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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第4章 中央大陸・魔物の海編
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第76話 新たな武器

 武器を探して歩き回っていると、怪しげなお店を見つけた。

 魔道具店らしいんだけど、薄暗いし魔道具ギルドの証明書もないし、路地裏にあるからめちゃめちゃ怪しい。でも面白そうなので入ってみる。


 中はホラーハウスか何かかと思うくらい不気味の物が並んでいる。

 ドクロの置物なんて映画くらいでしか見たことないぞ。店内が暗いせいで普通の杖でさえも怪しげなものに見えてくる。

 客が来たことに気が付いたのか、店の奥からローブを着たおばあちゃんが出てきた。杖を持っている姿はまさに、おとぎ話の魔女のようだ。


「おや、客かい。ヒッヒッヒ。何をお求めで?」


 子供かと馬鹿にすることなく客として迎え入れてくれるとは、なかなか見る目のあるおばあちゃんではないか。


「武器が欲しいかな。杖でも魔法剣でも、強い物が欲しい」

「なかなか強欲な嬢ちゃんだ。そうだねぇ……これはどうだい?」


 しばらく棚を漁っていたおばあちゃんだが、一本の杖を取り出して渡してきた。

 受け取ってみると……重っ。なんだこれ!


「これ素材は?」

「知らないよ。ただ頑丈ではあるだろうがね。長いこと保管してるけど、傷なんてほとんどつかないよ」


 さすがに宝石の類ではないだろうけど、かなり高価な金属なんじゃないかな。

 頑丈な杖っていうのはその分魔法も強力なものが刻まれていることが多い。つまり期待値が高いよ!


「何の杖?」

「ヒッヒッヒ。これはすごい代物だよ。光魔法の杖さ」

「へえー、珍しい。封印魔法ではないんだよね?」

「あれは神殿が回収しちまうからね。滅多に手に入んないよ」


 光魔法には封印魔法というものがあり、『魔物の沼』を封じ込める唯一の方法だ。

 まあ池くらいの大きさまでならなんとかなるらしいけど、それ以上になると難しいというか、ほとんど無理なんだとか。

 頑丈な杖じゃないと作れないから量産するにも時間がかかるみたい。作られたものはほとんど神殿が回収して『沼』の封印の際に使うんだとか。

 封印以外の光魔法の杖は極たまに市場で見かけるが、一時的なバインド効果があるとか、その程度の魔法しか見たことがない。


「これは障壁魔法の杖さ。結界魔法とか魔法壁とか防壁魔法とか使い方で呼び名は変わるが、どれも作りは一緒。これは半透明な壁を作り出す魔法の杖だよ」

「へぇ……すごい」


 防御とかに使えるってことかな。強度はどれくらいだろう。

 ……こんなすごい物がこんな店にあるとは。おばあちゃん何者?


「本物?」

「ヒヒヒ、さあねぇ。あたしには光魔法に適性がないからわからないねぇ」


 マジかよ。それじゃあ偽物の可能性もあるのか。

 嘘をついていれば危機察知で悪意として認識されるからわかるんだけど、知らないとなるとな……。

 術式を探ってみても、本来どんな術式が刻まれていれば稼働するのかわかんないから意味ないし。


「お値段は?」

「そうさねぇ……これくらいかねぇ」


 提示された金額に目玉が飛び出そうになる。間違いなく船で個室を選んでいたら買えない金額。手持ちのお金がスッカスカになる。かなりマズイやつ。

 もし偽物だったら目も当てられない。


「随分前からあるんだけどねぇ。本物かもわからないから売れないんだよねぇ」

「でしょうね」


 普通なら買わないわこんなの。私は光属性に適性があるって知っているからいいけど、知らない人は手にすら取らない代物でしょ。


 でもこれ便利よね……ほしい。ちょっと使わせてもらって、使えなかったら返すとか……おばあちゃんにメリットがないな。無理か。


「これくらい貴重な物って他にもある?」

「ないね。これがうちで一番の武器だよ」


 その辺に並んでいるのは、使い道があるのかと問いたくなるような物ばっかりだしな。

 うーん……勉強代だと思って……でも高すぎる……ええい、お金はまた集めればいいでしょ! これが本物だったら絶対買いだもの!


「買う」

「ヒッヒッヒ! 本気かい? 返品は受け付けないよ」

「わかってるよ」


 覚悟を決めて、代金を払って杖を受け取る。

 財布がすっごく軽くなった……。あとで魔物を狩りに行ってこよう。船から降りた後の生活に困る。


「まいどあり~」

「はぁ……」


 財布が軽くなった途端に不安になってくるな……さっそく街の外に行って試してこよう。ダメだったら宿でふて寝か、魔物相手に憂さ晴らしだ。




 港町から少し離れた林の中。人も魔物の気配もないので、ここで試してみよう。


「ふー……本物であってくれ!」


 祈るように杖に魔力を込める。魔力が通っている感じはする。ドンドン込める。めちゃめちゃ吸われる。すごい量の魔力使うねこれ!


「…………できた!!!」


 目の前に歪な丸い半透明の壁が生まれた。魔力を込めるのをやめると、段々と小さくなっていき、そのまま消えていった。


「本物だ……良かった」


 嬉しいとかすごいとかよりも、お金が無駄にならなかったことへの安堵感がすごい。高い買い物だった……。

 お金のことは置いておいて、早速使い方の検証だ。使いこなせるといいけど。




「なんというか、燃費悪いな」


 魔力を結構込めないと発動しない上に、発動を維持させるには魔力を流し続けないといけない。

 大きさと強度は込めた魔力量によるって感じかな。

 強化魔法で殴ったり蹴ったり、剣で斬ってみたり、至近距離で魔法をぶつけてみたり、いろいろやってみたけど燃費悪すぎて疲れてきたわ。

 でも魔法も物理も防いでくれるっていうのは素晴らしいね。魔法が物理に含まれないというのもおかしな話だし、当然といえば当然? とりあえず質量のあるものなら防いでくれそう。


「使えると便利ね」


 これ上に乗れるかな? あ、乗れるじゃん。このまま移動……できる、けど、使う魔力量が増える!

 非常時の担架代わりになるかもしれない。自分が乗るのは練習しないと難しいな。乗って移動できるけど、それだけだからね。無防備にも程がある。


「これ……爆弾に耐えられるかな?」


 タイミングを間違えると障壁の内側で爆発することになるけど。もし耐えてくれるなら、爆弾の威力を少し上げてもいいかもしれない。


「うーん……まあ大丈夫でしょ。強度はかなりの物だし」


 作り出した障壁は剣を弾いたし、魔法をかき消した。これならたぶん大丈夫でしょう。


「よし……さん、にー、いち……ここ!」


 爆弾を生成、前方に投げる。爆弾との距離を間違えないように気を付けながら、魔法壁を張る。


 ドォン!


 いつもより強い威力の爆弾が爆発。これ人が来そうだな。


「おお……耐えたよ」


 魔法壁はびくともしない……こともない。ちょっと欠けてる。もう少し強度を上げれば大丈夫かな。練習しとこう。


「素晴らしい。良い買い物をした。燃費の悪さはこの際目を瞑ろう」


 あとはどれだけこれを自在に使いこなせるかだ。こればっかりは時間がかかりそうだね。


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