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勇敢な者と呼ばれた私  作者: ナオ
第5章 中央大陸・自己分析編
114/212

第113話 落ち着いたのに落ち着かない

章分けしました。

「なななななななにしてるの!?」

「おはよう。もう大分暗くなってきているけど」


 昼寝から目覚めたエルシーナ。

 しばらくぼんやりとしながらこちらを見ていたけど、次第に目が覚めてきたのか、私とセレニアの姿を見て狼狽している。

 慌てたようにベッドから降り、バランスを崩しながら近づいてきた。

 でも私の前面が剥きだしなことに気が付いたのか、バッと顔ごと横を向いた。そんなに勢いよく視線を逸らされると、それはそれで傷つくな……。

 何もそこまで取り乱さなくてもいいのに。


 あの後どういう体勢ならいいかと探った結果、ベッドに座って後ろからセレニアが抱き着くような形で腕を回し、胸を揉む……揉んでるわけじゃないけど、絵面的にはそんな感じだ。

 結局のところ、身動きは全く取れない。横に立ってるエルシーナの顔も見えない。仕方ないけど。


 セレニアの腕の中で私はというと、セレニアが分析した術式を紙に書き起こしている。

 木で作った簡易バインダーに紙を挟んで、鉛筆に似たペンで書いている。インク漏れの心配がないのでベッドで作業しても安心だ。いいねこれ。


 これでセレニアが巨乳だったら胸の感触に喜んだところなんだけどね。

 生憎エルフはどいつもこいつもスレンダーだ。私もスレンダーだけど、まだ成長の余地はある、はず!


 そんなわけで周りから見たら、どういう状況!? みたいになるのは、まあ、わかる。


 クラリッサは慣れたのか、気にしないことにしたのか、読書に夢中だ。


「セレニア!」

「今リアの魔力回路を分析しているんだ。静かにしていろ」


 声を荒げて詰め寄ってきたエルシーナに、セレニアが冷静に窘める。

 そんなにセレニアがこんなことしているのが嫌なのかな。


「ごめんねエルシーナ。これが一番楽なやり方だから、しばらく我慢してね」


 茫然としているエルシーナに、なんて言ったらいいのかわからないまま謝る。でもこれ、私の声聞こえてるかな?

 後でセレニアと二人っきりの時間でも作ってあげようかな。でももうそろそろ夕食の時間だしなぁ。明日になっちゃうかな。


「ま、魔力回路の分析ってそんな感じなの……?」

「お前に身体強化を刻んだ時も裸だっただろう。同じことだ」

「エルシーナの身体強化ってセレニアが刻んだの?」

「ああ、そうだ」


 新発見。身体強化の魔力回路を実際に人体に刻める魔術士って少ないのよね。防具に刻める人ならいるけど。

 セレニアはかなりすごい魔術士なんじゃない? それならもしかして……。


「セレニアって魔法発動石作れる?」

「できなくはないな」

「すごい!」


 立体型魔力回路が刻める魔術士なんて一生かかったって出会えるかわからないのに、まさかこんな身近にいたなんて!

 魔法発動石が作れれば魔法も魔道具も作れる幅が広がる。是非ご教授お願いできないかな。


「腕が終わったらでいいから、やり方を教えて!」

「ふむ、腕の分析の合間でも構わんぞ」

「ホント!? ありがとう!」


 やったー! まさかこんな幸運が起きるなんて! 勢いでハグでもしたい気分だけど、今逆にされている状態だからできない! 残念!


「……どれくらいかかるの?」


 未だに横に突っ立ってたエルシーナがセレニアに尋ねている。腕の分析のことかな? それは私も知りたいな。


「一年か二年か……一日にどれくらい時間を取れるかによるな」


 やっぱり分析には数年かかるようだ。

 そりゃあ二十四時間ぶっ続けで分析し続ければすぐに終わるだろうけど、それは無理だしね。一日に数時間ってところかな。私も最大限協力しよう。


 セレニアの言葉を聞いたエルシーナが今にも卒倒しそうなんだけど、大丈夫かな? 

 後でクラリッサと話して、明日にでも私と一緒に少し出掛けてもらおう。本を買いに行ってもいいし、筋トレでもいい。

 この三人と合流してから落ち着いた時間ってあんまり取れてなかったし、ちょうどいいだろう。一人ずつ仲良くお喋りもしてみたい。


 エルシーナとセレニアを二人っきりにして……でも分析もしたいだろうし、出かけられても短時間かな。それで分析に時間がかかっても本末転倒だもんね。

 二人には悪いけど――セレニアは別に気にしてなさそうだけど――慣れてもらうしかないね。

 時間が解決してくれることを祈ろう。


しばらくのんびりしたお話が続きます。


評価やブクマなどなど、ありがとうございます。

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[一言] 羨まs(((
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