4.最初の街へ
荒れ果てた村から少し西に離れた森にシン達はいた
「確かこのあたりに目印があるはずだ」
「こんな何もないところによく戻って来れるな」
ライアスが言うように今皆がいる場所は草木が生えているだけで何もない場所だった。
するとシンが何かを取り出した。
「あぁ大体の場所を記憶しといてあとはこれを頼りにするんだ」
シンは取り出したのは青色の丸い石だった。
「これは夫婦石って言って赤色の妻の石と青色の夫の石2つで一つ、夫の石は妻の石に向かう性質を利用して開門石を使った場所に戻ってるんだ」
「なるほどな、それでこんな何もない場所でも進む先がわかるのか」
しばらくすると一本の木に紐が結んであるところまで辿り着いた、シン達がつけた目印のようだ、さらにその木から少し離れたところに2本別の紐をくくりつけてある木があった。
「目印はひとつだけじゃないんだな」
「3つの木の中心が妻の石を埋めた場所になるようにしてるんだ、1つだけだと魔物とかが目印の紐を切ってどこかにやっちゃうかもしれないしね、後妻の石を埋めてるのも同じ理由だね」
「開門石ってのをつかうのは結構一苦労なんだな」
「ほんの少しぐらいの誤差ならいいんだけど5メートルぐらい違う場所で開門石使っちゃうと最初に使った場所と結構離れた場所になっちゃうんだよね、最悪の場合森のど真ん中とか、海の中だとか琉脈の流れは複雑だからね」
そう言いながらシンは夫の石を地面に置き石が止まったところの地面を掘りはじめた。
「でも魔界に来て魔王城まではどうやって向かってんだ、それこそこんな森の中に来てんのによく迷わずにこれたな」
「それは、これだよ」
するとシンはコンパスを取り出した。
「魔城のコンパス、特殊な魔力のある方にハリが刺す法具だよ。まー特殊と言うか魔王が放つ魔力に反応する物かな、このコンパスから一番近い発生源を指す、ほら今はライアスを指してる。」
ライアスはコンパスを見せられシンの周りを回ってみるとコンパスのハリはライアスを追うように回り出した。
「なんか色々あるんだな、でもよもし俺たち魔王が魔力を抑えたらどうすんだ」
ライアスがそう言うとコンパスのハリがライアスの方を指すのをやめ別の場所を差し出した。
「あー、なるほど魔力を抑えることができるのかそれは考えてなかった、今回はライアスが魔力をおさえてなかったから辿り着けたってわけか」
「まっ、基本的には抑えることなんてないからな、それにそんなコンパスがあることをほとんどの魔王達が知らないだろうしな」
掘り進めるながら話していたシンは、妻の石を掘り出した。
「あった、よしそれじゃあ今から開門石を使う、みんなに一箇所に固まって」
そうしてシンは開門石を地面に置き割った、すると割った開門石の周りが青白い光を放ち光がさん達を包み込んでいった。
光が消えるとそこにシン達の姿は消えていた。
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ファスティシアから少し離れた森で青白い光が発生し出した。すると光からシン達が現れた。
「うん、問題なく来た時に開門石を使った場所だ」
「さっきとは確かに違う雰囲気の森だけど魔界に使う時も森なんだな」
「それは、他の人に迷惑をかけないようにだね、ほとんどあり得ないけど帰還した時に人が通るような場所で使うと衝突したりする可能性がわずかだけどあるからね」
「なんか、目印だったり他人を気にしたり色々使うのに面倒だな」
魔界では魔物の対策、戻る時のために他人を気にして行きは人のやらないところで使用する。ライアスは面倒くさい手順だなと思った。
「別に難しいことをしてるわけじゃないからそんなに苦でもないけどね」
シンにとっては開門石を使うさぎょうは別に嫌な作業ではないようだ。
「それじぁファスティシアまで向かおう、ここからファスティシアはすぐだから」
するとシンは先ほど出した魔城のコンパスとは別のコンパスを取り出したそのコンパスは魔城コンパスと違い法具などではなくただのコンパスのようだ
シンは進むべき方角を確認し、行き先を定めシン達はファスティシアに向かい進み始めた。
シン達が進み始めて10分ほど経つと大きな街の姿が見えてきた
「見えたよ、あれが恐らく奴隷狩り達がいるだろう街ファスティシアだ」
「あれがファスティシア、まってろヒラ俺がお前の父ちゃんと母ちゃん、村のみんなを助けてくるからな」
ライアスは村でのヒラとの約束を思い出し、必ず助けると思いファスティシアの中へと足を踏み入れた。