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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第4章 中央大陸・魔物の海編
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第79話 引き続き船の中

 アーロンさんたちと手合わせをするようになってから数日。

 同部屋の六人の冒険者たちが訓練部屋を利用することにしたらしい。

 これで部屋が狭くなってしまうな。手合わせが難しくなる。でも素振りくらいはなんとか可能だろうから、これからも利用させてもらうことに変わりはない。




「ねえ、貴女も冒険者なの?」


 訓練部屋を利用していたら、六人冒険者の内の女性一人に話しかけられた。何故みんな訓練中に話しかけてくるんだ?


「そうです」

「へぇー。こんな子供なのに」


 否定はしないけどさあ。なんか腹立つなあ。

 無視だ無視。訓練に集中だ。


「今中央大陸って危険なんだよ? わかってるの?」


 我が身を案じてくれているのはわかるんだけど、なんかこう、腹立つんだよな。ちょっと見下されている感じがするからかな。


「向こうに仲間が待っているので」

「こんな子供を別大陸に置いて中央大陸に? 大変ね」

「いろいろありまして」


 傍から見たら確かにおかしいけども。別に言わなくてもよくない?


「ま、頑張ってね」

「……ありがとうございます」



 かわいそうに



 って聞こえたぞ今。なんでだよ。

 今中央大陸が戦場になっているから、置いていかれたんだと思われても仕方ないけどさぁ。いわなくてもよくなぁい?

 ああもう、腹立つなあ!





 平常心平常心平常心平常心……とか唱えながら素振りしてたけど、なんかもう無理。今日はやめておこう。

 あの人たちがいないなら、大部屋の方が人は少ないだろう。部屋に戻って魔道具の図案でも書こう。




 火を使わずに水をお湯にする方法ないかな……この部屋火気厳禁なんだよね。

 なんて考えていたら、閃いた。


 漫画で水に振動を与えると温度が上がるというのを見たことがある。

 本当なの? フィクションなの? と思って調べてみたら、電子レンジの原理が振動による水の加熱で食品を温めるものなんだと知った。

 つまりだ、細かな振動を与える魔道具を作れば、簡易電子レンジになる……かもしれない。とりあえず、お湯くらいなら作れるかも。

 あれは電磁波が振動させているらしいけど、こっちではそんなものないから別のやり方をするしかないな。

 風魔法で微かで強力な振動を与えるとかどうだろう。これは容器ごと揺らすことになるけど、できなくないかも。

 それに、ミキサーで水を温めることも可能って聞いたことあるし、細かい振動じゃなくても大丈夫かもしれない。よし、術式を考えてみよう。


 対象を水だけに限定するとしたら……大事なのは沸騰するまでの時間かな。

 やっぱり振動数を増やしてみて……それならこっちの方がいいか……要は運動エネルギーが熱エネルギーに変わるんだから……。



 なんてやっていたらいつの間にか夜だった。食事を食べ損ねてしまった。

 非常食を食べて空腹を満たし、さっさと眠る。明日からはちゃんと訓練をしよう。



 ヒュンヒュンと木剣を振り回す音がする。今日は訓練部屋が空いていたので、アーロンさんたちに手合わせをお願いしている。

 ここを利用するようになってすでに一週間以上。気が付けばあと三日程度で中央大陸に到着するとのこと。


 振り下ろされる木剣を紙一重で躱し、剣を振る。

 私の戦闘スタイルは受け流すか避ける、そして斬る、というものだ。

 相手との身長差や腕力差を考えると、やっぱりこのスタイルが一番合っていると思う。

 避けること自体はそう難しくはない。動体視力は良い方だし、危機察知もある。あと戦闘自体にも慣れてきたからね。

 前世では虫も殺せなかったのに、人ってのは変わるもんだ。

 ちなみに虫が殺せなかったのは虫が嫌いで触りたくなかったからであって、優しさ故ではない。


「嬢ちゃんは十分強いと思うがな」


 ストイックに鍛え続けている私を見て、そんな感想をこぼすアーロンさん。ありがたい褒め言葉だけど、その年齢にしてはってことなんだろう。

 この年齢で強いかどうかはどうでもいいんだ。今の私が、これから合流する仲間たちよりも弱いことがダメなんだ。

 足手まといは仲間を危険に晒してしまう。


「まだまだです」

「あまり無茶するもんじゃないぞ」


 五体満足なら無茶の範囲には入らないと思う。これくらいなら平気だ。


「善処します」

「全く……」


 はぁと溜息を吐かれる。意外とこの人は面倒見がいいね。


「アーロンさんは面倒見がいいとか、苦労人とか言われません?」

「はっはっは! そうなんだよ。こいつお人好しでさぁ。俺らもそれによく巻き込まれてよー」

「エヴァン!」

「事実だよなぁ? バート」

「ああ」


 良いやつだけどな、なんて呟いているのが聞こえて、仲のいいパーティなんだと感じる。

 気心知れた仲なら、一緒にいて楽しいだろうな。生きていくことに余裕というか、心にゆとりがあるように思える。



 ああ、やっぱり一人は寂しいな。


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