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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第6章 中央大陸・ものつくり編
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第184話 遊び道具

「ひまー!」


 突然エルシーナが叫びだす。

 朝のトレーニングを済ませ、朝食も食べ終わり、さあ魔道具作りでもしようかなと思ったところでだ。


「どうしたの」

「暇なんだよぉ。毎日毎日ゴーレム狩るか、身体動かすか、本を読むかくらいしかすることないんだもん」


 あー。確かにエルシーナは特にこれといった趣味を持ってないもんね。

 私やセレニアは魔道具作りをしてれば時間なんてあっという間に過ぎるし、クラリッサだって読書が好きで読んでいるんだろうし。


「腕の分析? あれっていつ終わるの?」

「まだまだだな」

「うぇ〜」


 セレニアの無慈悲な一言に、机に突っ伏しながら不満そうなエルシーナ。腕の分析が終わるまでこの街から出て行く予定はないし、しかたないね。


「本を読んでいれば時間なんてすぐに過ぎていきますよ」

「そうだけどぉ。さすがにもう目が疲れたというか。他にも楽しみがほしい」


 文字ばっかり見てると疲れちゃうよね。

 絵が描いてある本ならありそうだけど、さすがに漫画とかは無いのかな。鳥獣戯画みたいなのだったら読む人あんまりいないか。


「鍛治でも習ってきたらどうだ? この前そんな貼り紙を見たぞ」

「体験とかいうやつ? やだよそんなの」


 鍛治はねー、やり方を覚えても旅には役に立たないのよね。道具が用意できないもの。どこかに定住するなら別だけど。


「でも旅の合間にもできそうな趣味を探すのはアリだと思うよ?」

「うーん……」


 さすがにそう簡単にはいかないか。本人もしっくりきてないみたいだし。

 基本的にこの世界娯楽少ないもんね。それにこの街は鍛治の街だから特に少ないみたい。もっと都とか行けば劇場とかいろいろあるらしいけど。


「何か暇がつぶせる魔道具とかないの?」


 暇つぶしの魔道具ねぇ。あ、そうだ。


「魔道具じゃないけど、何か作ってみようか」

「え、できるの?」

「今日中には難しいけど……できると思うよ」

「じゃあ作って〜。もう本読むか寝るかくらいしかすることなくて」


 ぐうたら生活ですなぁ。日々仕事に追われている人からしたら羨ましい限りでしょうに。


 暇つぶしの道具、要はゲームがあればいいんでしょ? すっかり忘れてたけど、四人で遊べそうなゲームを作ってみようって思ってたのよね。

 何作ろうかな。一番手っ取り早そうなのは……リバーシかトランプあたり? この二つなら作れそうだよね。

 エルシーナ一人で遊ぶっていうのは難しいかもしれないけど、誰かしら頼めば付き合ってくれるでしょ。


 トランプは同じサイズ、同じ絵柄のカードを用意するのは大変そうだからどこかに依頼しに行かないと。

 リバーシはマス目と白と黒で塗った石さえあれば一応できるはず。見栄えにこだわるなら時間かかるかも。


 今日のところはエルシーナにはゆっくり過ごしてもらって、後日遊び道具が渡せるよう作り始めてみますか。

 カード作りを依頼するにしてもまずは見本がないとね。木の板と石も用意しないと。

 魔道具作りで細かい作業にはずいぶんと慣れたので、そう時間もかからないでしょう。



 早速作業部屋にこもってトランプの見本を作っているけど、絵心の無さに辟易してる。


「うーん、幾何学模様にしてみるか。それっぽくなるはず」


 直線を組み合わせていけば形にはなるでしょ。裏はこれでいいとして、数字も簡単でいいか。

 キングとかジャックとかはどうしよう。剣や王冠を描いてみるか。

 私たちで作ってみるのも面白そうだけど、絵心がね……。

 作るのはトランプというより、それと同じように遊べる玩具だから、それっぽくなるなら簡単なのでいいや。



「こんなもんかな」


 よし、手作りトランプのできあがりだ。全部ではないけど、あとは口頭で伝えれば何とかなるだろう。

 商業ギルドへ行って依頼してこよう。



 相も変わらず混んでいる商業ギルドで大人しく待つ。

 印刷所……はさすがに無さそうなので、手書きになるのかな。一応そういった依頼を請け負ってくれる人はいるらしい。

 依頼書にどういう仕上がりを望んでいるのか細かく書き出して発注は完了。一、二週間くらいかかるみたい。気長に待ちましょう。


 家に帰ったら今度はリバーシ作りだ。

 できれば石のサイズとかって均一にしたいよね。マス目とかも正方形にしたい。こういう細かいところをピシッとしたいこだわりがあるのよ。

 リバーシのマス目の数がいくつだったか忘れちゃったけど。

 作っていけば思い出してくるかな。早くみんなで遊んでみたいね。


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