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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第5章 中央大陸・自己分析編
116/212

第115話 恋愛相談?〈エルシーナ視点〉

前回に引き続き、エルシーナ視点です

 

「で? どうしたんですか?」


 あの後のんびりとわたしを追いかけてきたクラリッサと一緒に、甘味屋まで来ている。

 あまり他人に会話を聞かれたくないので、店内の奥の方の席に座っている。


「……どうって?」

「今更とぼけないでくださいよ」


 畳みかけるように話しかけてくるクラリッサの言葉を無視しながら、パクリと目の前の甘味を一口。

 薄いパン生地に果物やクリームが入ったお菓子だ。甘くて美味しい。

 この甘味屋は当たりだね。


「あれでしたねぇ、セレニアさんに触られていたときの艶っぽい声と赤らんだ顔が……」

「ちょっと!!」


 周りに人がいないとはいえ、外でなんてこと言うの! それに思い出しちゃうからやめて!

 声を荒げたわたしに意地悪く微笑む彼女が恨めしい。絶対楽しんでる。


「そんなに好きなんですか?」

「はっきり聞かないでよ」

「ここをはっきりさせないと応援できませんよ」

「むぐぅ……」


 言い返せない。


 最初は一目惚れだった。

 気配りのできる優しい子で、努力家だけど無茶しすぎてて目を離せない心配な子。

 笑顔がとっても可愛くて……あの笑顔をわたしにだけ向けてくれないかな、なんて思う時が何度もあって。

 なによりも、わたしのことをちゃんと見てくれる、素敵な人だと優しく手を握って伝えてくれたあの時のことを忘れられない。

 もっと一緒にいたい。あの子の一番近くに居させてほしい。好きって伝えたい、好きって言ってほしい。

 ほんの短い間でも、彼女の残りの人生をわたしと一緒に過ごしてほしい。

 だから……。


「好きだよ、ちゃんと。恋人になりたいから知恵貸して」

「よく言えました」


 何故か偉そうなクラリッサだけど、心強い味方を得た……と思う。たぶん。

 クラリッサに恋愛経験が豊富かって言われたらそんなことはないだろうけど、一人で悩むよりはマシでしょ。

 正直こういうのは慣れてなくて、何をしたらいいのかよくわからないから、頼りにするしかない。


 ひとまず、クラリッサにわたしの考えている計画……というほど大それたものではないけど。

 好意を伝えずにわたしを好きになってもらうこととか、共通の趣味を見つけることとかを考えていると伝える。


「いいんじゃないですか」

「うん、ただ趣味がね……思い浮かばなくて」


 セレニアみたいに魔力回路に詳しいわけじゃないし、クラリッサみたいに身体を動かすのが好きなわけでもない。

 私は一応料理が好きだけれど、設備が無ければどうしようもない。リアは何なら興味を持ってくれるだろう。


「そういうのを聞くところから始めてもいいと思いますけど、エルシーナさんの得意分野で、一つだけリアさんが絶対興味持ってくれるものがありますよ」

「え? 何何?」


 そんな都合の良い物あったかな?

 でもその「わからないんですか?」みたいな顔は腹立つからやめて。


「剣術ですよ」

「あー……それね、ああ、うん。リアだもんねー……」


 強くなることに並々ならぬ想いがあるあの子なら、剣の打ち合いとか、剣の振り方を教授するとか言えばほぼ確実に食いついてくるだろうね。

 ただちょっとこう……もう少し、親しみやすくなる感じの、和やかな雰囲気になれるものが良かったな……。


「同じ片手剣ですし」

「そうだねー……。東大陸にいたころは両手剣だったのに、片手剣に変えてたね」


 両手剣だってちゃんと使えていたと思うけど、リアの避けて攻撃する戦い方だと片手剣の方が向いてる。

 勘と目が良いのか、避ける技術はわたしよりもすごいと思う。

 だからって回避盾は心配になるから嫌なんだけどね……。


「そういえば、さっきまでリアと二人で外に身体動かしに行ってたんだよね。何してきたの?」


 クラリッサと二人でなら走り込みとか筋力トレーニングとかかな。

 リアと二人で剣術の稽古をしたら、それも一緒にやる羽目になりそうだなぁ。


「素振り、走り込み、木剣での打ち合い、それから筋力トレーニングですね。リアさんの筋力トレーニングはなかなか効きますよ」

「そう……」


 や、やりたくない。

 うーん、朝クラリッサと身体を動かして、その後セレニアと魔法の分析をするとして……わたしの時間あるかな?


「わたしとの時間が取れない……」

「諦めて朝一緒に鍛錬しましょうか。みんなで」

「やだー……」


 ニッコリ笑いながら恐ろしいことをおっしゃる! 結局二人じゃないし!


「エルシーナさんもセレニアさんももう少し鍛えるべきですよ。一緒に頑張りましょう。リアさんと一緒ならいいじゃないですか」

「ううううう……」


 せっかく『魔物の海』の活性化が終わったのに! もう少し休みたいよ~。



 結局、その後宿に戻り、リアに剣術のことを切り出してみたら見事に食いついた。それはもう嬉しそうに。

 昨日セレニアに魔力回路についての知識を教えてもらう約束をしていた時と同じくらい嬉しそうだったので、まあ、少しくらいトレーニングしてもいいかな、なんて思えちゃう。

 セレニアは嫌そうだったけど、それは知らない。良い思いをしているんだから、少しくらい付き合えばいいと思う。


もっと百合っぽく…なると良いんですが、先は長そうです(笑)

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