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勇者パーティの魔王  作者: クロウサ
2章 新たな出会い
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12.ハインドウルフ

 ライアスと分かれ一度家に戻ったシャルル

 シャルルの部屋は家から少し離れた物置で部屋というにはあまりにも見窄らしかった


 シャルルが部屋で探しものをしていると家の中から話し声が聞こえてきた、それはシャルルの両親の会話だった


「西側の森でハインドウルフが出たそうよ」


「らしいな、近寄らないよう気をつけないとな」


「でも、ハインドウルフの幼体さえ手に入れれば…」


「危険なことを考えるな、だがハインドウルフの幼体は街で家を一軒買えるほどの金が手に入るからな」


「私がハインドウルフの足音を聞けるほどあの子のような聴覚があれば良かったのだけれども」


「足音が聞ける聴覚があれば良かったんだが、それさえあれば幼体を連れ出し売って、金を手に入れ、あの子の妹と姉妹仲良く同じ部屋で暮らさせれるのに」


 シャルルは家の外の自分の部屋である物置からその話を聞き、家を飛び出した


(オオカミの赤ちゃんを連れてくれば私も父さんと母さんと妹と一緒に同じ家で暮らせるんだ)


 シャルルは、家族と同じ家で暮らせるという希望を持ちハインドウルフが出たという森に向かった


 ―――――――――――――――――――――


「あなたの娘どうにかならないかしら、忌み子のくせに村を歩き回って目障りだわ」


「さすがに監禁とかは気が引けるから、放し飼いをしているのよ、でもその問題なら今日でおそらく片付くは」


「あら、何かあったの」


「おそらく今頃森でハインドウルフに襲われてるんじゃないかしら、あの子に聞こえるように旦那とわざわざハインドウルフの話をしたからよ、幼体さえ手に入れれば家族で一緒に暮らせるって話をね、そしたらあの子まんまと森に行ったのよ、魔物にやられるなら罪悪感がなくてちょうどいいわ」


 主婦たちが話しているのを聞いたらいあすは怒りが込み上げてきた


「おい、今の話は本当か」


「なによ、あんたいきなり本当のことだけど何か」


 シャルルの母親が嫌な顔おしてライアスを見る


「家族だってのに…『良い親やってんなあんた』」


 ライアスはそう言って村を出て西の森へ全力で向かった


「『シャルルはハインドウルフに見つかる』」


 ライアスは能力を使った、だがそれも気休めでしかなかった、能力の範囲は無限ではないのだ使える範囲は、自分から半径1キロそもそもすでに襲われていたら気づかれていたら意味はない、ハインドウルフは自分達の縄張りに入っても襲わないだけで、気づいている可能性が高い、魔物の中でも鼻が優れているのだ


(頼む幼体には手を出さないでくれ)


――――――――――――――――――――――


 シャルルは倒れた穴の空いた大木の中に隠れていた

 ハインドウルフの縄張りまでは自分の耳を頼りに足音のするところを手当たり次第にあたり、見つけ出すことができた


 だが実際に初めて魔物を見ると恐怖が込み上げてきた、それもそのはず彼女はまだ幼い少女だ、その少女が一人で夜に森の中に来ることすら勇気のいることだ

けど彼女には家族と一緒に暮らすという希望が突き動かす原動力となってここまで辿り着かせたのだ


 シャルルは必死に息を凝らしていた、ハインドウルフに見つからぬよう必死にそして幼体の前にいるハインドウルフが離れるのを必死に待っていた


(怖い…怖いでも赤ちゃんを持って帰らないと、みんなで暮らせない…)


 ハインドウルフの幼体は今寝ている、連れ出すなら今がチャンスだ、だが幼体の前ハインドウルフなかなか隙を見せないそれに、恐怖で足が震えている


 大木の中で隠れしばらくしてから、少し離れたところでカサっという音が聞こえた、すると幼体の前にいたハインドウルフがその音のする方へと向かっていった

 シャルルは今だと思った恐怖で震える足で全力で幼体のところまで向かった、そしてハインドウルフに見つからずに幼体のところまでたどり着いた


(やった!)


 パキンッ、シャルルの後ろから枝が折れる音がした、シャルルが後ろを振り向くとそこにはハインドウルフがいた。

 音もなく彼女に忍び寄っていたのだ、自分達の縄張りに入った瞬間から彼女にバレずに監視ししていたのだ自分たちの縄張り入った彼女が何をするのかずっと警戒していたのだ


 シャルルはもうダメだと思った、その時声が聞こえた


「シャルル全力で叫べ!!」


 その声はライアスだった、そしてシャルルはその声通り全力で叫んだ


「ライアスッ!!」


 ライアスは近くにシャルルがいることを確認したそして


「『お前は何にも守られていない』」


 ライアスがそういうとシャルルを襲おうとしたハインドウルフの爪はシャルルには届かなかった


 そして草木の中からライアスが出てきた


「すまないお前達が子を大切に思っているのは重々承知だ、この子はもうお前達の子に手を出さない、この子は俺がお前達の縄張りから連れ出す、だから頼む見逃してくれ」


 ハインドウルフはシャルルを睨みつけていたがライアスの言葉を信じたのかシャルルが取った幼体を咥え元の寝ていた位置に戻した


「ライアスッ!」


 シャルルがライアスに飛びついた、その顔は涙で溢れていた


「なんで…ここが分かったの」


「今の俺は耳がすごく良いからな、足音のするところを全力で探し出した」


 ライアスは能力をつかい自分は耳がとても悪いと嘘をついたのだ、そしてよく聞こえるようになった耳でシャルルがハインドウルフを探したように、ライアスはシャルルを探し出した


「村に戻るぞ、今日は俺らが泊まってる宿に泊まってけ」


 そしてライアスはシャルルを連れて村に戻っていった

 


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