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神託
オイディプスが目指した先はデルフォイの神殿であった。デルフォイの神託、神アポロンによってなされる神託は絶対である。
かのギリシャ神話の大英雄ヘラクレスは12の難行を越えたのち、やっとのことで神の座に列せられた。神の血を引くヘラクレスでさえ神意には逆らえなかったのである。
ましてやただの人間に神の決定にあらがうすべなどない。古代世界における神託とはそれほどまでの力を有しているのである。
デルフォイの神殿にて彼がえた神託は以下のようであった。
「汝は実の父を殺し、実の母と交わり子をもうけるであろう」
神はいつだって気まぐれでそして残酷だ。もう故郷には帰れない。愛する両親を守るため、オイディプスが故郷の地を踏むことは、もうない。