第203話 いつか必ず
腕の分析が終わったらガリナに戻って、その後またここで脚の分析。今後の大まかな予定はこんな感じかな。
早く分析し終えて爆弾を効率的に使いこなしたいね。私の戦闘力が上がると思う。
戦闘力は上がれば上がるほど良いことだから、今後の時間の大半を腕の分析に当てていこう。
「リアはどこか、ガリナに帰る以外で行きたいところある?」
「そうだなぁ」
行きたいところか……特に考えてはいないけど、あえて言うならあそこかなぁ。
「北の大陸にはいつか行きたいかな」
「ええ? なんで?」
「北の大陸はこことは真逆で、かなり暮らしにくい場所と聞いてますが」
そう、北の大陸。
一年の半分以上が寒さの厳しい冬であり、大きな『魔物の海』が存在している大陸。
北の大陸にある『魔物の海』は、世界で一番危険な『魔物の沼』だ。
普段からドラゴンなどの大型で強大な魔物が生まれていると言われており、北の大陸に足を踏み入れるには許可が必要なこともあるとか。
北の大陸にも街はあるけど、普通の人は余程の用が無ければ北の大陸自体に行くことなんてない、そんな超危険な場所。
なんで私がそんな場所に行きたいかと言うと。
「大神殿があそこにあるんでしょ?」
各街に存在している女神様を崇める場所、神殿。その大本である大神殿がよりによって北の大陸にあるのだ。
唯一神である女神様を信仰する信者はそれなりに存在する。
そういった人達が北の大陸にある大神殿を目指すので、どんなに危険でも北の大陸に向かう人が途切れることは無い。
その人たちにとっては、余程の用ってわけだ。
「リアってそんなに信心深かったの?」
「んー……私は女神様に愛されているからね」
女神様に愛されているから。だから一度くらいは見に行くべきだと思う。
なんだかんだ言う時はあるけど、それでも今の人生があるのは女神様のおかげだからね。感謝はしているんだよ。
女神様のお膝元が北の大陸だというのなら、いつかはそこで祈らないと、ね。
「確かに、リアは女神に愛されているな」
「その石にも加護が宿っているんでしたね」
「うん」
成人に祝いに両親から届いた鉱石。これには女神様の加護が宿っている……らしい。
そういえば結局お礼に行ってないな。今度行ってこないと。
「何故そんなに愛されているのでしょう?」
「さあねぇ」
他の人からしたら不思議でしょうがないかもしれないけど、私にとっても不思議なのよね。
前世で爆死したから。勇敢だったから。たったそれだけでここまで愛されているっていうのも謎。
一体何が女神様の琴線に触れたんだか。
「でも北の大陸は危なすぎるよ」
「もちろんすぐにじゃないよ。いつかね」
エルシーナが眉を寄せて難色を示してくる。
さすがの私もすぐに行く気はない。最低でもアイアンゴーレムを軽く倒せるようにならないと話にもならないだろう。
なにせドラゴンが出る大陸なんだから。
「みんなドラゴンと戦ったことある?」
「さすがにないよ」
「北の大陸以外の場所ではあまり見ないからな。そんな機会はそう簡単に訪れないさ」
「そっか」
たまーに北の大陸からドラゴンが飛んでくることはあるらしいけど、討伐の依頼が出るとしたらAランク以上の冒険者だろう。
Bランクになったばかりのこの人たちに依頼が来ることはないから、経験も無くて当然か。
でも北の大陸に行けば機会が来ちゃったりするのかな?
うん、やっぱりもう少し先かな。行くとしても。
「北の大陸は強くなったら行きたいってことで。それ以外だと……特に思い浮かばないかも」
大神殿以外にいきたいところは今のところ思い浮かばないな。もう少し世界について調べてみて、興味をそそりそうな場所を探してみてもいいかもしれない。
……エルフの国を見に行ってみたい、なんて言葉は口が裂けても言えないけどね。でもいつかは行ってみたいな。
その時はこの三人とは別行動だろうけど、エルフという美形揃いの国を一度くらいは拝んでおきたい。
ガリナに帰るときにコッソリ寄ってこようかな……?
少し執筆が滞っているので、もしかしたら投稿が遅くなるかもしれません。




