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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第6章 中央大陸・ものつくり編
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第189話 ゲームをしようⅡ

 神殿から家に帰り、作業部屋に入る。

 部屋には机と椅子のセットが二組、それぞれ壁に向かって置かれている。片方がセレニア、もう一つが私のだ。


 普段はお互い背中合わせに作業をしているけれど、腕の魔力回路の分析などは部屋の空きスペースに長椅子を用意して行っている。

 他にも必要があれば大きめのテーブルなども用意がある。使わない時は部屋が狭くなるから魔道袋の中に仕舞うけど。


「帰ったのか」

「ただいま」


 部屋の中ではセレニアが机に向かっていた。

 私を見て顔を上げたセレニアに返事をして、自分の作業机に向かう。椅子に座って背もたれにしばらく寄りかかった後、椅子ごとセレニアの方を向いて口を開く。


「お話があります」

「リアの話は聞くたびに心労が溜まるんだが……真剣な話なんだな。聞こう」


 うんまあ、多大なご迷惑をかけている自覚はある。椅子ごとこちらを向いてくれたセレニアに、女神様から聞かされた話をしよう。


 とは言っても、全て話すつもりはない。

 魔力が全て無くなると気絶すること、身体に起きる異常はほぼ魔力枯渇の症状だと思っていいってことだけを伝えた。


 魔力袋に区切りがしてあるとかは話していない。頭痛の原因とかもね。

 話しても仕方がないし、正直どこまで話していいかわかんないのよね。女神様のことが話せないから。

 詳しく話そうとするといろいろと口を滑らしそうだから、やめておく。


「はぁ~……」


 その話を聞いたセレニアは滅多に聞くことができないほどの大きな溜息を吐いた。デカすぎる溜息に苦笑いしかできない。


「詳しいことは言えないんだな」

「うん。ごめんね」

「まあ、それは構わん。聞かされた内容も特に問題はないだろう。魔力枯渇になったら危険だというのは誰しも同じだからな」

「それもそうだね」


 魔力枯渇になったら身体に異変が起きる。これはみんな同じだ。程度の具合が違うだけで。

 私は少し他の人より酷いってだけ。その分魔力は多いけど。


「頭痛が起きたら魔力が無くなった証だとしておこう。他人には魔力量が多いと感じられるかもしれないが、それでもエルフ並みなら誤魔化しようはある」

「うん。頭痛が起きたら動きが鈍るし、使い過ぎないように気を付けるね」


 戦闘中に魔力が無くなって完全なお荷物状態に……なんてことが起きないように、魔力配分には十分注意しよう。

 今まで四人で戦闘している時に魔力が無くなったことはなかったから、大丈夫だと思うけど。

 後でエルシーナとクラリッサにも同じように説明しておこう。


「まったく、この短時間で一体何をしてきたんだか」

「あはは……」

「あまり変なことをすると、またエルシーナが怒るぞ」

「エルシーナって過保護だよねぇ。危ないことはしてないから大丈夫、大丈夫。」


 そう言うと、またも大きめの溜息を吐かれる。ホントに危ないことはしてないんだって。


「エルシーナが過保護かどうかは……過保護だな。リア限定だとは思うが」

「そうなの? ああでも年下なんて私しかいないんだから当たり前か」

「……そうだな」

「どうかした?」

「いや」


 何故か遠い目になったセレニアを不思議に思って聞いてみたけど、何も答えてはくれなかった。

 よくわかんないけど、教えてくれそうにないので気にしないことにしよう。


 ひとまず私の魔力に関することはこれでひと段落かな。

 実験中はだいぶお世話になったのに、詳しいことを何も話せないのは心苦しいけど。


 よし。お詫びにもならないけど、さっき受け取ってきたこれを使おうかな。

 話が終わったら遊ぼうと思っていたんだ。


「ね、新しい遊び道具ができたから遊ぼう」


 ついに完成しました、トランプです!

 魔道袋から取り出してセレニアに見せつける。


「この前言っていたやつか。リバーシとは別の物か?」

「そう。これはねー、四人でも遊べるからみんなでやろう」

「ほう」


 遊び道具ではあるけど、知らないものには興味津々な様子。好奇心旺盛だよね。

 リバーシのときも散々遊んだけど、たまにはこういう時間もいいでしょう。


 早速作業部屋から出てリビングへ。エルシーナとクラリッサも呼んでテーブルにつく。


「新しい遊び道具です! やろう」

「カード? 数字が書いてあるね」


 ちゃんとケース付きで注文をしたので、それから取り出してトランプを広げる。

 こう、横にダーって崩しながら広げていくやつ。あれで広げてみました。ちょいちょい重なって数字が見えないのはあるある。

 トランプの材質も見た目もいい感じに仕上がっていて最高の出来栄えだね。


 何からやろう。定番のババ抜き? それとも神経衰弱かな。

 カード自体の説明もしないといけないし、手札の見えないババ抜きより神経衰弱の方がいいかも。


「じゃあ……試しに一つ遊んでみましょうかね」


 まずはシャッフル。綺麗に順番通りに並んでいるのでよーく混ぜる。そしてテーブルに裏返しのまま並べていく。全部できたらルール説明だ。


「やり方は簡単。二枚めくって同じ数字が出たら、その二枚を自分の物に。順番にやっていって場にカードが無くなったら終了。カードを多く手に入れた人の勝ち」

「同じ数字じゃなかったら?」

「元通り裏返してそのまま。だから前にめくられたカードの位置と数字を覚えておく、記憶力の試される遊びだよ」


 場のカードを見ながら頷いている三人。どうやらルールは理解できたみたいだ。細かいルールはやりながら説明しよう。まずは遊んでみないとね。


「じゃ、とりあえずやってみようか」


 私からめくり始めてスタート。



「うー、3組しか取れなかった」

「6組ですね」

「んーと、9組かな」

「私も9組だ。リアと私で同率だな」


 ジョーカーも説明のために二枚入れていたので全部で54枚だ。

 私とセレニアで同率一位。三位クラリッサ、四位がエルシーナだ。結構運が絡むこともあるからオセロのようにはいかない。



「みんな物覚え早いね。このカードでいろんな遊びができるから、慣れてきたらいろいろやってみようか」

「他にもあるんだ。そういえば今やった遊びに名前はあるの?」


 ああ、これの名前ね。言ってなかったね。


「神経衰弱」

「ん?」

「神経衰弱」

「……ずいぶん変わった名前だね」

「まあ、まあ、まあ。次行きましょう。ババ抜きしよっか」

「また変な名前だね」


 トランプの定番ゲームって変な名前多くない? 私が考えたわけじゃないんだけど。そんな、変なものを見るような目でこっちを見ないで。


神経衰弱の時ってジョーカー入れなさそうだけど、今回は入れてあります。数字と同じ扱いです。



魔力量がわかりにくい感じだったので、大まかにですが書いてみました。


魔法使いの人間種 < リア(本魔力) = 一般エルフ ≦ セレニア < リア(全魔力)



セレニアは一般エルフ(エルシーナやクラリッサ)より少し多い。

リアが通常魔法に使う魔力量は一般エルフの持つ魔力量と同じくらい。それと危機察知に使う魔力を合計するとエルフやセレニアよりもずっと多くなる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] セレニアとの同好の士といった感じの仲が好きです。魔法や技術話から新しい戦い方やアイテムが出来上がるのが楽しみです。 [気になる点] つまり結局通常使える魔力量的にはエルフ以下なんですかね。…
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