3やっぱ友達が必要だよね
うーん何しよう。暇だ。
ネットも漫画もアニメもゲームもないんじゃな…。
本当にやることがない。
蔵書のある部屋でごろごろしながら悩む。本は気分じゃない。
川に行って魚でも見るか。
でも、6歳のこの体じゃあな。川に行って帰ってきただけで体力が底をつく。
「まぁ、いいか。」
独り言を呟いて外にでる。うん、日光が気持ち良い。自然のにおいがあるなか、ひとりだという感覚をもちテクテクとあるく。ここは本当に居心地がいい。目をつむり風を感じながら息を吐く。
(辺境の村っていいよな。)
そうなのだ。辺境の村はとても良い。何せ人が少ない。同年代なんておそらく両手で数えるくらいしかいないだろうし、働き盛りの世代は地方や都心に働きにでている。結構歩かないとそこまで人に合わない。人里に出ても会うのは数人だ。
「落ち着くなぁ」
何度目かの独り言をつぶやきながら川が見えてきたのを確認する。ついでにフルーツをもぎとっているおばあちゃんも見えてきた。知らないひとだがむこうはこちらを知っているのだろう。ぺこりと頭をさげてフルーツを鞄にしまい帰っていった。
アーサーは辺境の領主の息子だ。といってもこうして一人で出かけられるくらいのお金しかない領のため人さらいにもそうそう狙われない。そもそも人さらいがこない村だ。
「本当に良いところに生まれ変わったな。」
しみじみとつぶやきながら母様に怒られるのを想像する。
人さらいには狙われないが、6歳なのであまり遠くにひとりで行くと母様に怒られる。
(それでも…それでも川がみたい。何しろ暇だから。)
そう思いながら川につくと同い年くらいの子が二人いた。