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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第1章 幼女時代編
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第3話 魔法について知る

 それから二年。気づけば六歳になりました。

 この世界での気になることを片っ端から聞いて回った。

 幼子というのはこういうときに便利である。わからないことを聞いたところで、勉強熱心ね、くらいにしか思われない。

 おかげでこの世界のおおよその常識というものはインプットできたと思う。


 この世界には魔法があり、魔物がおり、身分があり、王がいて、騎士がいて、冒険者がいて、ギルドがいくつかあって、エルフやドワーフなんかがいて、勇者と魔王はいないらしい。ちなみに私は人間種だ。

 私の住んでいる街はガリナという名前で、この国コスタヴィータ王国の中ではそれなりに大きな街らしい。街がぐるりと強固な壁で覆われており、魔物が侵入してくることはほとんどない。

 文字に関しては何とかなった。もちろん日本語ではないけれど、何故かちゃんと理解できたのだ。転生特典かな。字の読み書きはばっちりだ。

 環境はまあ悪くない。下水道がちゃんと完備されているらしく、臭いや病気が蔓延っていることはない。治安も表通りなら子供が一人で出歩いても問題ないが、暗くなる前には帰った方がいい。

 生活は前世に比べたら少し不便だが、悪いというほどでもない。水回りや暖房器具などはちゃんとあるし。

 家電というものは存在せず、この世界では魔道具と呼ばれるものがその代わりだ。

 魔石という魔物の体内から取れる結晶が乾電池代わりのようで、それを使ってランタンに灯りをつけたり、お風呂のお湯を沸かしたりするみたいだ。


 冒険者というのは想像通り、雑用から魔物討伐まで幅広く依頼を受ける万屋だ。ギルドという組合で仕事を請け、無事に完了したらギルドで報酬の金銭を受け取るのが大まかな流れだ。

 冒険者にはランクがあり、Gが見習い、Fが駆け出し、Eが半人前、Dが一人前、Cが中堅、B、A、Sが高ランク扱いだ。

 冒険者に登録するとGから始まり、依頼を無事にいくつかこなせたらFに上がる。その上も同様に依頼をいくつか無事に完了すればランクは上がる。

 現在のランクの一つ上までのランクの仕事しか受けられないとか、何度も失敗してるとランクアップが遠ざかるとか、細かい決まり事はあるけれど、まあそれはいいか。


 ちなみにお父さんはCランクなんだって。すごいね。



 そして今日は、そんなお父さんが冒険者として共に活動しているパーティメンバーの人に会う約束をしているのだ。

 理由は単純、魔法について聞いてみたら「それならあいつが詳しいぞ」ってなって、お父さんのお仲間である魔法使いの方に会うことになったのだ。至れり尽くせりである。






 実際に魔法を使うこともあるかもしれない、ということでお父さんと二人で街の外へ。

 門番さんに挨拶をして、初めて街の外に出る。少し遠くに森が見えるくらいで、周りには特段何にもない。人や馬車が通る均された道があるくらいだ。


「お、いたいた。サイラス」


 街から少し離れた場所まで歩いた先に、大きな杖を持ったナイスミドルな男性がいた。




 後から聞いた話だが、この世界の魔法について語ろう。


 魔法というのは、魔力を変換し、大まかに火、水、風、土、光、闇の属性魔法を発現する。特に火、水、風、土は四属性と言われている。

 魔法を発動するのに一番大事なのは、魔力回路と呼ばれる、魔力を魔法へと変換していく魔力の通り道の作りだ。

 魔法を使うには予め杖などに魔力回路を刻み、そこに魔力を通して行使するのが一般的だ。

 杖を握ってそこから魔力を流し込み、先端にある魔法発動石――所謂モーター――と呼ばれる部分が火の玉なんかに変換して放出してくれる。

 剣にも同様に魔力回路を刻み発動石を取り付ければ同じことが可能だ。所謂魔法剣ってやつ。


 より大きく、より強い魔法を行使するには、その分複雑強固な魔力回路になるため、それに耐えうる素材の杖でなければならない。そうでなければ杖が壊れてしまう。

 つまり高位の魔法使いほど大きく強固な杖を持っていたりすることが多い。

 しかし、そんなものを持って移動するというのは結構大変である。素材によってはとても重たくなるので、貧弱では杖を持ち上げるのでさえも難しい。

 つまり、だ。この世界の魔法使いの多くは――



「ガッハッハ! よく来たな!」



 筋骨隆々……筋肉ムキムキのマッチョだったりする。




「はじめまして、リアです。今日はよろしくお願いします」

「おう、サイラスだ。なかなか利口な嬢ちゃんじゃねーか。それと赤ん坊のころに会ったことがあるから初めましてじゃないぞ」

「え、じゃあ、こんにちは?」

「ガッハッハ! おう! こんにちはだ!」


 なかなか豪快な男性である。短髪に髭の生えた渋いおじさんは、お父さんよりも年上のベテラン冒険者だ。

 持っている杖は金属製なのか、見た目からして重量感を感じる。


「今日は時間取ってもらって悪いな」

「いーってことよ。あの赤ん坊がこんなに大きくなるたぁ、月日ってのはあっという間だな」


 赤ん坊のころに会ったことがあるみたいだが、流石に覚えていない。


「魔法について知りたいらしいな。いろいろ知りたいだろうが、まずは見せてやろう」


 そう言って袋から小さめの杖を取り出し、何もない平地に向かって構える。


「前に出るんじゃねーぞ? 危ないからな」

「はい」


 この世界に来て初めて魔法というものを見れる。何だかドキドキする。

 サイラスさんの持っている小型杖の先端部分が輝きだし、そこから小さな火の玉が飛び出した。目で追えるくらいの速さで飛んで行った火球は、徐々に小さくなっていき、十数メートルほど飛んだ先で消失した。


「お~」

「これが魔法だ。どうだ?」

「すごい!」

「ガッハッハ! そうだろうそうだろう!」


 いやはや、本当にすごい。まさにファンタジー。語彙力が死ぬレベル。

 前世だって火炎放射器とかあるけどさ、なんていうか、また違う感動があるよね。杖っていうのもイメージ通りでいいよね。

 その後、先ほどのこの世界の魔法についての仕組みをサイラスさんが教えてくれた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ははは! 健康な体、健康な心! 私はこの魔法のシステムが好きです、それは電気とプログラミングにうまく関係しています。 論理と感覚、そして世界がどのように機能するかを見るのは本当に良いことで…
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