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好きが伝わらない感覚  作者: ミナセ若
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歪な学校と飢餓画基

ーー2021年4月6日、僕たちは出会った。

  その日は始業式だった。




ーークラスにて




桐魅杏(きりみきょう)「はぁ~。始業式、体育館でやるらしいけど、行き方複雑みたいなんだよなぁ。誰か一緒に行ける人いないかなぁ……」


飢餓画基(きがかっき)(……お、この子一人っぽいな。僕も一人だし、一緒に体育館行かないか声掛けてみるか! 出席番号順で席も近いことだし、仲良くなっておきたい)

飢餓画基「ねぇねぇ、良かったら体育館一緒に行かない? 一人で行くのもなんだし、お喋りでもしながら行こうよ」


桐魅杏(お! 誰か声掛けてくれた。…………でもなんかチャラいな。まぁ、一人で行かなくて済むのならありがたいや!)

桐魅杏「うん。行こう! この学校の体育館って特殊な場所にあるらしくて、この教室から歩いて10分も掛かるんだって! 心細かったから助かるよ」


飢餓画基「え、そんな掛かるの?! めんどくさいなぁ~。なんでそんな遠い所に作ったんだろうね。ムダに遠くしただけなんだったら、入学希望の生徒が減るだけで良いことないのにね」



 そんな事を喋りながら、僕らは歩き出した。

 体育館までの距離は、推定約800mだ。ちょっとした陸上競技でも行えそうな距離だ。


 とは言ったものの、道のりは平たんではなく、曲がりくねっていたりトンネルさえ用意されたりしている。作った人間はここを遊園地にでもしたかったのだろうか?



 僕らが教室を出て、廊下を歩き始めてすぐその衝撃の事態は現れた。



飢餓画基「なんだこれ! なんで鏡とハサミが置いてあるんだよ?! ……あ、置き手紙も置いてあるみたいだね」


桐魅杏「えっと、なになに……『ここを通るのなら、1㎝以上の幅、1㎜以上の長さで、髪を切断しなさい。切断した髪は、それぞれの名前が記されたキーケースに収納しなさい。』……だって」

桐魅杏「なにこれ。こんな決まりがあるなんて、今の今まで知らされてなかったよね? 飢餓くんはなにか知ってる?」


飢餓画基「いや、初めて知ったよ。三発乃高校って、散髪するからそんな名前なのかな? 入学する前から独特な名前の高校だなとは思っていたけど」


桐魅杏「あ、そういうことかも。しょうもないオヤジギャグ過ぎるね……」


飢餓画基「絶対、創設者さむいオッサンだよ」

飢餓画基「しかし、これで戸惑っていて始業式に遅れたら怠いよね。嫌だけども、とっとと切っちゃおうよ」


桐魅杏「そうだね、1㎝以上の幅、1㎜以上の長さって、そこまで気になる量でもないしね」



 そう言って僕らは、順番順番に髪を切っていた。

 ただ髪を切らされているだけでは学校に腹が立って仕方がないという事で、僕が髪を切っている間、桐魅には質問をしつづけてもらっていた。桐魅の事をたくさん知りたいと思っていたし。



桐魅杏「飢餓画基って、めずらしい名前だよね。なんて呼んだらいいかな?」


飢餓画基「画基を別の読み方で読んで"ガキ"とかでいいよ。あ、だけどガキになにかを足して呼んでほしいかな。ガキだけで呼ばれると、ふとした時に暴言吐かれてるのかなって感じちゃうからさ(笑)」



桐魅杏「たしかにそうだよね。じゃあ、ガキくんで。ガキくんは彼女っていたりするの?」


飢餓画基「いないよ。今まで一回もできたことないんだ。高校では作りたいって思ってるよ。急いで作ろうとは思ってないけど」



桐魅杏「へぇ、一回もないんだ。見た目だけしか分からないからあれだけど、モテそうなのに」

桐魅杏「じゃあ、もう一個だけ質問ね。今、こうやって散髪させられてる状況ってかなり特殊だと思うけど、今までこれに匹敵する体験ってしたことある? 嘘とかそういうの無しでおしえて欲しいな」


飢餓画基「嘘はなしかぁ。エグイ注文をしてくるね。…………まぁ、包み隠さず伝えようか」

飢餓画基「実は僕、中学のころ公然わいせつ罪で捕まっちゃってるんだよね」

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