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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第3章 修行編
52/212

第52話 購入!

 

「まだ二カ月くらいしか経ってないんだよねぇ」


 学校を卒業してから二カ月くらいしか経ってないのに、また王都に来るとは。そろそろ王都が遠い存在じゃなくなってきたな。


 現在お昼を過ぎたばかり。食べ歩きをしながら街をうろつき、気が付いたら冒険者ギルドが見えていた。

 ちょっと覗いていこうかな。目新しい依頼でもあったら受けてもいいかもしれない。お金を稼げば滞在費用になるし。

 お金はいくらあっても足りない。またドーンと稼ぐ方法ないかな。



 中に入り、壁の依頼書を見る。うーん、特に変わったものはないなぁ。時間が時間だし、仕方ないか。


 宿に戻ったらガリナへ帰る時も護衛依頼を受けるのか、二人と相談しておこう。もしかしたら少し滞在したいとか言い出すかもしれないけど。

 親にはちゃんと言ってきてあるし、少しくらい長く滞在しても問題ない。

 母はともかく、父もだいぶ諦めがついてきたみたいで、比較的簡単に王都行きを了承してくれた。試合に勝たないと旅には出させてもらえないことに変わりはないけど。



 この時間は冒険者が少なくて受付も暇そうなので、前から気になっていたことを受付嬢に聞いてみた。


「そういえば、この辺りに『魔物の沼』ってないんですか?」

「『魔物の沼』でしたら北の方角に大きめのものがありますが、基本的に立ち入り禁止です」


 危険なのと、悪用でもされたら困るのでその付近への立ち入りは禁止だそうだ。定期的に様子を見に行く調査隊が派遣されているそうだけど。

 あそこで修行とか思ってたんだけど、無理か。


「『魔物の沼』が発生している場所は瘴気のようなものが出ていて、長時間滞在すると気分が悪くなるのでやめた方がいいですよ」


 修行の場にいいと思ったのに、なんて呟いたら受付嬢から心配と呆れが半々くらいの表情で言われる。行かないですよ。


「北のもの以外にも存在している可能性はあるので、見つけたら報告してくださいね」

「わかりました」


『沼』の大きさは様々で、『海』になるほどの大きいものから、人一人通れるのがやっとってくらいの小さいものまであるらしい。

『沼』って人間が入っちゃったらどうなるんだろう、気が付かずにドボンとか……ありえそう。




 ギルドから出て、武器屋を見たりしながら時間を潰す。杖を片手に持っていると剣を振るには難しいのよね。

 いっそのことサブウェポンとしてナイフを使うことを考えてもいいかもしれない。切れ味のいいナイフとかも探そう。


 それよりもメインウェポンだ。未だに剣の新しいものは買えていない。身体強化のせいで有耶無耶になっていたけど、ちゃんと考えないと。

 でも正直、私の御眼鏡に適う剣が見つからないのだ。

 思い切ってオーダーメイドの剣を注文するのもありかもしれない。日本刀みたいに……とまではいかずとも、よく斬れる剣なら私の戦闘スタイルにもきっと合うはず。

 いや、まずは片手剣に慣れるところから始めるべきか? 初めて使うのにオーダーメイドはちょっと……パソコン初心者がゲーミングパソコンを買うようなものだと考えると、どうなんだろう。

 いやでも両手剣は使えるし、結局は剣だし……結構違うのかな? 

 うーん、お金がもっとあればお金で解決するのに!


 なんて考えているのに、そんな私の目の前にあるのは杖だ。ハッキリ言おう、杖も欲しい。なんだかんだ遠距離攻撃って便利なんだよね。

 風の中級杖……下級よりも大きな風の刃が飛ぶ。速度も違うし切れ味も違う。完全に上位互換の代物。

 欲しい! 盗賊討伐の報酬金のおかげで買える、手が届く! しかし買ったら所持金が……。

 剣は買えなくなる。それどころか明日からの宿代が危うい。今日の分は払ってあるから、明日の朝から仕事を受けに行けばなんとかなるか……?


 気に入らない剣を買うより、いっそ杖で戦闘をした方がいいのかもしれない。そしてこれを使って冒険者のお仕事をこなして、お金をいっぱい集めて良い剣を買う。

 アリと言えばアリ、かなぁ。


 杖の前で唸っていたら、店主らしき人が話しかけてきた。


「買うのかい? 自慢じゃないが、うちの武器はどれも魔道具ギルドから認可を受けた一級品だよ」


 魔道具ギルドがこのお店の品は本物だと認めていると。魔道具ギルドはそういう仕事もしているのか。確かに大金で偽物掴まされちゃ堪ったもんじゃないしね。信用って大事。

 尚更欲しくなってきた。


「で、どうすんだい?」

「んんんんん……買います!」

「まいどあり!」


 中級の風の杖お買い上げ!

 剣? 次こそは買います!




 食事を買って宿に戻って食べたり休んだりお風呂に入ったり杖を眺めたり……していたら夜になり、レオとフィンレーが帰って来た。所持金は死んだ。

 寝る前に今後の予定を聞いておこう。


「オレはもう少し王都にいて仕事してぇな」

「ボクもせっかく王都まで来たからね。少しぐらいは依頼を受けたい」

「いいんじゃない? 私も少し滞在する予定だし」


 正しくはガリナに帰る資金もないのだが。いや、走れば帰れるけど。

 レオとフィンレーの実力なら王都でも大丈夫だろう。ジャイアントベアーは固いけど……無理をしなければ大丈夫じゃないかな。


「二人で活動してもいいし、王都には冒険者が多いから誰かと組んでみてもいいし……いろいろ試してみたら?」

「リアは別行動なのかい?」


 フィンレーが私を見ながら目を見開く。当然の疑問か。


「私は一人で行動するよ。今までもそうだったし」


 複数人で依頼を受けると評価が等分されちゃうからね。それに人がいると爆弾とか使いづらいし。


「危なくないのかい?」

「平気だよ。魔法も使えるしね」


 新しい杖を手に入れたし!

 その後、いつ頃ガリナへ戻るのか、護衛依頼は受けるのか、宿はどうするかなどの話し合いをし、その日は休んだ。

 お金がないから明日は朝一でギルドだ。



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