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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第2章 王都学校編
22/212

第22話 学校生活スタート

 王都に来て数日、今日からようやく学校が始まった。

『魔道開発専門学校』というそのまんまな名前の学校に入る。

 敷地内にあるドーム型の大きな建物は訓練場になっていて、そこで入学式が行われる。

 この訓練場というのは、戦闘訓練ではなく、作った魔法や魔道具の試運転をするための場所として使われているらしい。


 別に順序良く並ぶとかもないので、ライラと一緒に並べられた椅子の適当なところに座る。


「生徒ってそんなに多くないんだね」

「そうだねー。毎年八十人前後って聞いたかな」


 そんなもんか。しかもやっぱり年上が多いみたいだし、女性は少ない。三十人もいないんじゃないかな。

 ちなみに寮には私含めて五人だけだ。

 必ず寮に入らなければいけないわけではなく、私みたいな王都に家がない人なんかが利用するだけなので、私たち五人以外の女性はみんな王都に実家があったりするわけだ。


 やっぱりこういう魔道具とかって男性の方が好きな人が多いのかな。それとも単純に環境の違いとかかな。私は勉強さえできればなんでもいいけど。

 校内は結構広く感じていたのだが、どうやら卒業生の一部が研究室として使っているらしく、教室自体はそんなに多くないみたい。


 しばらくすると時間になったのか、初老の男性が今日のために用意されたらしい簡易な作りでできた壇上に上がった。


「みなさん。入学おめでとう。私がこの『魔道開発専門学校』の校長だ。この学校では魔法と魔道具を創り出すための知識を学んでもらう。原理を知り、仕組みをしり、そして自分で創り出す。それができる段階までたどり着いてからが本当の始まりだ。途中で躓いてしまっても、努力することを諦めなければ我々は手を貸そう。そうでなければ去るがいい。卒業の日に、ここにいる顔ぶれが変わっていないことを祈る」


 言い終えた校長先生は壇上を下りていく。簡潔でいいね。前世の長ったらしいお話とは大違いだ。

 魔法を創る。そこまでいって初めてスタートラインに立てると。うん。やる気が出てきた。



 その後教室に案内された。ライラとは同じクラスだ。

 このクラスにいるのは比較的若い人達ばかりなので、大まかに年齢別でクラスが分けられていると考えていいだろう。

 それでもみんな私よりは年上みたいだけどね。十代前半って私とライラくらいじゃないかな。

 同い年じゃない人達がクラスメイトっていうのはちょっと新鮮かも。


 担任の自己紹介と、私たちの自己紹介を軽く行い、一年間の大まかな流れを説明される。


 一年の前半はとにかく知識を詰め込む。

 卒業までに魔道具の一つなり、杖の一本なり作り出さないと卒業資格を得られない。学校を辞めたくなったらいつでも辞めていいと。

 毎年ついていけなくて辞めてしまう人が何人かいるらしい。そんなに難しいのかな。不安を煽るねぇ。


 この世界には魔道具ギルドというのがあり、そこで魔道具の作成方法を売ることができる。

 卒業課題が画期的なものであった場合ギルドが購入してくれることもあるんだとか。もちろん売らないという選択肢もあるが。

 魔道具ギルドは売れそうと思われる魔道具には大枚をはたいて買い取ってくれるらしいので、それで一攫千金を狙う人も多いんだとか。夢のあるお話だね。

 同じように魔法関係のギルドもあるけど、そっちはいろいろ規約が多いから魔道具ギルドみたいに一攫千金を狙うのは難しいらしい。



 次の日から順調に授業が進められていった。

 予習していたのもあって、ついていけなくなるほどの難しさではない。

 前世の時のように授業中に騒ぐ人がいるわけでもないし、周りにはやる気のある人達ばかり。集中できていいね。


 魔力回路は前世の電気回路のようなイメージだ。

 電源が魔石又は魔力、そこから魔法発動石まで線を引くように刻んで、魔力の通り道を作ることを術式と呼ぶ。

 発動石の部分が魔道具に変わることもある。プロペラとか、灯りとかね。

 この術式にはたくさんの種類があり、それを覚えるのがこの学校での目的だ。


 術式は、見たことない言語で呪文みたいなのが書かれた文字の羅列のような……正直説明しようがないな。

 通常の言語ではないみたいだけど。プログラミングみたいなもんかね。

 あれ前世で独学で勉強してたけど、途中で挫折したのよね。そう考えると、こうやって学校で学べるのは挫折しにくくていいかもしれない。




「ここは熱を出す術式だよね。こっちは?」

「確か……放熱を抑えるやつだったかな」

「持ち手だからかなぁ」

「そうかも、難しいね」


 学校には週に一回だけ休日がある。

 その日はライラと一緒に勉強したり、冒険者として活動したりと忙しい。おかげであっという間に月日が過ぎてしまう。

 授業のレベルはどんどん上がっていき、出される課題に四苦八苦する日々だ。


「でもやっぱり面白い」

「わかる。早く自分で魔法を創ってみたいな」


 魔法を創るのはまだまだ先だけど、その日はきっと遠くない。楽しみだ。




 今日は街の外に来ている。

 使えれば便利、でも危険。ハイリスクハイリターンな力、爆弾を生成する能力。最近の休みはもっぱらこれの検証だ。

 これも魔力回路で作られている。いつかはどのような作りなのか調べてみたいところだが、現状ではまだ知識も力も足りていないので無理だ。


 とりあえずは、これを戦闘に使えるかの検証をしている。

 生成して数秒で爆発するせいであまり強力なものは作れないけど……。


 バァン!


「ギャウ!!」

「ウルフやゴブリン程度にならそんなに強力にする必要はなし、相手の顔近くで生成して置いてくる感じで離脱。まあ弱い相手なら平気かな」


 そんな弱い相手に使う必要は全くないんだけどね。剣や魔法の方が綺麗に殺せるし。

 ジャイアントベアー辺りだとどうかな。あれ以来一度も会えてないんだけど。会えたら試してみようかな。


「音が響くのがね……消音効果でもつけられればいいのに」


 一回使ったら移動しないと、怪しまれたり魔物が寄ってきたりと面倒になる。

 今日はこれくらいにして次の休みにまた検証に来ようかな。体力使いすぎると勉強に支障が出る。


 一人になればやりたかったことが全部できる。それでも時間がいくらあっても足りない。

 もっと冒険者として活動したいし、魔力回路の勉強もしたいし、せっかくできた友人と親睦を深めもしたい。

 一年しかないのが勿体ないよ。


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