3.荒れた村
シン達は行きに見た時の村と今の荒れ果てた状況の村を目にして唖然とした。
最初に見た時は何の問題もない平和な村だったのに今は、黒い煙が立ち上り荒れ果てた村となっていた。
シン達が唖然としている中でライアスは村に駆け寄っていた。
「無事な奴はいるか!なにがあった!」
ライアスは無事の村人はいないかと声を上げた。
すると、半壊している民家の影から老人が出てきた。
「もしや、あなた様は魔王ライアス様ではありませんか」
「お前は村長の確かガンジか、この村で何があったんだ」
隠れていた老人は村長のガンジというらしい
「おおっ、覚えていただけてるとは何と光栄でございます。この村の惨状は奴隷狩りの仕業でございます。」
奴隷狩り、魔族の中でも力を持たないものを狙って拐っていく闇商人達だ。
「この村には力を持つ者がおらず、それに奴らは強力な法具を持っており、わしらではまったく太刀打ちできず女と子供、それに若い男を拐われてしまいました」
ライアスがガンジから事情を聞いているとシン達が追いついて村へやってきた。
「ライアス、無事な人もいたのか」
ガンジがシン達に気付き不安な顔色を浮かべる。
「大丈夫だこいつらは地上人だけど、お前に悪意はない、他にも無事な奴はいるのか?」
ライアスはシン達は無害だと落ち着かせた。
「無事なのはわしのような拐っていっても売れる見込みのない老人ばかりでございます。しかし一人だけ何とか見つからず隠しとうした子供がいます。」
すると先ほどガンジが出てきた半壊した民家の影から子供が出てきた。
「お兄さん魔王様なの?」
子供、怯えた様子でライアスに聞いた。
「あぁそうだ、俺は虚実の魔王ライアスだ、お前の名前は何だ」
「ぼ、僕はヒラ、お父さんとお母さんが地上人に連れて行かれたちゃったよ…」
ヒラは、震えた口調でライアスに言った。
するとライアスは、ヒラの頭に手を置いた。
「大丈夫だヒラ、お前の父ちゃんと母ちゃんは俺が絶対に連れ帰ってやる、父ちゃんと母ちゃんだけじゃないお前の友達も他の村人全員助けてくる。」
虚実の魔王なのにその言葉には嘘のないまっすぐの本心だとシンは思った。
「本当にみんな助けてくれるの?」
「本当だ俺は虚実の魔王だがこういうときには嘘はつかないんだぜ」
ライアスがそう言うとヒラは少し落ち着いたようだった。
「すまんけど次の魔王城にいく前に寄り道させてもらう」
「構わないよ、むしろ僕たちもそのつもりさそれに地上のことはライアスじゃわからないだろ、地上について知るそのために旅についてきたんだから」
シンははなからこの村の人達を助けようと言う思いだった。
「奴隷狩り達が向かったのは恐らくここから開門石を使って一番近い街ファスティシアだと思う、あそこは大きな街だから隠れるにも、商売をするに適してるからね」
「助かる、ありがとう」
「別に礼なんていいよ、それにお前が僕に言った善か悪は人次第で言うなら僕にとっての奴隷狩りは悪だからね、自分勝手な正義だとしても人の家族を奪うってことは絶対に許さない」
両親を失っているシンだからこそ余計に許せない、それはリーナやアスヤにとってもだ。
「絶対にみんな連れて帰ってくるから安心しガンジと一緒にまってろヒラ」
「うん、魔王様村のみんなを父さんと母さんを助けて」
「すみません魔王様わしらは何もできず、どうかよろしくおたのみします」
そして魔王を含む勇者パーティは拐われた村な人達を救うべくファスティシア向かうことにした。