第208話 どうしたらいいのか<エルシーナ視点>
大変遅くなりましたが続きです!
エルシーナ視点になります。
あらすじは不穏な事件、危機察知に反応する不審な人物の存在が出てきたところです。
危険が迫っているかもしれない。大事な大事なあの子に。
だから手の届く場所にいてほしいし、むやみに出歩いてほしくない。
「ちょっと行きたいところがあるんだけど」
なのに、リアはどこかに出かけようとしている。不安じゃないのかな。
明け方頃だってうなされて気分も悪そうだったのに。
「どこにだ?」
「神殿」
「あんまり出かけない方がいいと思いますが」
「わかってるけど、ここだけは行きたいの」
リアってそんなに信心深かったのかな。北の大陸にある大神殿にも行きたがっていたし。
そういうのは人それぞれだから別に構わないけど、時と場合を……いや、むしろ不安だからこそ行きたいのかも。
そう考えると、行きたいのを止めるのも可哀想かな。
「んー……じゃあ、一緒に行こっか」
「ごめんね。ありがとう」
申し訳なさそうにしながら言われるが、行くのを止める気は無さそう。
さすがに全員で行くのもどうかと言うことで、リアと二人で行くことに。寄り道せずに真っすぐ帰ってこよう。
「適当に待ってて」
神殿の中に入るや否や、リアはわたしにそう言い残して離れていく。
神殿内部はどこも似たような作りをしていて、長椅子がいくつも置いてある。わたしはそこに座ったけど、リアは女神像の前まで行って膝をついて祈っているのが見えた。
椅子に座っているからどうとか、膝をついてるからどうとかはないけど……やっぱりリアはそれなりに信心深いみたい。もしかしたら長くなるかもしれないけど、仕方ないか。
リアって女神の加護が宿ったお守りを持ってるんだよね。
敬虔な信者だから貰えたのか、貰ったから信者になったのか……帰ったらどうしてそんなに女神を崇拝してるのか聞いてみようかな?
そういえば女神から授けられるものに祝福っていうのもあるんだっけ。それも持ってたりして。持ってたとしたら、確かにリアは女神に愛されてるね。
それからどれくらい時間が経ったか。
数十分程度微動だにせず祈り続けていたリアだったけど、ゆっくりと立ち上がって出口の方へと歩き出した。わたしも椅子から立ち上がり出口付近でリアを待つ。
リアは俯いたまま歩いてきて、とても不安を晴らすために祈っていたようには見えないほど、暗い雰囲気をまとっている。
「リア」
「お待たせ。帰ろっか」
何か声をかけようかと思って名前を呼んだけど、それを遮るように話しかけられる。どうしたんだろう。あんまり顔色が良くない。
神殿を一緒に出て家に向かうけど、リアは何か考え込んでいるみたいで話しかけるのも気後れしてしまう。
特に会話もできないまま家までたどり着く。街中を歩いていても変わったことはなかったし、怪しい人物が後をついてくるなんてこともなかった。
リアの話を疑うなんてことはないけど、こうも何もないと対処のしようもない。
「ただいま」
家に入ると、リアは挨拶もそこそこに寝室へと向かった。本当に、どうしちゃったんだろう。
「何かあったのか?」
リビングに行くとセレニアに声をかけられる。本を読んでいたクラリッサも顔を上げてこちらを見ている。
「神殿でお祈りしただけで、他には何にもなかったよ」
本当にお祈りしただけなんだよね。
悪い夢を見たのを思い出しちゃったのか、狙われているかもしれないのが不安なのか……リアの様子がおかしい理由は、正直わからない。
「不安なのかもしれませんね。しばらくそっとしておきましょう」
「ああ。それより今後の方針だが」
その後、今後どうするか三人で話し合ったけど良い案は特に浮かばなかった。
とりあえずギルドから情報を得ていくなどの地道な活動をすることになりそう。
「リアしか気が付けなかったことだ。それ故にあまり派手に動くのもな……」
Bランク冒険者のわたしたちの行動は、監視されているわけじゃないけど割と把握されていることが多い。
隙を見せるという言い方はアレだけど、あまり困っている姿を晒すのはよくない。
わたしたちにもわからないことばかりだし、行動は慎重に行っていく方が安全だと思う。
「リア頼みなところも多いのだが……本人の様子が良くなさそうだな」
「祈りに行っただけなんですよね?」
「そうだね。それ以外何もしてないよ」
祈りを捧げて顔色が悪くなる人なんているの? いや、いたんだけども。かと言って何かを聞き出すのもね……。
ひとまずはいろいろと様子見ってことくらいしかできないかな。リアが元気になってくれるといいけど。
半年くらい更新してなかったの本当に申し訳ございませんでした。
ひとまず書けている分だけ投稿していきたいと思います。
滞っているときに、更新を楽しみにしていると言ってくださった方々、とても嬉しかったです。ありがとうございます。




