20.虚実の側近
とある森を越えた先の崖の上にある城、虚実の魔王城、その城の玉座の間に二人の魔族がいた
虚実の魔王の側近、ゲーゴとサンズである、二人は魔王留守の間に魔王城の清掃をしていた
「それにしてもサンズ殿、かなり慣れて来ましたな」
「ゲーゴさんの教えのおかげですよ」
「サンズ殿が来られてもう15年ほどですか、我々の生は長いですが、いつの間にか時はたっていますね」
ゲーゴとサンズは互いにたわいもない話を続けながら玉座の間を清掃していた
ゲーゴが玉座を磨いていると何か思い出したようだった
「おや、そういえばいつしかライアス様が楽観の魔王エンジュ様がここらの時期で遊びに来るとおっしゃっていましたな」
「楽観の魔王が来るのですか、でもライアス様は今旅に出られていますが」
「恐らくライアス様のことですから忘れられてあるのでしょう、少々忘れっぽいところがありますから」
ライアスが生まれた時からの付き合いのゲーゴは彼なら忘れかねないと思っていた
「しかし、ライアス様がいなくてもサンズ殿がおられれば大丈夫でしょう」
「どうでしょうね、楽観の魔王がライアス様目当てで来るなら私で満足させれるでしょうか」
「ご謙遜をなさらないでください、サンズ殿なら大丈夫ですよなぜなら貴方は•••」
ゲーゴが何か言いかけていると玉座の間の扉が勢いよく開き、連絡係のカタナがやって来た
「ゲーゴ様〜サンズ様〜楽観の魔王エンジュ様が近くまで来られてますよー、見張り兵が確認してますよー」
「カタナよ扉を開ける時はもっとゆっくりと開けるように前にも言いましたでしょう、扉の近くに誰かいたら当たってしまうではないですか」
「すんません〜ゲーゴ様〜以後気をつけまーす」
ゲーゴに注意されるカタナだったがあまり反省をしているようには見えなかったがゲーゴはいつものことかと思い楽観の魔王へと話を変えた
「楽観の魔王様はあとどれくらいでここまで辿りつきそうですか」
「後10分もないと思いまーす」
「それでは各位に楽観の魔王エンジュ様が来られた時用の位置に着くように通達してください、全力で楽観の魔王を楽しませましょう」
「『城にいるみんなに連絡〜楽観の魔王エンジュ様が城までくるよー各自ゲーゴ様に言われた場所があると思うから、配置についてねー』」
カタナはゲーゴに言われた通りにカタナの能力である反響を使い城全体に通達した
すると城にいる魔族たちが慌ただしく動き始めて各自が各々指示されていた場所に着いた
「では、私たちはこの場所で待つとしましょうか」
「ライアス様がいないのに玉座で待機というのわ何か変な感じがしますねゲーゴさん」
「そうでございますね、ですが私たちがこちらで相手をしないとせっかく遊びにくるエンジュ様を退屈させてしまいますからね」
「楽観の魔王エンジュですか私苦手なんですよね」
「おや、サンズ殿はエンジュ様がお苦手でしたか意外ですね」
「何というか、無神経というかグイグイくるというか、何も考えずに懐に飛び込んでくる感じが…」
サンズは何かを思い出すかのように話していた
「ですがそういった所は、ライアス様似ているとも思いませんか」
「確かにライアス様と出会った頃を思い返してみるとそうだったかもしれません」
サンズはライアスと出会った頃を思い出して楽観の魔王エンジュと比べてみると二人は似た感じがあると思った
「何でしょうね苦手意識はエンジュとの付き合いによるものなんですかね、ライアス様と重ね合わせてみると結構似た性格ですね」
「サンズ殿はエンジュ様との付き合いはライアス様より長いですからねそう言った考えが根付いているのも納得ですね」
二人が楽観の魔王エンジュの話をしているとカタナからの連絡が入った
「『ゲーゴ様〜みんな配置に着きましたよー楽観の魔王エンジュ様ももうすぐそこまで来てまーす』」
カタナが皆準備が整ったことをゲーゴに伝えるために城全体に反響をさせた
「そろそろのようですね、それでは我々も準備を始めるとしますか」
そして二人は玉座に続く階段の左右に掛けてあるそれぞれの武器を手にした、サンズは剣をゲーゴはメリケンサックを装備した
「エンジュ様が城についてからは他の者たちが少なからず相手をするでしょうからここまで辿りつくのに少し時間はかかるでしょう」
「そうですね、でもエンジュのことだから猪突猛進でここまでくるような気がするので城まで辿り着いたら結構早いかもしれません」
「どちらにせよ、エンジュ様を楽しませるのがライアス様がいない今の我らの役目でございます」
「その通りですね」
二人がある程度の準備を終えると間もなくカタナがもう一度反響を使い連絡をした
「『楽観の魔王エンジュ様の到着〜繰り返します楽観の魔王エンジュ様の到着〜エンジュ様とその従者2名の計3名様の訪問ですー』」
カタナの声が城全体に響き渡り楽観の魔王エンジュがさらに来たことを知らせるのであった