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勇者パーティの魔王  作者: クロウサ
2章 新たな出会い
14/30

13.宿屋の主人と忌み子の娘

 シャルルを連れ戻し森から戻ってきたライアスは宿屋に向かった

 宿屋に着くと宿屋の主人にシャルルを泊めてもいいかと詳しいことは聞かずに了承をくれた


「おいあんた、あんがとな…」


 ライアスが2階に進む階段を上がっていると宿屋の主人はそう小さく呟いて管理部屋へと入っていった


「あっ、戻ってきたどこにいってたんだよっ、ん?その子誰」


「こいつは、シャルルだ」


「シャルルです…」


 シャルルは、ライアスの後ろで半身を隠しながらシン達に挨拶した


「あっ、もしかして朝に言ってた子、すごく可愛い子じゃないこんな子を忌み子とかいうなんて信じられないわね」


 忌み子という言葉を聞いてシャルルは暗い顔をして俯いてしまった

 

「ごめんね、別に私たちはあなたのことを恐れたりはしてないわよ、規格外なんてむしろすごいじゃない、普通の人ができないことができちゃうだから」


 リーナは慌てて言い訳をした


「ごめんね、気にしてる言葉をいっちゃってでも彼女本当に君のことを可愛いって思ってるだよ、僕はシン、で彼女リーナそれにアスヤだよ」


 シンがリーナのフォローをすると一緒に自己紹介をした


「シン…リーナ…アスヤ…」


「うん、よろしく」


 するとシャルルが小さく頭を下げ会釈をした


 ライアスはシャルルがまだご飯を食べていないので宿屋の食堂に行き宿屋の主人に料理を用意してもらった


 主人が用意してくれたご飯は先ほど出された大量の量ではなく食べやすいちょうどいい量のカレーだった

 カレーを出されるとシャルルは嬉しそうな顔をしてすぐさまスプーンを持ちカレーを頬張り出した、スプーンを持つ手は握り拳になって食べている。


 美味しそうに食べるシャルルを見てこのカレーは彼女の好物なんだなとライアスは思った


 あっという間にカレーを食べ終わるとシャルルは疲れが解放されたのか倒れるように寝てしまった


 ライアスは、シャルルを連れて部屋に戻り眠ることにした


 次の日、一同は朝食を食べに食堂に行ったがやはり出てきた量はとてつもない量だった


「出されたもんは全部食べないといけないんだ、シャルルもたくさん食えよ」


「うん」


 シャルルはライアスの言葉に頷きみんなと一緒に朝ごはんを食べた

 みんなで食べるご飯は久しぶりかそれか初めてなのか、シャルルはとても嬉しそうだった


「なぁ、シャルルお前俺たちと一緒に来ないか」


「ん…」


 ライアスが聞くとシャルルのご飯を食べる手が止まった


「でも…パパとママと妹が…」


「どうするかは自分で決めていいお前が残りたいなら残ればいい」


 すると宿屋の主人が現れた


「シャルル、お前はこの村を出るべきだ、本当は分かってるんだろ、昨日ことはお前の父と母企んだことだって」だがこのにいちゃんはおまえをシャルルとして見てくれてる忌み子なんかじゃなく一人の少女シャルルとしてだ」


「おじさん…私ついてく、ライアスたちと一緒に」


「歓迎するよシャルル君のことはしっかりと守るから安心してね」


「よろくしくねシャルル」


「お願い、します」


 こうしてシャルルもシン達の旅について行くことになった


 朝食を食べ終え、道具屋に開門石が届くのがお昼らしいのでシン達は部屋に戻りライアスだけ食堂にのこり宿屋の主人と話をしていた


「おっさん、アイツと関わりたくないとか言ってたけど嘘なんだろ、外に干してあった子供用の服もシャルルのだろ、アイツ忌み子とか言われてるなら家でもぞんざいな扱いをされてるはずだ、なのに身なりは汚くない、それにシン達には挨拶する時もすこし警戒して、村の人々には怯えてるはずなのにおっさんが出したカレーを好物のように食べてた、あんたがシャルルの世話をしてたんだろ」


「俺はよ、正直普通とか普通じゃないとかどうでもいいんだ、あの子はよただ耳がいいってだけで何にも悪いことしちゃいねぇ、なのに村の人たちは忌み子だのなんだの言って迫害する、挙句には親までもだ、そんなの可哀想じゃないか、でも俺は他人の目を気にして堂々とはあの子に優しく接してやれなかった、だけどあんたは違うあの子と対等に接してくれた、だからどうかあの子を頼む」


 宿屋の主人はライアスに頭を下げた


「あぁ、任せろ、他の村人もあんたみたいのが少しでもいればよかったのにな」


 ライアスは、宿屋の主人との話を終え部屋に戻っていった

 2階の部屋ではシャルルが二人の会話をこっそりと聞いていた


 昼になり道具屋に開門石が届きそれをシンが買ってきて一行はようやく次の魔王城に向かう準備を終えた


 身支度を終え2日間止まった宿を出て村を出ようとすると村の出口まで宿屋の主人が見送りに来てくれていた


「たくさんのご飯本当にありがとうございました。おかげでお腹いっぱいです」


「おうよ、お前達は空腹で倒れてくるんじゃねーぞ」


 そしてシン達は村を出て行った、村を出て少しするとシャルルが振り返った


「おじさん、今までありがとー!!」


 シャルルの言葉に宿屋の主人は涙お流しそうになったが涙を抑えた


「そいつらと仲良くやれよシャルル!!」


 こうしてシン達一行はシャルルを加えて次なる魔王城、食欲の魔王ベーゼのいる魔界へと向かった

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