馬と弓
「イレーネは乗馬は出来るのか?」
「ええ、軍馬は無理ですが、移動用の馬は大人しい子なので私でも」
俺が一兵卒でと言った返答として、アーヴァング氏は驚いた後、難しい顔で考える時間が欲しいと、話し合いの解散が告げられた。当然パーティも解散である。
そんな訳で、今後の方針も定まらないまま時間だけが経過するのもアレなもんで、武具を見たいと要望してみた。
それに対する返答は、拍子抜けするほど簡単に許可が出た。何でも、俺に合わせた防具と太刀を新調中との事。その作成している鍛冶屋へ案内してもらうことになった。ついでに、欲しいものがあれば、頼んでいいとの許可も出た。
アーヴァング氏は、最初はエリーザに案内を頼もうとしたようだが、何やら放心しているので、溜息を吐きつつイレーネに案内をするように指示。
こうして、イレーネに王都の事を聞きながら、厩に向かっているのである。
イレーネの説明によると、ここロムニア王国を首都である王都ロシオヴィは、南北に長めの長方形で、城は北寄りにある。
城の中心、昨日俺が呼ばれた召喚の間や謁見の部屋、そして王族や俺が住まわせてもらっている部屋のある建物が宮殿。
この宮殿も大きいが、宮殿の周囲の東西に貴族階級が住まう屋敷と、武具の修繕などを専門とする工房等が立ち並び、南が元庭園で現在は騎士見習いの訓練に開放している区域。そして北が正規軍人の兵舎兼、訓練所兼、詰め所。単なる訓練所ではない。馬場まであるのだから、その広さが半端ではない事が分かるだろう。と言うか、ここの軍人は全員が騎兵である。狭い場所に押し込むのは不可能。
これを総括して王城と呼び、王都の北側にある。
で、南側は平民が住む区域となり、城に近く、東西の中心の大通りに近いほど、裕福な者が住み、商店などもある。
まあ、とにかく広くて、この城壁に囲まれた王都だけでも東京の1区くらいの広さだ。
そして、目的地は王都の南東の端。歩きで行けば夜中になるとのこと。
そんな訳で、馬を借りに向かっているのだが、俺は馬に乗れない。ガキの頃、乗せて貰ったことはあるが、あんなもの騎乗の経験の内には入らんだろう。
騎乗自体はしてみたいが、不安があるのも事実。まして、人通りもある王都の街並みを馬で進むのはハードルが高い気がするのだが。暴走させては洒落にならない。
「移動用の馬は、軍馬と違って小柄ですし、人に慣れていますから、平気ですよ」
「軍馬とは種が違うのか?」
「はい。軍馬と違って馬は角もありませんし、全身の毛が柔らかくて可愛いですよ」
え? 何か変なこと言わなかったか? 角?
突っ込みたい所だったが、こう、動物の可愛さを力説する女の子の勢いと微笑ましさに、毒気を抜かれてほっこりしてしまう。
こうして見ると、イレーネは十分に俺の好みに入る。最初はオドオドした感じだったが、打ち解けてくると、妹系と言うか、守ってあげたい感じがする。
実によいではないか異世界。
「あれ? 居ませんね」
そうしている内に、宮殿の南門そばにある移動用の馬が繋がれているという場所まで来たのだが、全頭出払っていた。
「申し訳ありません。今、厩舎に予備を取りに行っているところでして」
ほんのタッチの差で、ここにいた馬に乗って行かれたとの事。予備を取りに行ってるので少し待ってほしいと頼まれたのだが。
ここって、昨夜の場所か? 開かれた宮殿の南門の中を覗くと、昨夜の騎士見習の訓練所が見える。
「ここは見習の訓練場所だよな?」
中を覗きながら、そう呟く。だが、人っ子一人いない。
「え?……ああ、タケル様は昨夜、見習の訓練を見たのですね。夜間は明かりがある中を使用するのですが、正式な見習の訓練所はこちら側です」
そう言って、反対側を指差す。
広い。何と言うか、説明で庭園を見習いに開放したと聞いた時は、てっきり日本庭園を思い浮かべていた。
だから、昨夜の場所と思っていたのだが……これ庭園ちゃうやん、公園やん。
宮殿の南門から王城の南門まで真っ直ぐに舗装された道が通っているが、その王城の南門まで大分ある。
良く見ると、見習い達が馬に乗って訓練している風景がパラパラと見える。
じっと見ていると、その中の一騎が、こちらに近付いてきた。
「やっぱりタケル様とイレーネちゃんだ」
「お早うございますイオネラ様」
兜まで被っているので分からなかったが、馬に乗って近付いてきたのはイオネラだった。
うん。普段なら甲冑をまとった凛々しいイオネラに感動するのだが、俺らしくもなく別のモノに気を取られてしまった。
「角?」
そう、イオネラの乗っている馬には、額に角が生えているのだ。一角獣のような細長い角でなく、太く短い角。
それは、十分な殺傷力を持ちながらも、簡単には折れない手頃なサイズに思える。
「え? 軍馬だから角が生えてるのは当然でしょ? 無かったら攻撃できないし」
さも不思議そうに言うイオネラ。馬とはいったい……
すると、イオネラの乗っている馬が興奮したように俺に近付いてくる。
「ちょっ! 落ち着いて」
必死になだめようとするが、馬は言うことを聞かずに俺に近付いてくる。敵意は感じないから怖くは無いが、大丈夫なのか?
やがて、俺の側まで来ると、今度は落ち込んだように項垂れる。
「どうしたんだ?」
「ああ~、まあ、しょうがないよ。だって勇者様だもん。元気出して」
そう言いながら馬を宥め始めるイオネラ。あの……俺、無視されてる? 何かイオネラに嫌われることした? いや、馬に嫌われたから、イオネラも一緒に? そう思っているとイレーネが苦笑しながら説明をしてくれる。
「軍馬の性質として、より強い人を乗せたがります。ですから、タケル様を見て乗せたいと思ったのでしょうが……同時に分を弁えるって事も知ってるんです」
どうやら、俺を乗せたいと思って近づいてきたが、やっぱり無理と諦めたらしい。何となく面倒な性質だな。それと、騎士は何よりも馬を優先するよう教育されていて、今のイオネラが俺を無視して馬を宥めている態度を謝罪されたが、そういうことなら気にすることは無い。
それに馬に嫌われた訳でも無いようだ。だったら、少し触ってみたい。
「なあ、良かったら、触らせてもらって良いか?」
「はい良いですよ」
イオネラに許可を貰い、馬の側に近付く。ここで、許可を貰ったと言い張ってイオネラを触るのは無しだろうか? まあ、普通に無しだな。
下らんことを考えつつ軍馬の側まで歩み寄り、ゆっくりと額の周りを触ってみる。
角だけでなく、周囲を覆う体毛も堅い。それに毛の密度が濃い。
サラブレッドのようにスラリとした体形でなく、首は少し短く全体的に太い。
「格好いいな」
その力強い印象に思わず呟くと、嬉しそうに尻尾を振りだす。
馬に乗って駆ける騎馬武者というのは憧れだった。だが、映像で見ていたスマートな馬より、コイツの方が断然良い。
「ところで、今日はどうしたの?」
「はい、実は工房へ行こうと馬を借りに来たんですが…」
イレーネがイオネラに、馬が居ない事を告げると、イオネラが厩舎まで案内してくれると申し出てくれた。
何でも、今の時期は収穫も終わり、税収関係で色々と忙しい事が多いので馬は頻繁に駆り出されるとのこと。
「でも、勝手に借りても良いのですか?」
「教官に許可を取れば、大丈夫だと思うよ。厩舎の奥に居ると思うから行こう」
そう言って馬を引いて歩く、イオネラに続く。
道中、何頭もの軍馬から熱い視線を受けた。まあ、嬉しいが、どうせなら乗ってる女の子から熱い視線を受けたいものだ。
何しろ、ここは騎士見習いの訓練所。若い花のような少女が大勢いる。
「それにしても、タケル様は随分と軍馬に好かれるのですね。ただ、眺めているだけですが」
「うん。ここは訓練用の軍馬しかしないから、タケル様の愛馬になる自信がある子はいないと思うな。
エリーザちゃんに寄って来る男の人みたいなものだよ。
自信がある人は声かけるけど、自信が無ければ眺めているだけって」
エリーザと同レベルだと? 何だか急に大したことが無い気がしてきたな。
それにしても2人は仲が良さそうだが、知り合いなのだろうか? 接点が無さそうな気がするのだが。
「2人は親しいのか?」
「そうですよ~。お友達です」
「畏れ多い事です」
イオネラの返答をイレーネは嬉しそうな表情で、しかし、やんわりと訂正する。
イレーネの身分は神官だが、平民身分の親が戦争に巻き込まれ死んだので赤子の頃に孤児となった。一方のイオネラは立派な貴族令嬢……らしい。
正確には、イオネラは、肉親を全て失っているので、仮とは言えシュミット家の当主。そのシュミット家は地方に領地を持った名家である。
本来なら口を利くどころか、並んで歩くことさえ許されない程の身分差である2人だが、それを繋いだのが、シュミット家を上回る、王国でも5本の指に入る大貴族のライヒシュタイン家のエリーザ。
あの女、弟が産まれて2年目の祝いで向かった神殿で、弟より妹が良いと、そこに居る2歳の女の子と取り換えようとしたらしい。とんでもない4歳児である。
それが切っ掛けで、その後も、取り換えられようとした女の子、イレーネを気に入り、神事のたびに付きまとうようになったそうだ。
その後、更に弟が出来るのだが、母の弟に娘が産まれたと聞き、その従妹と弟を取り替えようとしたと言う。どれだけ妹萌えなのだ。あの女は。
結局、取り換えることは諦めて、その従妹、イオネラを妹分として可愛がることにしたらしい。そして、イレーネとの付き合いも続き、イオネラと一緒に仲良くなっていったそうだ。
仲良きことは美しきかな……と、言いたいが、どうしても聞いてみたくなる。
「なあ、エリーザの弟は、どう思ってるんだ? その弟が家を継ぐんだよな」
確か、断絶した家が多数ある中、アイツは、家は弟が居るからマシな方、みたいな言い方をしていた。
それなのに、弟の扱いが酷い様に思える。その弟にとっては、イレーネは気に入らない存在にならないだろうか?
「え? 家を継ぐ予定なのはロディア様なので…」
「ロディくんは、まだ7歳だよ。イレーネちゃんと取り換えられようとしたのは、アハロンくん。
それで、アハロン君はイレーネちゃんを悪く思ったりはしてませんでしたよ。逆にイレーネちゃんを嫁にして本当の妹にしてやるって言ってたし」
「本当に困った方でしたね。何度も私は平民だと言っても聞き入れてくれませんでした」
「まあ、正室は無理でも側室ならって、伯母様も認めてたしね」
なるほど、むしろイレーネと同年の弟はイレーネに惚れてたと。周囲の反応も悪くなかったらしい。
……ただ、過去形で話されていて、家を継ぐ予定なのは、さらに下の弟。
「私と入れ替えようとされたゲオルゲくんは、そういうの我関せずだったけどね。
いや、むしろ、私と代わってれば、伯父さまに近付けてたって言ってたか」
「あの方は、それこそ家なんか、どうでも良いって考えでしたね。元帥のような強い剣士になるのが目的でしたから」
「実際に無茶苦茶強かったしね~。一緒に騎士見習いになったけど、年上をバッタバッタ倒してたからね。私もよくボコられてた」
「イオネラ様も同年代では相手が居なかったのでは?」
「私、見習いになるまで、同年代ではゲオルゲくんとアリエラちゃんしか知らなかったから、私は弱い、アリエラちゃんは超弱いって思ってた」
「いや、10歳で見習を卒業した方を基準にされましても……」
「でも、タケル様を見たら凄い興奮しただろうなぁ。手合わせしたいとか言ったと思う」
「ああ~、想像できます」
それで、イオネラと同年の弟は、女にも容赦がないバトルマニアらしい。
……だが、やはり、過去形で話されていて、家を継ぐ予定なのは弟。
エリーザが両親を失っていたことは聞いていたが、どうやら弟も2人失っていたらしい。それも、まだ10代前半の歳でだ。
そして、その事を話しているイオネラとイレーネは、時折寂しそうな表情を見せるが、悲壮感みたいなものは感じられない。
つまり、この世界ではありふれた出来事で、親しい人を失うのは慣れているのだろう。
……こういう状況では下手な同情とかしないほうが良いよな?
だが、話に加わって、深く聞くのも躊躇われる。何か話を変える切っ掛けは……ふと、気になる光景を見つけた。
「あれは弓の訓練か?」
数人が並んで弓を射ている。目標の的は……遠すぎない? サッカーグラウンドの端から端までより距離がある。200メートルはありそうなんだが?
「弓の訓練と言うのは正しくはありませんけど…まあ、覗いてみます?」
「ああ」
会話の内容を変えるのにも丁度いい。
正直、この世界での命の価値観が分からない以上、触れたくはない話題だった。
気を取り直して的の方を見ると、流石にこの距離で正確に当てるのは難しいのか、米俵のような円柱の的に数本の矢が刺さっているものの、多くは背後の土を盛った壁に刺さっていた。
ふむ、矢を痛めないように硬い板などは使わないらしい……え?
「あれ、凄いな」
的が1つだけ、凄い事になっている。他の的は数えようと思えば出来る数しか矢が刺さってないのに、ハリネズミのようになっている的が1つだけあった。
どうせなら、上手い奴の射を見ようと、その射手に近付いて後ろから眺める。
弓は和弓によく似ている。上下が非対称で上の方が長い。ますます、初代勇者=平安武士の説が強くなる……のだが、何か不自然な気がする。
何だろう、この違和感は? 射手が西洋鎧っぽいからか? いや、それよりも……
「地中海式?」
正面の射手以外も確認するが、全員、矢の番え方が、蒙古式でなく地中海式なのだ。それに弓返しもしてない。弓は弓道っぽいのに、射方は弓道でなくアーチェリー。
「タケル様?」
俺の呟きに反応した射手が振り返る。
兜をしていたから、分からなかったが、射手はアリエラだった。
「イレーネさんも御一緒だったのですね」
「お久しぶりです。アリエラ様」
凛々しいアリエラの姿に静かに感動している内に、イオネラとイレーネが、ここに居る目的を説明。
それなら教官を呼んでくると、アリエラはイオネラに弓を預け、近くの馬に飛び乗って行ってしまった。
え~と、前もそう言って飛び出していったな。ま、まあ、真面目な性格だからだ。前回も臭かったからじゃ無いんだな。前向きに考えよう。
「イオネラも弓は出来るのか?」
「もちろん出来ますよ。弓は武家の嗜みですから」
そう言って弓を構えて射る。残念ながら的には当たらなかった。
うん。やはり地中海式だ。弓を教えたのは武士じゃ無いのか?
……そう言えば、島に逃げ延びた人は漁だけでなく、狩りもやってたと言ってたな。
「タケル様も、やってみます?」
「ああ。やらせてくれ」
さて、俺がやったことがあるのは蒙古式、弓道と同じなんだが、ここはアリエラ達に合わせてアーチェリーの射方でやってみるか。
「……あれ?」
硬い。アリエラもイオネラも軽々と引いていたんだが、俺が引いてもびくともしない。
的が遠いし、ある程度は覚悟していたが、全く引けないとは……
「あれ~タケル様、どうしたんです?」
硬くて引けないなんて言えるか! 絶対に引いてやる。
気合いだ! 命中率なんか気にするな! とにかく引いて前へ飛ばす!
「あっ……」
乾いた音と共に、弓の先端、弦を張っている部分が折れてしまった。
……たしか、昨日は槍と鎧を壊したな……でも、気にしてる感じはしなかったし、武具が壊れるなんてよくある事では?
そう思いながら振り向くと、呆然としているイオネラ&イレーネ。
だけでなく、周囲も同じような反応……これって壊したらダメな奴では?
「どうかしたのか?」
その声に振り向くと、馬に乗ったアリエラと40歳くらいのオバサン。
おそらく、このオバサンが教官なのだろう。その彼女も、ここの雰囲気に戸惑っているようだ。
うん。ここは素直に壊したことを謝ろう。
「クッ! 落ち着け!」
謝ろうと1歩踏み出すと、オバサンが乗っていた馬が興奮して、俺の方に近付こうとしてきた。
俺に、どうしろと? 若い子なら助けようと思うのだが、オバサン相手じゃ気力も湧かない。
「落ち着いて」
だが、オバサンの馬を止めたのは、隣に居たアリエラだった。
凄いな。彼女が軽く抑えただけで、興奮していた馬が落ち着いていく。
「ありがとう。アリエラ。さて……」
オバサンは馬を降りると、頭を下げて自己紹介をしてくれた。
「見苦しいところをお見せして申し訳ありません。私は、ここで騎士見習いの指導を担当しているヨランダと申します。お見知りおきを勇者様」
俺も挨拶を返し、ついでに弓を壊してしまったことを謝罪する……のだが、弓を壊したと言うと、凄く不思議な顔をして、イオネラに説明を求める。
そして、イオネラの説明を聞くと頭を抱えた後、深呼吸をしてから説明をしてくれた。
「まず、謝罪をさせて下さい。猟師が狩りに使う弓と違い、この弓は決して力では引けません。
ですが、イオネラにも悪気は無いのです。確かに悪戯好きな娘ではありますが、今回の件に関しては、そういった行動ではなく、この弓の特性を知らない者に経験させる際の常道なのです」
「なるほど……力で引けないと言うことは、仕掛けがあるのですか?」
「仕掛けと言うより、魔力を通すのです。弓に柔らかくなる術を使えば、幼子にも引ける柔らかさになります。そのまま魔力を通すのを止めると、曲がったまま固まるので、今度は元に戻す術をかけます。
その異なる術をかける訓練で使用するのです」
そう言えば、騎士は弓を使用しないって言ってたな。それを使っている理由は訓練用で、異なる魔術をかけるため……元に戻す?
「武神の力の制御訓練?」
「御明察です。武神の力、その強化と回復を交互に操る術の慣れのために弓の訓練をします。
武神の力は失敗すると体への負担が大きいので、このような訓練方法が編み出されました。
ですが、その訓練で弓を壊したなど初めて聞きました。とても壊れるような物ではありませんよ」
苦笑しながら、教えてくれる。何でも、この弓の材質は魔石を混ぜ合わせた金属と、植物型の魔物から作っているそうだ。
すごく頑丈で、多少殴ったところで壊れはしないらしい。
まあ、呆れられはしたが、怒られる事は無かった。ヨランダさんって良い人かもしれない。
「ここへ来た目的は聞きました。馬の貸し出しに関しては問題ありません。
ですが、タケル殿は随分と馬に懐かれているようなので、少し不安があります」
うん。まあ、会う馬の多くがハイテンションになるからな。街中で暴れだしたりしたら大変である。
勇者が馬で暴走して、町の住民を轢き殺したりしたら……洒落にならんな。
俺の方が不安になってきた。
「ですから、アリエラに同行させます。良いですねアリエラ」
「了解しました!」
うん訂正。ヨランダさんは良い人かもしれないでは無い。凄く良い人である。
弓矢の構え方は三種類あります
・ピンチ式
矢を摘まむ持ち方。ある意味基本で、戦争が無く狩りで弓を使ってる部族が使う。強い弓が引けない。漫画やアニメでも、多くがこれ。
・蒙古式
親指で弦を直接引き、矢は親指の上に乗せる。アジア圏の戦争では、これが使われていて、弓道もコレ。
・地中海式
猫の手状態で、人差し指から、薬指までの三本の指で弦を直接引く。矢は人差し指と中指の間に挟む。地中海周辺(ヨーロッパ、アフリカ北部、中東)の戦争で使われていた。アーチェリーはコレ。
興味がある人は、ググれば画像がすぐに見つかります。




