに戦慄した。

 こいつはいつから、こんな笑みを浮かべるような女になったのだ……? 4年間側に居るが、こんな姿のマノリは見たことがない。純粋無垢な疑うことを知らない、花を愛でる淑女になると思わせた子供の頃の面影は一切ない。

 そんな姿に驚きを隠すことが出来ず、呆然と見つめる。それに対して、愉悦感さえ感じさせる表情でマノリは笑ってこちらを見つめ返す。


「驚きました? いつまでも、ガドウィンの知ってる子供ではないのよ? 私だって、貴族。いつまでも純粋なままでは居られないわ……」


 マノリは妖美な表情で、儚げに隠していたであろう内心を吐露する。


「でも、ガドウィンを驚かせられたなら嬉しいわね。ふふっ」


 いたずらが成功したような表情で笑うその姿は、普段見慣れたいつまでも子供だと思わせていた頃の姿だった。しかし、笑いを抑えてこちらに向けてきたそれは、艶かしい女の顔であった。一般の女では纏うことの出来ない、高貴な地位に付いた女が持つ独特の雰囲気を漂わせるマノリを見て、この女を籠絡して傀儡にしようと考えていた事に少しばかり後悔した。 

あまり文字数にとらわれずに、

これからは一段落した段階で切ってしまおうと思います。

ですので、文量が多い時もあれば短い時もあります。

ご了承ください。



本文でもありますが、無属性の治癒魔法は【治癒気功】でした。

これは察しがついていた方も多いのではないでしょうか。

ありきたりですからね……。


あとはマノリですが、腹黒です。

元々そういう設定でしたので、本性を出す際にインパクトを持たせる為、

純粋で素直な子だと印象付ける表現を使っていました。

ちょっと影の薄いキャラでしたが、

これからは個性を出していけるかな?

そうだといいなぁ~……。

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