厄災
それからというもの、思いがけない幸運がオイディプスにおとずれる。
スフィンクスの謎には多くの者が困っていた。テーバイ王国では謎を解きに向かった王様が殺されるという悲劇が起こる。王には子どもがいなかった。国の混乱は広がる一方。
そこで王妃の弟クレオンは、怪物スフィンクスの謎をといた者には、新国王への就任、及びに王妃イオカステとの結婚を認めるとの知らせを王国内外にしらせていたのだ。スフィンクスを退治した後、オイディプスはこのことを知る。
半信半疑のオイディプス。捕らえられたりはしないだろうかとも思ったが、テーバイ王国に入ることとした。そこで彼は歓呼の声で民たちに迎えられる。面白いように物事は進む。テーバイの王への就任、王妃との結婚、長い旅の果て、彼はついに安息の地を見つけたのだ。
それからいくらかの月日が流れた。王妃イオカステとの間には四人の子供を授かった。男の子がふたり、女の子がふたりである。美しい妻、かわいい子供たち、国は安定し、民たちはみな、オイディプス王に感謝している。
怪物退治の英雄オイディプスの名は国を越え、山脈を越え広がっている。故郷の両親にも届いただろうか。今やだれからも仰ぎ見られる存在となったオイディプス、だがその幸福は永くは続かなかった。
運命からは逃れられない。