和製英語と米製和語 セレブ VS ぶっかけ
初出:令和6年3月23日
昔、企業の新人研修で米国人講師による英会話レッスンがありました。
米国人講師は日系人ですが母国語が英語で日本語はしゃべれません。
彼は日本に来て仰天したこととして日本のパンプキンパイを上げていました。
しばしばパンプキンは日本語でカボチャと訳されていますが、両者は全く別物。パンプキンは果物に対し、カボチャは野菜です。
パンプキンは果物だからスイーツの材料になり得ますが、日本では野菜のカボチャを材料にケーキを作っています。日本人の感覚ではさながら白菜ケーキや大根パイみたいなもの。だから彼は「オエッ」となったのでしょう。
カボチャは英語ではスクワッシュ(squash)。パンプキンではありません。
おそらく”ハイカラ”と同じ理屈で、明治時代の日本の偉い人がパンプキンをカボチャと誤訳したのでしょう。
その後、欧米のレシピ本を手に入れた日本人がパンプキンの替わりにカボチャを材料にしてパンプキンパイを作ったのではないでしょうか。
これが日本人が食べているパンプキンパイの実態です。
和製英語というのがあります。日本人は正しい英語だと思って使っているのですが、英語のネイティブから見ると奇妙に思える表現のことです。
反対に米製和語、あるいは米製日本語というのもありそうです。
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①和製英語としてのセレブ
ゼロ年代くらいに女性雑誌「ハーパーズ バザー」を定期購読していました。
なぜ女性雑誌を購読していたのか。実は占星術師ジョナサン・ケイナーが毎月の星占いコーナーを担当していたからです。別の占い師が星占いコーナーを担当するようになったら、すぐ購読をやめました。
このころ女性雑誌から”セレブ”という外来語が定着し始めました。
セレブはもともと英語の「celeb」。つまり「celebrity」の略です。
日本語訳すると有名人といったところでしょうか。芸能人やテレビタレント、有名スポーツ選手、お笑い芸人も世間に名前が知られている以上、「celebrity」に入ります。
一方、無名のお金持ちはどんなに裕福でも「celebrity」ではありません。
ところで外来語のセレブは富裕層全般を指し、若手のお笑い芸人はセレブと呼ばないようです。
こういう意味では日本人が使っているセレブも和製英語なのでしょうか。
②米製和語としてのbukkake
私はフェースブックで英語の料理グループに入っています。
自分が作った料理の写真をアップし、英語で簡単な説明を添えるという趣向です。
私はあるとき「ぶっかけうどん」をアップしました。
するとすぐ英語のコメントがつきました。
「料理はうまそうだが料理名がヤバイ」といった感じでしょうか。
その後、料理名に関して炎上しました。
普段、このグループは女性が多いのに対し、コメントしたのはどうもみんな男性のようです。
「bukkake」をググると炎上の理由が理解できました。つまり「bukkake」は英語ではポルノ用語なのです。
日本のAVの「ぶっかけ」シリーズが海外に輸出されて有名になったのか、それともそれとは関係なく「bukkake」がポルノの企画ものとして英語圏で確立しているのか。そのいずれかでしょう。
「bukkake」は米製和語といったところでしょうか。
ちなみに日本語の”変態”と英語の「hentai」も微妙にニュアンスが違います。
英語のそれはポルノアニメを指す用語のようです。
(完)