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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第6章 中央大陸・ものつくり編
188/212

第187話 中途半端な結果

 頭痛が治まり、やっと動けるようになった。

 危機察知が反応しているかも試したいけど、魔力がどうなったかも調べたい。頭痛が起きても障壁自体は作れたのだし、魔力はまだ残っているはずだ。


「それじゃあ検証の再開といくか」

「うん、お願いします」


 先ほどと同じように障壁魔法を使用し、セレニアに魔法を使ってもらう。

 すると、危機察知も元に戻っていることがわかった。魔法も問題なく使えるし、頭痛も起きない。

 さっきまでのは一体なんだったんだろうか。


「大丈夫そう。どんどんいこう」

「ああ」



 魔力の残量を調べる実験を続けてしばらく経った頃。


「はあ……まだなのか? 私の方が先に魔力が無くなるぞ」

「え、平気だけど……」


 なんとセレニアが先にバテ始めた。さすがに肩で息はしていないけど、膝に手を置いて見るからに疲れている様子だ。


「リア魔力多いね」

「セレニアさんより多いということになりますね」

「確かに」


 魔法を使い始めたのはほぼ同時。それなのに私はまだ魔力に限界を感じていない。

 セレニアはエルフの中でも上位クラスの魔力量を保有している。それよりも多いとなると、かなり多いどころじゃないな。


 昔サイラス先生に魔法が使えるほど魔力があるか調べてもらった。あれは大まかにしか調べられないけど、その時に魔力量が多い、エルフ並みだと言われたのを覚えている。でもまさかエルフよりも多いとは。


「エルフよりも魔力の多い人間種っているの?」

「知らん」


 エルシーナがセレニアに尋ねているけど、セレニアも知らないらしい。疲れて投げやりになってない?


 まあ、どうせ女神様がくれたんでしょうね。確か戦うための魔法力をもらったはずだもの。


 全属性の魔法に対して適性があり、魔力の操作もなかなか。でも魔力の量がエルフ並みなんて、女神様にしては中途半端だなぁと思っていたからね。

 前世で短命だったから今世では不老不死にしちゃうような方だし、莫大な魔力くらい渡されているとしても不思議じゃない。

 人の身に余るような量じゃないことを祈る。


 そう考えるとこの実験、適当なところで終わらせておかないと変に思われるかもしれない。すでに遅いかもしれないけど。


「まあ、まあ、そろそろ終わるんじゃないかな」

「そうですね、じゃあ交代して続けてみましょうか。ワタシじゃ難しいので、エルシーナさんがやってみては?」


 確かにクラリッサって水の魔法と回復魔法しか使えないから障壁を破壊するのは無理かも。

 エルシーナだと……物理で殴るってことか。身体強化を使えば可能かな。


「いいけど、殴ればいいの?」

「壊れればいいから、なんでも」

「剣で斬ってもいいぞ」


 先ほどまでエルシーナがいた観戦位置にセレニアが移動し、エルシーナが私の前に立つ。

 手だと痛いだろうから、剣の方が良いかな。エルシーナもそう思ったようで剣を取り出している。


「それじゃあいくよ」

「いつでもどうぞ」


 剣を構えたエルシーナの前で、私も障壁魔法の杖を構えた。エルシーナの剣に耐えられるかな。


「はっ!」


 掛け声と共に振り下ろされた剣は、先ほどまでと同等の魔力を込めた障壁をいとも容易く砕いた。


「おお、さすがだね。どんどんどうぞ」

「はいはい」


 次々と作り出していく障壁を全て壊される。これはさっきよりも早く魔力を消費するな。程よいところで終わりにしないと怪しまれるかも。



 検証を続けてしばらく。

 結構な時間が経ったけど未だに終わりが見えない魔力に不審がられないよう、そろそろ終わりにしようかと思ったところで、エルシーナが手を止めた。


「どうしたの?」

「その……そろそろやめない?」

「疲れちゃった?」

「自覚ないの? リア目が真っ赤だよ」

「え」


 目が赤い? 確かに少しショボショボするけど、特に何ともないなぁ。

 でもエルシーナが手を止めるほどなので、鏡を取り出して状態を確かめてみる。


「うわっ」


 鏡を覗くと、今にも血が流れるんじゃないかと思う程真っ赤に染まった自分の目が映った。


「見せてみろ」


 いつの間にか近くに来ていたセレニアが私の顔を掴んで自分の方向に無理矢理向ける。もう少し手加減して。


「これは酷いな。痛みはないのか」

「特に何も。ショボショボするなーって程度」

「クラリッサ、回復魔法を使ってみてくれ」


 クラリッサも近寄ってきて、回復魔法をかけてくれる。でも私を見下ろしている三人の表情を見るに、回復はしていないようだ。


「検証は終了だ。帰るぞ」

「はーい……わっ」

「ちょ、大丈夫!?」


 セレニアの言葉で帰路に就くことが決定。そう遠くない位置に見えるニカールカまで歩こうとした瞬間、膝から力が抜けて転びかける。

 とっさにエルシーナが支えてくれたおかげで転ばずに済んだけど……なんだ今の。


「どうしたの?」

「いや別に……何ともないんだけど」


 脚に……というか、身体に力が入らない感じ? あとなんだか眠くなってきた。やっぱり疲れたのかな。

 何が起きているかさっぱりわかんないけど、魔力を使いすぎた結果こうなっているのか?


「歩けるか?」

「背負ってもいいよ?」

「うーん……大丈夫、かな」


 試しに一歩進んでみると、ちゃんと立てたし歩ける。相変わらず身体から力が抜けたような感じがするけど、歩くくらいはできそうだ。だからエルシーナの申し出は断っておいた。


「帰ったら休んだ方がいいですね。自覚がないだけで魔力枯渇かもしれませんし」

「なるほど、そういう可能性はある」


 あり得ない話じゃない。この身体は新しいことを始める度に新しい発見があるからね。なんとも不思議で不便な身体だよ。早く帰って休もう。

 ゆっくりだけど、街に向かって歩き始めた。


章分けするの忘れたまま一月も経ってました…


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