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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第2章 王都学校編
33/212

第33話 冒険者パーティ

 今日は久々に冒険者としてのお仕事だ。

 あのイネスターフライにやられたとき以来かな。もうあんなことにはならないように気を引き締めていこう。

 それに、今日は一人ではない。エルシーナさん、セレニアさん、クラリッサさんが一緒だ。


「それじゃあよろしくお願いします」

「うん、よろしくね」

「よろしくお願いします」

「ああ、早速だがリアは前衛と後衛どちらの方が得意だ?」


 前衛と後衛か……正直どっちでもいいけど……。


「剣も魔法も使えますけど、持っている杖が下級のものなのでそんなに強くないですよ」


 今日も風と水の杖を背中に担いで剣を腰に携帯しているスタイルだ。重い。


「そうか。私が魔法使いで、エルシーナが剣で前衛を務めている。クラリッサは回復が主だが普段は私の護衛として鈍器を握っているな」


 鈍器! クラリッサさんが後ろで鈍器を握っているのが見える。金棒かな。結構筋肉鍛えているんだろうな。

 セレニアさんは魔法使いだけど、そんなに筋肉ついてるようには見えないなあ。脱いだらすごいんです、みたいなことがあるのかな。


「バランス良い……ですね?」

「三人だからな。ただ一人崩れたら持ち直し辛い。エルシーナが崩れてクラリッサが回復に当たったら私一人で魔物の相手をすることになる。リアが戦力になってくれるのは素直に助かるんだ」


 セレニアさんって純粋な魔法使いに見えるけど、そんな立ち回りができるのかな。

 どちらにせよ、三人じゃ少ないよね。そうなると私は前衛の方がいいかな? 前衛二人の方が安定するよね。


「ひとまず前衛で戦ってみましょうか」

「そうだな……いや、まずは私たちだけで戦っているところを見せよう」

「おお、見てみたいです」


 ランクC冒険者パーティの実力が見れるんだ。きっと強いんだろう。

 しっかり見て、私がどれくらい強くならないといけないのか確認しないとね。



 ――ぞわり



 お、何か来てるね。これは……ジャイアントベアーかな。

 来る方向を見ながら初戦のことを思い出す。これには苦戦したなあ。

 剣で上手く斬れないんだよね。毛皮が固いんだ。

 最近では多少まともに戦えるようにはなったけど、それでも硬いことに変わりはない。


「来たね」


 エルシーナさんが剣を構える。セレニアさんとクラリッサさんも構えるが、現れたのがジャイアントベアーだったので少し緩む。

 この程度の敵は相手じゃないってことかな。さすがCランク。


「これならエルシーナだけで倒せるだろう」

「もちろん」


 そういってエルシーナさんが跳んだ。

 いやホントに。ジャイアントベアーまでまだ距離があったのに、一足飛びですごい距離が詰まった。

 なにあれ。


「エルシーナは強化魔法を刻んであるんだ」


 セレニアさんが説明してくれる。

 あれが強化魔法か。目で追えないわけじゃないけど、普通じゃ絶対無理な速度出てるよ。

 エルシーナさんはそのままの速度でジャイアントベアーまで近づき、剣で一閃。

 あっさりとジャイアントベアーの首が落ちた。


「すごい……」

「あの剣も切れ味のいいやつだからな。本人の技術もあるが、あれくらいならなんてことはないだろう」


 エルシーナさんの剣は片手剣だ。切れ味もいいみたいだし、私もああいう剣がほしい。

 前衛を務めるなら、あの人と同じくらいには動けないと。

 戦い方を真似なくてもいいだろうが、それならそれで色々考えないといけないな。


「最初のうちはエルシーナさんも強化魔法に慣れず、木にぶつかったりしてケガをして、その度にワタシが回復魔法をかけていたんですよ」

「ちょっと! 余計な事言わないでよ!」

「最初は誰でも上手くいかないものですと教えてあげただけですよ」


 クラリッサさんがニコニコしながらエルシーナさんのエピソードを教えてくれた。戻って来たエルシーナさんは怒っていたが、どうやら慰めてくれていたようだ。


「強化魔法って便利そうでいいですね」

「リアは……その腕だと難しいかもしれないな」

「まあ、そうかなぁとは思ってました」


 すでに魔力回路が腕に刻まれているせいで、少なくとも腕に強化魔法の魔力回路を刻めない。

 下手にいじって壊れでもしたら何が起こるかわからないし。

 魔道具に頼る方法はあるけど、直接肌に刻む方が性能は良い。


「なんでご丁寧に両腕に刻むんだか……」


 左手だけとかなら右手に強化魔法を刻めただろうに。

 私が両手に爆弾持って走り回るような人種に見えたんだろうか。そんな愉快な性格はしてないんだけどなぁ。

 なんて思っていたらビッグボアがこちらに向かって走ってきているのが見えた。


「……私がやろう」


 セレニアさんが結構な大きさの重そうな杖を両手で支えながら、姿が見えたビッグボアに向ける。

 杖の先端についている魔法発動石が輝きだし、たくさんの風の刃が飛び出す。

 周りの草木を巻き込んで、こちらに突っ込んで来ていたビッグボアが瞬く間に細切れになっていく。グロい。


「うわ……」

「ジャイアントベアーもビッグボアもこの辺りじゃそれなりの値段で売れる。解体するぞ」


 セレニアさんが嫌そうな顔をするエルシーナさんとクラリッサさんを無視して急かす。

 まあ放っておくわけにもいかないからね。

 細切れになったビッグボアが果たしていくらで売れるのかは、この際気にしないでおこう。




「はあ!」


 金棒がビッグボアの脳天を直撃! ビッグボアは一撃で沈んだ!

 クラリッサさんが金棒を振り回すとブォンとかいう音がする。あれで強化魔法ついてないの? 強いな。


「カッコイイ」

「そうでしょう! そうでしょう!」

「相変わらずの腕力だな」

「鍛えてますから!」

「体格がまた一段とあれになったよね」

「あ?」


 女性に体格の話はしちゃダメだと思いますよ! めっちゃ怖い顔してるし!




 解体をしながら周囲を警戒、たまに雑談に興じる。


「リア」


 解体を終えたエルシーナさんが話しかけてくる。どうしたのかな?


「なんですか?」

「それ」

「? どれです?」

「その敬語。この前ライラって子には普通に話してたじゃない。わたしたちにも普通に話していいよ?」


 ああー。そういえばそうだったな。確かにこれからずっと敬語っていうのもな……。

 でも恩人で年上だし……いいのかな?


「え、えーっと、いいんですか?」

「私たちは対等な仲間だ。遠慮することはない」

「そうですよ。ワタシのこれは育ちの良さがにじみ出ているからですし」

「クラリッサの育ちが良かったかは置いといて、気にしないから普通に話していいよ?」


 きっとこの三人と対等になるには、私が一歩踏み出さなきゃいけないんだよね。

 エルシーナさんとクラリッサさんがイジったりイジられたりして楽しそうにしているのとか。

 その二人がじゃれ合っていても、いつものことだと呆れているセレニアさんとか。

 そこに私も加わって、楽しそうにしていてもいいんだって言ってくれているんだろう。気を遣わせてしまっただろうか。

 うん。私も楽しもう。誰かと一緒に過ごすことを。


「えへへ……うん。わかった。ありがとう、エルシーナ」

「どういたしまして、リア」


 優しい笑顔を浮かべる三人。うん、この人達の仲間になれて本当によかった。


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