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寿間穂波が突き進む日常  作者: 水色十色
毒蛇拡散予告事件
19/34

背広の周辺を洗うこと

 穂波たちは、怪人コラーゲンの封筒について、もう少し詳しく聞いた後、厄介事捜査室に戻り、早速、捜査を始める。

 まずは、中に入っていた紙の二枚目を読み解く必要がある。しかしながら、古代蛇竜語(へびりゅうご)というのは、正式な言語として認められておらず、未解明の文字で書かれているため、一筋縄では進みそうにない。

 十分ばかりが過ぎた。


「あ、マゴリ先輩!!」

「おう、スマホとヤマネ、やっとるかあ!」


 近づいてきた強面こわもての男性は、厄介事捜査一係の係長、馬護まご律郎りつろう警部補。


「おはようございます」


 ヤマネ刑事は、チェアに座ったまま冷静に応じた。

 一方、穂波が大あわてで立ち上がる。


「お、おはようございます! 挨拶が遅れまして、たいへん失礼しました!」

「そんなこたあ、気にするな。がはは!」

「おそれ入ります……」

「スマホよお、踊れる麗しき最高知能を、大笑いさせたってなあ?」

「あっ、はい、そうです」

「がっははは!」


 なぜか嬉しそうに笑うマゴリ警部補である。


「おう、そのシベリア刑事部長から託された、()()の方はどうだあ?」

「あ、それがまだ進展もなく、全身全霊で奮闘しております!」


 穂波が真面目な表情で話し、古代蛇竜語の文面を見せる。

 するとマゴリ警部補が、また大きな声を出す。


「これを読めりゃあ、事件が解決するってえのか!!」

「は、はい。まずは解読しなければ」

「バカ野郎!!」

「ええっ??」


 どうして怒鳴られたのか、穂波にはサッパリ分からない。

 マゴリ警部補は、ヤマネ刑事に問い掛ける。


「おいヤマネ! テメエはどうなんだあ!」

「私も、最初は古代蛇竜語の解読を最優先に考えていました。しかし、この十分間で気づいたことがあります。私たちが一番にすべきなのは、この封筒が入れられていた、背広の周辺を洗うことだと分かったのです」

「おうよ。さっさと走りやがれえ!」

「承知しました」


 ヤマネ刑事が素早く動き始める。


「スマホ、テメエもだあ!」

「はっ、了解です!」


 穂波も立ち上がって、急ぎヤマネ刑事を追い掛けようとした。

 しかしながら、後ろから怒号が飛んでくる。


「コラッ、こいつを持ってけえ!!」

「あっ、忘れてる!」


 デスクの上に、封筒と二枚の紙が置きっ放しになっていた。それらを手に取り、駆け足で厄介事捜査室を出る。

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