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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第6章 中央大陸・ものつくり編
210/212

第209話 新たな依頼

昨日から投稿を再開しております

 

「……と、言うわけで依頼請けてくれる?」


 今私たちは冒険者ギルドのギルドマスターの部屋で、依頼を請けるようお願いされている。

 内容はもちろん、結構前に調査されていると言っていたエルフ失踪事件に関してのものだ。


 あの殺気のことがあるからあまり気は進まないけど、あの日以来何の変化もないというのも事実。

 不安が大きいけど、やっぱり多少はこちらから動かないと。対処のしようもないから。


「何か進展があったのか?」

「元々エルフが帰ってこないという話が何度か上がって来ていたんだけど……」


 ギルドマスターであるアイラさんから今回の事件について詳しく話を聞く。


 数ヶ月ほど前からエルフたちが依頼などで出かけた際に、戻って来ないという情報が入って来ていた。

 彼らの請けた依頼内容は様々だけど、場所はこの街から離れたところにある森で行うものばかりだったそう。

 しかし、目撃証言もなくエルフ以外は普通に戻って来ていることから事件性があるのかどうかもよくわからない。

 一応捜索も行われていたけれど、広い森の中をやみくもに探し回ったところで何か成果を得られるわけも無く。


 そんな状態のまま時間だけが過ぎていった。


 その後、エルフ、人間、ドワーフの混合冒険者パーティが例の森に向かった。

 そこの奥で、ローブで外見を隠した連中にそのパーティが襲われたことから事件が発覚したそうだ。

 エルフは捕まり、人間は殺され、ドワーフは殺されそうになったところを命からがら逃げ出してきたそうだ。


 そのドワーフのおかげでエルフを攫う悪人どもがいることがわかり、エルフと犯人を捜すために調査隊を出したそうだ。しかしながら。


「エルフじゃないと怪しい連中は姿を見せてくれないみたいなのよ」

「それで私達に、か」


 大方の予想通りだね。

 でも思っていたよりもその怪しい人達は手強いみたいだ。襲われた混合パーティもそれなりの実力者たちだったみたいだし。

 久々のゴーレム討伐以外の仕事になるね。


「お願いしたいのは攫われたエルフたちの行方ね」


 生きていれば連れ帰る、死んでいれば死体の一部とか持ち物とか、そういった本人確認できるものが望ましいとのこと。

 正直、生きている可能性は低い。でも生け捕りしていったみたいだから、もしかしたら生きている状態で見つかるかもしれない。早めに見つかればいいけど。


 怪しい連中に関しては情報第一、身柄を拘束できれば一番良いとのこと。でもエルフの方が優先みたいだね。


 依頼内容を確認できたら報酬も提示される。なかなかいい金額。その分危険も大きそうだけど。


「いいだろう。依頼を請ける」

「お願いね」


 どちらにせよ依頼を請けないという選択肢はない。

 話は終わったので、準備をしてさっさと向かうことになった。



「リア、体調は平気?」

「別に普通」


 例の森の手前で小休止をとっていると、エルシーナが私のことを気にかけてくれる。

 が、別に普通だ。良くも悪くもない。


 何故こんなにも心配されているかと言うと、事の始まりは殺気を向けられた次の日。エルシーナと二人で神殿に行った日からだ。


 女神様に敵対視されてしまったのかと思った私は、すぐに神殿へと向かい女神様に祈った。

 女神像の前で膝をつき、何度も何度も話しかけた。どれくらいの時間話しかけたかわからない。20分くらい? 30分くらい? いやもっとか?



 こなかった。



 数十分話しかけたが、女神様から一度も返事は来なかった。

 話しかけても何の反応もなく、時間が経つにつれて不安感に潰されてしまいそうになった。


 女神様だって忙しい。私みたいなちっぽけな人間一人にそう何度も構っていられない。返事が来なかった理由なんていくらでも挙げられるし、その可能性の方がずっと高い。


 それでも。女神様には数える程度しか話しかけていないけれど。毎回必ず返事が来ていたのだ。間があくことだってなかった。


 一番大事な、一番返事が欲しいときに何の反応もなかった。


 これで不安になるなと言う方が無理。その日は一日中不安のあまり寝込んでしまった。

 両親からもらったお守りの小さな灯火が、私と女神様の確かな繋がりだと信じて、縋るように握りしめ続けて心の安寧を保った。



 あの殺気は女神様から直接向けられたわけではないはずだけど、それに近しい存在からのものかもしれない。そんな考えが消えなくて。


 思考がいつまでもぐるぐるしてしまい、どうしたらいいのか分からなかったけど……もう諦めた。


 女神様が殺しに来ているというのなら、潔くそれを待とう。女神様に命を貰ったんだから、奪うのだって女神様の自由だ。


 可能ならば、他人に迷惑がかからなければいいなと思う。


 そんな精神状態でいる私を見て、エルシーナたちはなんとなく不安やら何やらを感じているみたいだ。もちろん、私の口からは何も言っていないのだけど。

 普通に過ごしているはずなんだけどな。


「暗くなる前に手がかりが見つかるといいね」

「そうですね。この森の中で一晩過ごす気にはなれないですから」


 深く追求されるのも嫌なので、話題を変える。こちらの方が大事な話だ。

 明るいうちに森の中を探索できるよう時間を合わせて来た。エルフを狙っているのならきっとこの三人も標的にされるはず。

 そうすれば危機察知にも反応して犯人共と接触できる。手強い相手らしいけど、不意打ちでなければ後れを取ることもないだろう。


「なら、さっさと行くぞ。全員油断はしないように」


 セレニアの一言で小休止は終わり、森の中へと入っていく。

 気合を入れて、行こう。


感想など全て目を通しております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新再開ありがとうございます! 嬉しくなって思わず最初から全部読み返してしまいました……!
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