表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第4章 中央大陸・魔物の海編
86/212

第85話 ついに仲間と合流、そして戦いへ

 まだ薄暗い時間に目が覚める。あれ、何してたんだっけ……。

 寝ぼけた頭で周りを見回す。すると、ベッドが横に三つ並んでいて、そこに人が寝ているのが見えた。瞬間、思い出す。

 そうだ、一晩走り続けて森を抜けて朝方にアシュミードに着いたんだった。門をくぐった先でエルシーナたちに会って……。うん、めっちゃ迷惑かけたわ。


 まだ寝ている姿と窓の外を見るに、そろそろ日が昇る早朝の時間帯みたいだ。起こさないようにしよう。一日ずっと寝ていたみたいで身体がギシギシする。


 三人が起きるまでどうしていようかな。いろいろ話を聞きたいから、外出は……でもギルドには行かないとな。

 あ、そうだ。まずはお風呂に入ろう。髪がバリバリするなと思ったけど、これ血が固まってるんだよね、たぶん。洗ってスッキリしたい。ベッドシーツも汚れてるよね。外して洗うか。

 この時間お風呂入れるかな。宿の人に聞いてこよう。ハチミツつけて保湿もしっかりしたいな。



 起きていた宿の人にお風呂に入れるか聞いたら、大丈夫らしいので入る。

 丁寧に身体を隅々まで洗う。

 髪も伸びたなぁ。前髪は邪魔だから自分で切っちゃうけど、他はろくに切ったことがないので整えるくらいしかしていない。自分で髪を切るのって失敗することを考えたらできなくない? できる人すごいと思う。

 なので、今の私の髪はロングヘアーと言っていい長さがある。綺麗な髪だと自分でも思っているので、バッサリ切る勇気はない。戦闘中はさすがに邪魔なので髪留めで束ねている。

 髪を切ってくれるお店もあるけど、今までは母にお願いしていたから利用したことはない。今後どうするか考えておかないとなぁ。

 鏡を見ると、ますます母に似てきた気がする。


 保湿をしっかりして、手作りドライヤーで髪を乾かしてお風呂を出る。昨日何も食べてないし、お腹すいてきたな。三人はそろそろ起きただろうか。




 部屋に戻る頃には腹の虫が盛大に主張をし始めていた。年頃の乙女が出していい音じゃない。


「リア」

「あ、起きてた。おはよう」


 セレニアが起きていた。すでに着替えも済ませてばっちりキマっている。他はまだ寝ているが。

 エルフだから早起きとかは別にないらしい。


「おはよう。気分はどうだ?」

「気分は良好だよ。お腹がすいたくらい」


 ぎゅおぉぉとかいう腹の音がタイミングよく鳴いた。セレニアが苦笑しながら続ける。


「それはなにより。今後について話がしたいところだが、食事が先だな」

「うん。昨日はご迷惑をおかけしました」


 ペコリと頭を下げる。一日寝てスッキリした頭で考えると、さすがに無茶だったかなーと思った。ここまで来れたのは奇跡だね。後で他ふたりにも謝らないとな。


「今後は一人で無茶をしないようにな。君はもう十分強い」

「ん、ありがと」


 褒められると照れるなぁ。無茶しないという約束を守れるかはわかんないけど。いろんな人に何度も言われてるけど、守れた試しがないもの。




「すっごく心配したんだからね!」

「はい、ごめんなさい」


 エルシーナとクラリッサを起こして、いざ食事! って時に昨日のことを謝罪したらエルシーナの説教が始まった。食事のときにすれば……いや、食事中に説教は嫌だな。


「もうあんな無茶しないで!」

「ごめんなさい」


 その約束はしない方がいいかな……。守れそうにないし……。


「もう! ちゃんとわかってるの?」

「はい……」


 延々と説教が続くかと思ったが、私の腹の音が五回ほど響いたところで終わった。正しくはクラリッサが止めた。助かった。もう背中とお腹がくっつきそうだ。


 しょんぼりしながら食堂へと向かって歩く。

 するとプンプンしてたエルシーナが次第にオロオロし始めたので、ダメ押しでごめんなさいって言いながらちょっと離れたら慌てて近づいて来て、もう怒ってないから! って言ってきた。可愛い。

 笑ってたのがバレたら、顔を赤くしてそっぽ向かれてしまった。あらら。




 久々のまともな食事をお腹いっぱいに食べたところで、今後の話をすることに。


「早速腕を分析したいところだが、そんな暇がないことは理解しているな」

「『海』の活性化だよね。まだ続いているんだねぇ」


『魔物の海』の活性化が始まってから、もう二年経っていると聞いた。こんなに長いものなんだねぇ。


「こんなに長いのも珍しいみたいだよ」

「最近少しずつ魔物が強くなってきているようです」


 三人から『海』の様子と、これからの予定を話される。どうやらこれから『海』に向かわないといけないらしい。食事をとってギルドへ行ったらすぐに向かうらしいので、準備があるなら急いでほしいと。


「今更だが、共に戦ってくれるという認識でいいんだな?」

「もちろん。足手まといにはならないようにします」


 Dランクはこの戦いに強制参加ではないが、今更逃げ帰るなんてするつもりはない。そのために修行をしてきたんだから。


「その辺は大丈夫だと思うけどね……」


 エルシーナが遠い目で何かつぶやいたようだけど、よく聞こえなかった。



 食事と話し合いが終わったので、冒険者ギルドにやってきた。

 昨日預けたロック鳥を始めとした数体の魔物の解体はさすがに終わっているだろう。魔物が大きくて数体しか魔道袋に入らなかったんだよね。

 勿体ないけど、残りは燃やしたり埋めたりしてきた。途中からはそんな余裕も無くなったけど。


「こんにちはー」

「ああ、リアさん。こんにちは。昨日の魔物の解体は終わっていますよ」


 受付の人に挨拶をして、昨日の倉庫に解体した肉などがあると言われたので向かう。エルフ三人は受付で話があるそうなので、倉庫へは私だけだ。


「わーすごい」


 たくさんの肉が山積みになっている。それから魔石と、袋に入った物がある。あれは何だ?


「あれはロック鳥の羽だ。あれも売れるからな」


 解体してくれたギルド職員が教えてくれた。鳥の羽かぁ。あれのせいで何度川に落ちたか。個人で所有してても何に使っていいかわからんな。売ってしまおう。

 何を売るかという話になったが、エルフ三人から肉類は持っていても食べる時間が無いと言われた。

 ロック鳥は美味しいらしいから食べたかったけど、残念だ。いや、こっそり焼き鳥にでもできないだろうか。串焼き屋でもないかな。くそぅ、時間さえあれば。冷凍庫がほしい!

 結局肉を少しと、ロック鳥から出た風の魔石だけ受け取り、他はお金に変えた。


 受付に戻ってお金を受け取り、エルフたちのところへ向かう。どうやら向こうは用事が済んだようだ。


「キャンプ地に物資を持っていく。私たちはその護衛を兼ねて向こうに行くことになっている。一時間後に出発するから準備があるなら済ませてこい」

「わかった」


 ここから『海』に向かう道中は魔物の数が多いそうなので、しっかり準備しないと危険とのこと。

 魔力は回復したし、武器と防具は……できれば新調したいところだけど、一応予備があるから戻って来てからでもいいかな。

 食料も向こうにあるらしいし、保存食もまだある。特段これといって急ぎの物はないかな。

 串焼き屋でも探すか。



活動報告を投稿しました。

あらすじを編集しました。

章分けをしてみました。

4章の頭に、今までのざっくりとしたあらすじを書いたものを投稿しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リアさんあの無茶っぷりは本人確信犯ですかぁ。 エルシーナさんかわいいw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ