(2)
私たちは本当に季節と風を統べるものなんだろうか。神は人を地を支配するものとしてお作りになり、いろいろあっていまの形としていた。季節は時の流れを示すために神がご用意なさった。私たちは人の罪の副産物なんだろうと思い、つまらぬもののためのつまらぬ私自身を問い続けながら空に洗われる都の雲の端で膝を抱いて、日々下の世界に思いを馳せている。統べるものと思っても拭えぬ我が身の下等さを重ねて。
仲間はと言えば……いや、きっと私に仲間のことを口にする資格はないのだろう。陽気に振る舞っていつも新風を仲間内に吹き込んでくれるハルサ、仕事に仲間への献身に熱を燃やすナツヤ、皮肉る口にも笑みをたたえて仲間のこころに実を与えるアキハ、誰をとってもその特質をもって賞賛できる仲間たちの中で、私は緩ませることのない冷たい頬をただ陰気にうつむかせているだけの出来損ないだった。仲間たちはいかなる運命に至ろうと世に残されるべき存在で……私はなんなのだろうか。
「フユカ、またいつものように、ハルサが戻るのには数日かかるよ。僕ら、街に行ってくるけど……」
「いい……私は空に足、浸してる……」
「そう……冷やしすぎないようにね」
声をかけたアキハと連れだってナツヤが都に消えてゆくのを見送って、私は雲の端から脚を伸べた。ハルサたちがかきまわした空はちょっぴり熱を含みだしていて、鼻頭がつんと詰まって少し涙がこぼれてしまった。よろこびをもって迎えられるハルサは容易に想像されて、私は自分の身を呪うしかなかった。